月刊化学物質管理 コラム『私の含有化学物質管理』第1回 

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『私の含有化学物質管理』
第3回 マレーシアの含有化学物質管理
の実態-1


河田 研(2018.3.15)

富士フイルム株式会社にて機器製品開発および環境対策推進に従事なされ、ご退職後は海外化学物質規制に関する講師を勤めていらっしゃいます。
この度は、国内・海外で実際に経験された化学物質管理リスクへの取り組みの歴史を紹介いただきます。


 Nitton社の蛍光エックス線分析装置を導入して順次ハイリスク部品を検査していた時、緑色の樹脂部品からEUのカドミウム指令の規制値を大きく超えるカドミウムが検出された。マレーシアで調達した部品で、「規制化学物質非含有保証書」は出されていた。何が起こったのか…。現地の協力企業を介して樹脂部品メーカーとやり取りをしたがなかなか埒が明かず、原因究明のため現地調査を行うことになった。
 マレーシアは高度成長の真っただ中で、首都クアラルンプールは高層ビルが林立し高速道路がクアラルンプールを中心に次々と作られ、その周辺に住宅地が次々と開発されていた。ただ数kmごとに料金所が設けられているためか、頻繁に渋滞に遭遇する。運転手から「政府は金がないので高速道路建設を請負制にし、作った企業が一定期間料金を徴収するシステムになっている」と聞いて納得した。

図表6 Nitton社製蛍光エックス線分析装置

図表6 クアラルンプールのビル群



 ホテルのホールを貸し切りにして、マレーシア、シンガポールの部品調達先40社の代表に集まってもらって説明会を開催し、EUの含有化学物質規制の内容、管理の必要性、順守してもらうガイドラインについての説明を行った。説明内容については理解してもらったようで「説明に満足」との回答を頂いたが、質疑の際に受けた意見や要望に驚く内容があった。
 「日本の多くの企業からカドミウム指令、RoHS指令対応を要求されているが、その規制の内容についての説明を受けたのは初めてだ。仕様書に『カドミウム指令、RoHS指令対応のこと』、とだけ書いてきており、我々が何をすればいいか分からなかった」、「日本の企業からは『仕様書に詳細な要求内容が書いてある』と言われるが、我々部品を作る先には図面しか届いていない。図面に必要なことを書いてもらわないとモノが作れない」、「我々にはどのようなものに規制化学物質が入っているのか知見がない。マレーシアではペイントや着色料に鉛、カドミウムの添加を規制する法律がないので、こちらで材料調達したら鉛、カドミウムは普通に入ってきてしまう。どうしたら防げるのか教えてほしい」…
 これらの意見、要望から初めてマレーシア、シンガポールでの含有化学物質管理の難しさが少し分かってきた。
 緑色の樹脂部品にカドミウムが含有されていた問題は「樹脂部品を作っている末端の企業まで仕様書が届いていなかった」ことに一番の原因があることが分かり、帰国後に「必要な要求事項は全て図面に記載する」を設計のルールにし、CADで全ての図面に自動で「鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、特定臭素系難燃剤を含有しないこと」がプリントされるようにシステム化した。カドミウム問題はこれで解決に向かうように思っていたが、他にまだまだ大きなリスクがあることが分かってきた。

 説明会の翌日、企業の責任者が私を訪ねてきた。「ガイドラインに従ってCertificate(規制化学物質非含有保証書)を持ってきた」とのこと。あまりの対応の早さに感謝しながらも保証の根拠について尋ねると、キョトンとしたしぐさを返されてしまった。再度根拠を確認するつもりで「素材メーカーの含有化学物質データか分析データはありますか」と尋ねると、「ありませんよ、私のサインが保証です」と思ってもみなかった返事が返ってくる。詳しく話をしてみると、マレーシアでは保証書によって不適合部品が見つかった場合には何度でも作り直しが要求できること、が分かった。これがこの地域のモノ作りにおける商習慣とのこと。Certificateをこちらは合理的根拠を持つ「保証書」と考えていたが、こちらの商習慣では「補償書」の扱いになっている。含有化学物質規制の以前であれば「補償書」で済んだのかもしれないが、EUの規制発効によって「補償書」では済まなくなってきていることをいつになったら理解してもらえるだろう…。
 マレーシア滞在中、他に数社からデータが付かない経営者のサイン入りの「規制化学物質非含有保証書」をもらった。他日、中国でも日本との商習慣の違いに驚かされることになる。 

 マレーシアの訪問には他にもいくつか目的があった。モノ作りの現場を見て回り、どのようなところに含有化学物質のリスクがあるかを探ること、現在主流になっている六価クロムによる防錆処理に代わる、より毒性の少ない防錆処理技術を持った企業を探すこと。
 明日から行動することになったが、マレーシアは明日から1か月間ラマダン(断食月)が始まる。イスラム教徒にとっては日の出から日の入りまで飲み物を含めて一切口にできない。マレーシアはマレー系住民(大半がイスラム教徒)が7割、中国系住民とインド系住民が3割の多民族国家だが、イスラム教徒が多くを占めるのでラマダンの影響は無視できないだろう。それに私をガイドしてくれる現地協力企業のスタッフはイスラム教徒。明日からのガイドは大丈夫だろうか、またラマダンの最中に工場見学や技術相談など受けてもらえるだろうか…。
 心配事は色々あったが、結果としては特にトラブルもなく調査を進めることができた。そして、ラマダン時においても生産活動がたいした支障なく行われている実情を自分の目で確認したことで、この地域での部品調達の心配事を一つ減らすことができた。


コラムへのご意見、ご感想等がありましたらこちらまでお願いします→ chemmate@johokiko.co.jp




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