月刊化学物質管理 コラム『私の含有化学物質管理』第1回 

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『私の含有化学物質管理』
第4回 マレーシアの含有化学物質管理
の実態−2


河田 研(2018.4.16)

富士フイルム株式会社にて機器製品開発および環境対策推進に従事なされ、ご退職後は海外化学物質規制に関する講師を勤めていらっしゃいます。
この度は、国内・海外で実際に経験された化学物質管理リスクへの取り組みの歴史を紹介いただきます。


 マレーシアでのラマダン(断食月)の開始日と重なった調査1日目、これから3日間現地のモノ作り現場の調査がスタートする。 ガイドしてくれるのは協力企業のマレー人スタッフ、迎えに来てくれた彼にラマダンがきつくないか尋ねると、「夜明け前にしっかり飲食してきたから大丈夫。それにマレーシアのイスラム教は寛容で、身体に無理あれば飲食を許してもらえる」 イスラム教徒にとってコーランは「法律」と思っていたが、彼と話してマレーシアでは「モラル」であることが分かってきた。
 今日はプラスチック部品の成形工場を2か所訪問する。高速道路での料金所渋滞を2度ほど経て、クアラルンプールの郊外に至った。子供のころに「熱帯雨林のジャングル」と習った風景は見当たらず、赤茶色の広い住宅開発地が広がっている。高速道路を離れ、一般道路におりてしばらくするとヤシの木などの緑が増え、やがて大きな木の前で止まった。

 従業員20人ほどの規模のプラスチック成形工場で、経営者は50代のマレー人。自ら工場の案内に立ってくれた。建物は日本の大田区の工場のような雰囲気で、十数台の成形マシンが休みなくプラスチック部品を吐き出している。材料保管倉庫を見せてもらうと、20種類ほどの樹脂ペレットの袋が区分けされて積み重ねられている。全て日本の樹脂メーカーの製品。それにしても着色部品の種類の多さを考えると、保管ペレットの種類が少ない。しかも透明なペレットばかり。「着色は?」と聞いたら、「別の部屋」といって先に立って案内してくれた。そこで目にしたのは棚に並んだ着色紛の缶。「ドライパウダー」と呼ばれる着色紛で、これを透明ペレットに混ぜて成形品の色を出す。街にあるドライパウダー専門店に色サンプルを渡すと、いくつかの着色粉を混ぜて色サンプルに合った着色粉を調合してくれるとのこと。この方法だと客の要望ごとの着色ペレットを持つ必要がなく、少量の成形品にも容易に対応がとれて、保管スペースと調達コストを抑えることが出来る。
 ドライパウダーには染料(有機物)と顔料(無機物)があり、発色の良さと耐退色性能の良さから顔料が使われることが多い。以前の調査で、赤・黄色・緑系統の顔料はカドミウムと六価クロム、黒・白系統の顔料には鉛をベースにするものが多いことが分っている。説明会の折に耳にした「マレーシアにはカドミウムも鉛も規制する法律は無い」という言葉がよみがえってきた。日本ではマスターバッチといって、使用するペレットと同じ材料で高い濃度の着色ペレットを作り、透明ペレットに一定割合で混ぜることで成形品に必要な色を付けることが主流になっている。マスターバッチは樹脂メーカーに依頼して作ってもらうので、着色材の含有化学物質を把握し管理することが出来る。

 午後の訪問先の成形工場も最初の訪問先と同じ状況… 「仕様書がモノ作り現場まで届かない」という問題以外に、「モノ作り自体」に大きなリスクが潜んでいることを知った。マレーシア、シンガポールに日系の樹脂メーカーが出てきていないか、調査と訪問調整をガイドの彼に依頼した。

 調査2日目はメッキ工場2社の訪問。欧州のRoHS指令が施行されると、メッキの主流である六価クロム系のクロメート処理が使えなくなる。毒性が小さい三価クロム系のクロメート処理が出来る先を見付けることが今日の目的。
 1軒目は郊外の水路のそばにある工場。従業員100人ほどのメッキ工場としてはまずまず大きい規模で、経営者はインド系マレーシア人。最初に「三価クロメート処理が出来るところを捜しに来た」と告げると、「ちょっと待ってくれ」と言ってサンプルを取りに行った。持ってきたのは白ピンク色に輝くネジで、こちらでは「レインボウ」と呼ばれている。すでに欧州のメーカーからは注文が来ていて、半年前からは少しずつ注文が増えていっているとのこと。価格的には六価クロメート処理の3割高。コストアップは避けられないにしても、最初の工場で六価クロメート処理に代わるものが見つかったことは心強い。

図表7 三価クロメート処理ネジピンクがかった白

図表7 三価クロメート処理ネジ・ピンクがかった白



図表8 六価クロメート処理ネジ淡い黄色

図表8 六価クロメート処理ネジ・淡い黄色


 いまネジの三価クロメート処理を行っている、というので工程を見学させてもらった。カゴに入ったネジが 酸洗い槽→水洗槽→亜鉛メッキ槽→クロメート処理槽と自動で流れていく。そのカゴがクロメート処理槽に入る直前に作業者がコンベアーフックからカゴを外し、隣の槽に漬け込んだ。 何をしたのか質問すると、「自動ラインは六価クロメート処理ラインで、手で漬け込んだ槽に三価クロメート処理液が入っている」との回答。作業者はタイマーを見ながらカゴを引き上げるタイミングを計っている。 「見逃して六価クロメート処理してしまわないか」と懸念を口にすると、「三価クロメートはレインボウ色、六価クロメートはイエロー色だから間違わないよ」、と明快な回答が返ってきた。その時は納得したのだが黒色のクロメート処理もあり、黒色の場合には色では判断ができないことが後で分かった。すべてが三価クロメート処理に代われば問題はないが、RoHS対応過渡期はリスクになりそうだ。
2軒目は従業員20人ほどの小規模な工場ながら、ここでも六価クロメート処理と並行して三価クロメート処理が行われている。欧州からの注文が多いのか…、日本よりも相当先を走っている印象を受けた。2軒候補先を見つけることが出来てホッとした。

 マレーシア最終日、訪問調整をつけてくれていた大手日系樹脂メーカー工場を訪問。 「日本と成分が全く同じ着色材で、マスターバッチか着色ペレットを供給してもらえないか」尋ねたところ、「大丈夫ですよ」二つ返事でうれしい回答をもらった。
 「保証書」が「補償書」となる課題は残っているが、樹脂部品へのカドミウム含有原因の解明、六価クロメート処理に替わる表面処理ができる先を見つけることが出来、大きな肩の荷を降ろした気持ちで帰国の途についた。


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