月刊化学物質管理 コラム『私の含有化学物質管理』第1回 

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『私の含有化学物質管理』
第9回 EU RoHS指令あれこれ−2


河田 研(2018.9.19)

富士フイルム株式会社にて機器製品開発および環境対策推進に従事なされ、ご退職後は海外化学物質規制に関する講師を勤めていらっしゃいます。
この度は、国内・海外で実際に経験された化学物質管理リスクへの取り組みの歴史を紹介いただきます。


 RoHS 指令違反の部品は、その後も工場で次々と見つかった。台湾は比較的管理がしっかりしている印象を持っていたのだが、製品に組み込むコントローラーのカバーを開けてみて、すぐに部品を止めている六価クロメート処理の黄色いネジが目に付いた。詳しく調べてみるとネジだけでは済まず、小板金とスピーカーなど数点に六価クロメート処理が見つかった。私たちがやったように、コントローラー組み立て工場の壁に六価と三価のクロメート処理色サンプルを掲げておけば、一目で不適合が判断できたのに…。
 コントローラーには「Made in Taiwan」のラベルが貼ってあるが、中身の部品やユニットは大半が台湾以外のアジア製造品になっている。「Made in ***」と書かれていても、「最終組み立て国」の意味しか持っていないことを認識した。

 量産初期に「問題なし」と判定されたプラスチック部品が、量産が安定してから蛍光エックス線分析検査で鉛基準オーバーで引っ掛かった。聞き取り調査で、量産の途中でコストダウンのために海外の部品メーカーに変えていたことが分かった。量産初ロットではだれもがRoHS 対応が確実にできているか、必死で確認を行っているが、量産がうまく流れ始めると次の機種の確認に目が移ってしまい、メーカーの切り替わりなどの変化に気が付かない。部品発注先とは「製造条件を変える場合はRoHS 適格確認と当社への通知」の義務条項を結んではいるが、下請け先、孫請け先にまで正確に伝わっているか、それが海外のメーカーの場合でもきっちり伝えられているか…? ずっと続く懸念になっている。
 国内での部品作りでもこんなことがあった。塩ビパイプを加工した部品のロットの中に微妙に色合いが違う部品が混じっている。分析に掛けてみると鉛が高濃度で検出された。発注先に問いただしたところ、製造能力が足りなくなったので、協力工場にスポット製造依頼を掛けたとのこと。スポット依頼を受けた工場が、鉛を含まない「上水道用塩ビパイプ」を使うべきところを「一般用塩ビパイプ」を使うという選定ミスを犯していた。
 日本のモノ作り現場では、製造能力が足りなくなった場合には、協力工場に図面を送って製造してもらう「協力工場ネットワーク」ができているところが多い。このようなスポット的な場合にも「製造先変更通知」が発行されているか…? なかなか実行できていない課題だと思っている。 まして、いまやインターネットを通して海外とも簡単に部品の製造データがやり取りできてしまう。協力工場ネットワークの管理が重要な課題になっている。

 RoHS 指令違反のEUでの摘発情報は、EU-Rapex(EU緊急情報システム)によって各国に通知、公開される。その公開情報を見てみると毎年数件あり、ほとんどが家電製品での鉛半田の指摘になっている。「原因国」についての記述もあり、中国が大半を占めている。いまや世界の家電製品の大半を中国が製造しているのだから当然の結果とも思えるが、これ以外にもう一つ、中国RoHS の内容にも原因の一端があるように思っている。
 中国RoHS は2007 年に施行したが、対象が電子情報製品ということで家電製品が入っておらず、また具体的に対象製品を示す「国家重点管理目録」が10 年間空っぽのままで、鉛、カドミウムなどの削減推進機能が果たせていない。中国でのモノ作りは、鉛フリー、カドミウムフリー対策の実施を強制されることなく進んでいる。国内向けにRoHS 規制物質対応をしていなければ、EU輸出品に対しても対応抜けが多くなってもおかしくない。そしてEU-Rapex で中国製品の問題の報告が上がると、各国とも中国製品をより厳しくチェックすることになるのは当然の帰結だ。中国RoHS については次のコラム欄で紹介する。

 RoHS指令はいま続々と多くの国に拡がっている。韓国、台湾、シンガポール、タイ、インド、トルコ、UAE、ユーラシア連合(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ)、ウクライナまで。まだまだ拡がっていくだろう…。

 なぜ日本がRoHS 指令の発信国にならなかったのだろう、と考えることがある。日本こそカドミウムと水銀の健康被害を一番経験している国なのだが…。
 カドミウムは稲の穂に蓄積される。神通川の上流にある亜鉛・鉛鉱山で鉱石を洗浄した排水が浄化処理されることなく流された。その排水には多量のカドミウムが溶け込んでおり、下流の田畑に引き込まれた。その水で育てられた米を食べた人たちは腎臓を壊し、カルシウムが身体から尿と一緒に出て行ってしまった。全身の骨がスカスカな状態になり、つまずいただけで足の骨が折れて、皆「痛い、痛い」と泣き叫ぶ。これがイタイイタイ病。1968 年に公害病と認定されたが、対応をとるまでにどれほどの人たちが苦しんだことだろう…。
 水銀禍については詳しく述べるまでもないだろう。工場から排出された有機水銀が水俣湾の魚に蓄積されて人の口に入り、人の神経を侵してしまった。水俣病の原因と言えば世界中の誰もが分かる。これほどはっきりした公害を経験した国なのだが、日本にはRoHS 指令に相当する法律はない。

 RoHS 指令で一番の成果をあげるとすると、私は鉛/ 錫半田から鉛フリー半田への切り替わりを選びたい。鉛/錫半田は100 年以上かけて築いた信頼性を基盤に持っている。多分、日本でもアメリカでも、「鉛が健康、環境に良くないから、鉛/ 錫半田から鉛フリー半田へ切り替えたい」と政府が言って、業界が動いてくれたかどうか…と思うほどの大きな技術基盤。これを数年で切り替えてしまった。
 28 か国を束ねるEUだからこそできたように思っている。28 か国ともなると各国の利害を調整していたのではまとまらない。理念で動かすしかない。理念が鉛フリー半田という新しい技術を進めさせて、100 年以上の技術にとってかわったことは、EU委員会の大きな自信になったことだろう。そしてRoHS は新しい理念「内分泌撹乱の疑いの高いフタル酸エステルを、より安全と思えるものに切り替える」に動き出した。2019 年からは、電気電子製品には4 種のフタル酸エステルが使えなくなる。RoHS指令は4 年ごとに規制物質、適用除外の見直しを行い、進化する法律になっている。


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