月刊化学物質管理 コラム『私の含有化学物質管理』第1回 

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『私の含有化学物質管理』
第11回 REACH規則について思うこと


河田 研(2018.11.20)

富士フイルム株式会社にて機器製品開発および環境対策推進に従事なされ、ご退職後は海外化学物質規制に関する講師を勤めていらっしゃいます。
この度は、国内・海外で実際に経験された化学物質管理リスクへの取り組みの歴史を紹介いただきます。


 私自身は機械屋で化学物質規制には素人ながら、EUのREACH規則がなぜ今頃になって施行されたのだろう、と以前から疑問を持っていた。
 世の中にはCAS登録された化学物質が1 億種に達し、日本だけでも毎年100 万種以上の新規化学物質が世の中に出されていると聞いた。当然作り出して世の中に出すには安全性や環境への影響は確認しているはず、と思っているのだが… 実態はどうなのだろう。
 1950 年代、PCB(ポリ塩化ビフェニル)と呼ばれる油が日本で工業生産され、熱にも強く、劣化もせず、「夢の油」として電気トランスや熱冷媒に使われた。「夢の油」… そう1968 年に「カネミ油症事件」が起きるまでは…。米ぬか油の精製の冷媒に使われていたPCB が配管の小さな亀裂から漏れ出して米ぬか油を汚染、それを口にした人たちが食中毒を起こし重症に陥った。患者本人だけでなく患者の赤ちゃんにまで皮膚が黒くなる症状が現れた。猛毒といわれるダイオキシン被害に似た症状が全身に出て長く苦しんだ事件。
 大量に作られたPCB は、熱に強い、劣化しないという性質が災いしてなかなか分解が進まず、いまも多くが各企業の倉庫に厳重保管されている。カネミ油症事件がきっかけで、1973 年に日本で「化審法(化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律)」ができ、新規化学物質は市場に出される前に審査されるようになった、と聞いている。
 これによって化学物質のリスクはなくなったのだろうか? アスベストも大量に使われ、30 年経ってから中皮腫の原因が問われている。化学物質管理は、使ってみて事件が起きてから危険性が認識され規制がかけられる「後追い管理」にならざるを得ないのだろうか?

 REACH規則はEUでの最終の化学物質管理規則といわれるが、「後追い管理」を解決できるのだろうか? REACH規則は、新規、既存にかかわらず化学物質を1トン/ 年・社、製造または輸入に対し、登録させ、安全性評価を企業責任で行わせようとしている。ガンや催奇性、内分泌かく乱などのリスクのある化学物質に対しては、製造量にかかわらず高懸念物質として抽出し、順次「認可物質」、「制限物質」に認定し、「認可物質」とされると製造も使用も認可を受けないと行えない。
 1トン/ 年・社以上の化学物質に関しては、「届け出」→「評価」→「審査、認定」と管理のワクが掛けられ、1トン/ 年・社以下の既存化学物質に対しても高懸念物質は順次「認可」か「制限」の規制を受けるが、1トン/ 年・社以下の新規化学物質についての管理ワクがすっぽり抜けている。
1トン/ 年・社以下の新規化学物質は「届け出」も「評価」も「審査」もされることなく世の中に出ていってしまうが、大丈夫だろうか? 「後追い管理」のリスクが残ってしまうように思えるのだが、REACH規則では次のステップを考えているのだろうか、それとも企業の自主管理に任せようとしているのか…?
 EU の化学物質管理規則には以前「10 kg 以上の新規化学物質は届け出、審査の義務」が設けられていたが、REACH規則に統合された折に消えてしまった。欧州の環境担当者から「少量の新規化学物質の届け出は手続きが面倒、と欧州企業がいうのでREACH規則でなくしたらしい」という話を聞いたが、なぜRoHS 指令の時のように理念優先で進められなかったのか、ちぐはぐな印象がぬぐえない。

 REACH規則はアーティクル(成形品)に含有される化学物質に関しても管理ワクを設けている。「高懸念物質を0.1 % 以上含有する場合は納入先に含有情報を伝える」、「アーティクル中の高懸念物質のトータル量が1 トン/ 年・社を超える場合は届け出る」との義務を持つ。
 この「高懸念物質を0.1 % 以上含有する場合は含有情報伝達義務」の含有情報集めがなかなか難物で、日本ではどの企業も大変な苦労を強いられている。全てのアーティクルが日本だけで作られていればいいのだが、いまや多くは東南アジア、中国などで作られている。「メイドイン・ジャパン」と書かれているものも、最終組み立て国が日本というだけで、中の部品の大半は外国製になっている。「0.1 % 以上含有」の分母は、当初ECHA(欧州化学品庁)のガイドラインで「製品重量」とされていたが、2016 年にEU裁判所が見直し裁定を出したことで「アーティクル重量」に解釈が変更された。製品重量が分母であれば微小な部品は無視することができたが、分母がアーティクル重量となったことで部品単位で含有化学物質情報を確認することが必要になった。私たちの開発していた製品では1 機種だけで部品数は1 万点以上になる。これ程の数に対して高懸念物質の含有情報を収集するとなると、絶望的な思いにならざるを得ない。RoHS 指令の時の6 物質でさえ大変な負荷を強いられたが、REACH規則の高懸念物質は200 を超え、更に毎年増えていく。
 EUも同様の状況だと思われるのだが、どのように対応しているのだろう…。
 EUはいまや28 カ国の集合体。言語も様々で、当然日本より高懸念物質含有情報収集が難しいと思われるが、どうしているのだろう? 欧州の企業人に話を聞く機会を得たが、「高懸念物質を含有していればサプライヤーは受領者に含有情報を流せ、と法律が言っているのだから情報が来るまで待っていればいい」、と割り切った回答が返ってきた。ECHAが出しているガイドラインを読むと、「高懸念物質含有の有無情報を上流企業に要求し、それでも来なければその上流企業に問い合わせる」よう薦めているが、ガイドラインには法的拘束力がない。それに現実問題として、部品が海外製だと「その上流企業に問い合わせる」こと自体そう簡単にはいかない。サプライチェーンのどこか一か所でも情報伝達を怠るかミスをすると、その下流には正しい含有情報が伝わらないが、この場合の責任はどこに問うつもりなのか?

 「アーティクルの高懸念物質含有情報伝達の義務」をREACH規則に加えた人たちは、意義をどのように考えていたのだろう? 現実をよく知らない人たちが「思い付き」で入れた、とは思いたくないが…。これほどの負荷を強いているのだから、せめて実施により効果がどれほど上がったかを公表してもらえれば理念が見えてくるのだが、いまのところ全く見えてこない。


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