月刊化学物質管理 コラム『私の含有化学物質管理』第1回 

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『私の含有化学物質管理』
第12回 含有化学物質規制の意義について考える


河田 研(2018.12.17)

富士フイルム株式会社にて機器製品開発および環境対策推進に従事なされ、ご退職後は海外化学物質規制に関する講師を勤めていらっしゃいます。
この度は、国内・海外で実際に経験された化学物質管理リスクへの取り組みの歴史を紹介いただきます。


 この1 年、本コラム欄で私が体験したことをもとに、カドミウム指令、RoHS 指令など法令への違反リスクについて紹介させていただいてきた。私たちは含有化学物質規制法への対応に大変苦労させられているのだが、その法律を作る側はどのようなことを考えて策定したのだろう…。

 1983 年に施行されたEU包材重金属指令では、鉛、カドミウム、水銀、六価クロムが規制されている。梱包材は一番最初に躊躇なく廃棄されてしまうもので、含んでいる重金属は焼却されても灰に残ってしまう。廃棄作業者がその煙や灰を吸えば急性鉛中毒やカドミウム中毒などを起こすし、その焼却灰を埋め立てると土壌に重金属が溶け出して地下水や河川汚染を起こす。バルト海がかつて深刻な重金属汚染に見舞われたことは周知のことで、梱包材が最初に規制されたのは当然なことと思える。
 包材重金属指令違反はEUで厳しくチェックされていると思っていたのだが、摘発情報はほとんど見当たらない。一方、米国(15 州)もEUと同じ時期に包材重金属規制法を制定しているが、こちらは厳しくチェックされており、時折抜き打ち検査が行われている。NY州では「初犯は最高罰金額1 万ドル、再犯時は2 万ドル/ 件(棚の1商品を1 件とカウント)」の高額罰金が設定されている。この罰金のニュースが流された途端、「違反指摘された製品が一夜で商店の棚から消えた」との記事を目にした。米国は指摘に対応しないとびっくりするほどの高額罰金であっても厳しく法を適応する。さすが米国包材重金属規制はそれなりの効果を上げている。
 日本では印刷インク工業連合会が「食品用包装材料のインクには有害物質を使用しない」との自主規制を掛けているが、私自身は包材全体への規制が必要だと思っている。

 EUカドミウム指令(危険な物質の調剤と上市を制限する指令76/769EEC)は塗料、樹脂にカドミウムの含有を禁止しているが、100 ppmと非常に厳しい規制値が設定されている。カドミウムとはそれほど健康被害を起こす化学物質なのだろうか? カドミウムを含む塗料は、はがす際に作業者が吸い込んで肺水腫中毒などを起こす危険が指摘されている。またプラスチックに含有されると、焼却の際に出る煙塵を作業者が吸うと急性中毒を起こす。また発ガン性も指摘されている。そして焼却灰が埋め立てられると、雨に溶け出し土壌や河川、海洋の汚染を起こす。健康リスクの大きさを考えると規制化は当然のように思われる。
 日本ではイタイイタイ病の原因になったものだが、どのような規制がなされているのだろう…? 水質基準(排水、地下水)と食品(コメ)で規制されているのが見つかったが、塗料や樹脂への含有規制は見当たらない。多くの工業会や塗料メーカーの自主規制でインクや塗料への含有を規制したりしているが、海外から入ってくるものに対しては歯止めがない。実際、東南アジアや中国から入ってきた製品梱包のPP バンドやラベルのインクにカドミウムが含有されているのを何度も経験した。なおイタイイタイ病を起こした地域で育ったコメの一部は、いまだに食品には使われずに糊などに加工されていると聞いた。一度汚染が起こると、その影響は簡単に消えることはなさそうだ。

 EU RoHS 指令は電気電子製品の鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、特定臭素系難燃剤含有を禁止したものだが、いまや年間に何億台という数のTVやパソコンが製造され廃棄されている状況を見れば、この規制が持つ意義は明らかだと思う。発展途上国での半田付け作業を想像してみても、作業者は排煙装置など不備な中で並んで半田付けをしていて、一日鉛蒸気を吸い続けている。廃電気電子製品の処理でも、廃棄基板から電子部品を抜き取るため火をたいたドラム缶の上に基板を置いて作業し、一日中半田の鉛蒸気を吸っている実態をアジアで私自身目にしている。また電子部品から金を取り出すため強い酸で金属を溶かし、金だけを抽出した後に廃液を下水に流している実態も目にした。半田の鉛フリーを実現しただけでも大きいと思っている。
 鉄製品のメッキについても、RoHS 指令以前は六価クロメート処理がほとんどだったが、RoHS 指令によっていまや多くのメッキ処理が毒性の小さい三価クロメート処理に替わっている。六価クロムは強い酸化性で、皮膚につくと皮膚炎や潰瘍を生じる。昔はメッキ工場で働く人たちの鼻に「鼻中隔穿孔」と言われる孔があいたことが知られている。「鼻中隔穿孔ができてメッキ職人一人前」、と言われた時代があったと聞いたことがある。六価クロムは発ガン性があり、長期の吸引は肺ガンの原因として指摘されている。水溶性で、廃棄された部品などから溶け出して汚染を起こす。地下水などの汚染水の長期摂取は胃ガン、大腸ガンを生じる。メッキ工場で働く作業者の健康リスクを減らしたこと、河川や地下水の六価クロム汚染のリスクを減らしたことは大きな成果だと思う。

 2006 年のEU RoHS指令施行以来12 年、世界でRoHS同様の法律を施行している国は毎年拡がっていっているが、EU以外ではまだ10 カ国程度。世界がRoHS 指令に統一して動くようになれば、とてつもなく大きな環境改善が得られるのだが…。
 日本にはまだRoHS 指令のような規制がない。2001 年のオランダ税関でのゲーム機通関差止め事件のショックが大きく、日本の企業は大変な努力をして輸出品のRoHS 対応を進めているのだが、国全体での削減は進んでいるのだろうか? 「RoHS 締結国に売れない製品だから日本で売ろう」… 気が付いたら焼却処分場や埋立処分場から鉛やカドミウムなどが漏れ出して河川が重金属汚染されている、ということにならないか。企業人としてRoHS対応などに走り回っていた立場から解放されたいま、自分たちの足元が大丈夫なのかどうか、立ち止まって考えてみたいと思っている。

 終わり



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