第5回_中国はPOPs条約へどのように対応しているのでしょうか。また、どのサイトを参照すれば対応状況が確認できるでしょうか?

中国のPOPs条約(残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約)(以下 ストックホルム条約)に対する対応状況について、お答え致します。
中国ですが、ストックホルム条約の歴史的流れは、2001年5月23日に署名、2004年8月13日の批准、2004年11月11日に発行となっています。
ストックホルム条約は各国の国内法により定められており、中国は主に「中国厳格制限有毒化学目録」を通じてストックホルム条約に制限された物質を管理しています。

中国のストックホルム条約に関連する最新の情報は、2019年12月31日発表された「中国厳格制限有毒化学目録(2020年)に関する公告」*1の中に記載されています。

中国当局の発表の概要は以下の通りです。中国生態環境部、中国商務部と中国海関総署(現在は中華人民共和国税関総署)には2019年12月31日に共同で「中国厳格制限有毒化学目録(2020年)に関する公告」を公布し、中国版の「中国厳格制限有毒化学目録(以下、目録)」*2、2020年1月1日より実施することになりました。

2020年版では、パーフルオロオクタンスルホン酸とその塩およびパーフルオロオクチルスルホニルクロリド(PFOS/F)が追加されています。
該当製品を輸入または輸出するには、輸出入許可書を申請する必要があり、また、その用途がストックホルム条約の許可用途であることが必要です。
補足として、中国が海外から有毒化学物質を輸入する場合の手続きを説明します。輸出入事業者は、有毒化学物質の輸出入環境管理に基づいて、輸出入手続きを税関に通知しなければなりません。

1 登録条件
登録を必要とする有毒化学物質
(1) ストックホルム条約および関連改正によって規制される化学物質の輸入。
(2) 水銀に関する水俣条約(以下、水銀条約)によって規制されている化学物質の輸入。
(3) 国際貿易における特定の有害な化学物質および殺虫剤に関する事前の情報に基づく同意の手続きに関するロッテルダム条約及び関連する改正によって規制される化学物質。
つまり、上記の目録*2に記載されている有毒化学物質。

2 提出を必要とする書類
(1) 毒劇物輸入環境管理取締届出書申請書。
(2) 外国人事業者と締結した輸入契約。
(3) ストックホルム条約 および関連する改正によって規制される輸入化学物質は、許容される目的のみで、または特定の証拠として提出する必要があります。
(4) 水銀条約で規制される化学物質については、以下を提出する必要があります。
・輸入された化学物質が、「水銀に関する水俣条約の発効に関する告示」で指定された限られた期間内に許可された目的のためにのみ使用されているという証拠。
・水銀条約の規定に準拠した輸入目的に関するデータおよび情報。
(5) 「国際貿易における特定の有害な化学物質および殺虫剤に関する事前の情報に基づく同意手続に関するロッテルダム条約」およびの関連する改正によって規制される化学物質については、登録要件を満たす証明資料を提出する必要があります。
(6) 初回輸入でない場合は、これまでの各バッチの輸入、フロー、使用状況を提出すること。

3 申請先
申請先は生態環境省です。 申請者は、生態環境部の固形廃棄物および化学物質管理技術センターに申請し、申請資料を提出します。 登録条件を満たすものについては、生態環境省が輸入許可書を発行します。

4 有効期間
輸入許可書の有効期間は6ヶ月です。

5 登録期限
受付日から20営業日。

6 申請結果の公表
登録の決定は 20 営業日以内に公開されます。

7 事後規制
中国に化学物質を輸入する部門は、輸入、流れ、および使用を正確に記録するために詳細な記録を確立する必要があります。

*1中国厳格制限有毒化学目録(2020年)に関する公告
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201912/t20191231_756318.html
*2中国厳格制限有毒化学目録
https://www.mee.gov.cn/xxgk2018/xxgk/xxgk01/201912/W020191231656963031853.pdf

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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