第98回_KCマーキング貼付にはCEマーキングと同様に規制物質への適合確認が必要なのでしょうか?
KCマーキングの適合確認では、対象となる製品の危険度により、
1. KCマーキングが不必要なもの
・後述する24の法定義務認証制度の対象外の品目
・「安全基準遵守対象生活用品」(2018年7月から)
・定められた条件の下、並行輸入業者や個人向け購買代行業者に対して
2. 認証された適合性評価機関で適合確認されたKCマーキングが必要なもの
・後述する24の法定義務認証制度の対象品目
に分かれます。KCマーキングは、すべて認証された適合性評価機関で認証を受ける必要があります。
一方、CEマーキングの適合確認は、対象となる製品の危険度により、
1.CEマーキングが不必要なもの
2.自己宣言によるEU適合宣言書(EU Declaration of Conformity)の作成、または、加盟国の認定を受けた第三者認証機関(Notified Body : NB)による適合確認のどちらかがあればよいもの
3.NBによる適合確認が必要なもの
に分かれます。CEマーキングでは、2.のように、NBによる適合確認ではなくても、自社内で適合確認する自己宣言でよい場合があります。
以下、詳しく説明します。
韓国では、かつては合計70以上の法定義務認証制度があり、同じ「製品安全」でも、省庁ごとに認証マークが異なり、重複して認証が必要でした。
2009年に2省庁10個の法定義務認証マークを国家統合認証マーク(KCマーク)ひとつに統合しました。その後、11省庁24制度がKCマークを使用しています。
そのため、韓国のKCマーキングのためには、以下の11省庁24の法定義務認証制度の規定すべての適合を確認する必要があります*1)。
番号 所管省 認証制度名 根拠法
1 国家技術標準院 メーター型式承認と黒 計量に関する法律
2 国家技術標準院 生活用品安全管理 電気用品および生活用品安全管理法
3 国家技術標準院 電気用品安全管理 電気用品および生活用品安全管理法
4 国家技術標準院 子供製品の安全管理 子供製品安全特別法
5 産業通商資源部 高圧ガス用製品安全検査 高圧ガス安全管理法
6 産業通商資源部 ガス用品検査 液化石油ガスの安全管理及び事業法
7 産業通商資源部 エネルギー消費効率等級表示 エネルギー利用合理化法
8 国土交通部 自動車および自動車部品の自己認証 自動車管理法
9 国土交通部 耐圧容器取付検査 自動車管理法
10 国土交通部 耐火構造認定 建築法
11 国土交通部 壁の遮音構造を認める 建築法
12 海洋水産部 海洋環境測定機器及び資材・薬剤検定 海洋環境管理法
13 海洋水産部 塩品質検査 塩産業振興法
14 環境省 浄水器品質検査 食べる水管理法
15 環境省 衛生安全基準認証 修道法
16 科学技術情報通信部 放送通信機材適性評価制度 電波法
17 消防庁 消防用品形式承認 消防施設の設置・維持及び安全管理に関する法律
18 消防庁 防炎性能検査 消防施設の設置・維持及び安全管理に関する法律
19 行政安全部 昇降機安全認証 昇降機安全管理法
20 雇用労働部 危険機械機構安全認証 産業安全衛生法
21 雇用労働部 防護装置および保護区の安全認証 産業安全衛生法
22 防衛事業庁 繊維皮複流軍需品KCマーク適用 防衛事業法
23 気象庁 気象測器検定証人 気象観測標準化法
24 気象庁 地震・地震津波・火山の観測機器検定 地震・地震津波・火山の観測および警報に関する法律
KCマーキングの認証は、韓国技術標準院*2)(Korean Agency for Technology and Standards: KATS)が運営する韓国認定機関(KOLAS)が、特定の適合性評価業務を遂行する能力があると認定した適合性評価機関が行います。日本国内には、これらの適合性評価機関と業務提携している認証取得代行機関があります。日本からは代行機関を通じて申請する方法の方が便利だとされています*3)。
*1) 国家統合認証マーク(KC) 韓国:国家技術標準院
https://standard.go.kr/KSCI/crtfcPotIntro/crtfcMarkIntro.do
*2) 韓国技術標準院(Korean Agency for Technology and Standards: KATS)
https://www.kats.go.kr/main.do
*3) KCマーク制度の概要:韓国 ジェトロ(日本貿易振興機構)
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011119.html
免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。