第40回 アニリン

誌面掲載:2020年12月号 情報更新:2024年12月

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1. 名称(その物質を特定するための名称や番号)(図表1)

1.1 化学物質名/ 別名

アニリン(Aniline)は原料の植物に由来する名称で、IUPACで慣用名として認められている。ベンゼン(Benzene:C6H6)の1 個の水素(H)がアミノ基(-NH2)に置き換わったもので、芳香族アミンの1 種である。化学式ではC6H5NH2 と書くことができる。IUPACの系統的名称ではベンゼンが結合したアミン(Amine: -NH2)と考え、ベンゼンが他の物質に結合している場合の接頭語はフェニル(Phenyl)なので、フェニルアミン(Phenylamine)という。ベンゼンアミン(Benzenamine)という名称もある。逆にベンゼンにアミンが結合していると考えればアミノベンゼン(Aminobenzene)ということになる。

 

1.2 CAS No.、化学物質審査規制法(化審法)、労働安全衛生法(安衛法)官報公示整理番号、その他の番号

CAS No. は62-53-3 で、化審法官報公示整理番号は3-105 である。化審法の3-…は第3 類で「炭素による環が1 個の低分子化合物」という分類を示している。安衛法は既存物質とし化審法番号で公表されている。EU のEC 番号200-539-3 である。REACH 登録番号は01-2119451454-41-xxxx(xxxx は登録者番号)である。

 

図表1 アニリンの特定

名称 アニリン

Aniline

別名 フェニルアミン

Phenylamine

ベンゼンアミン

Benzenamine

アミノベンゼン

Aminobenzene

化学式 C6H7N

C6H5NH2

CAS No. 62-53-3
化審法(安衛法) 3-105
EC No. 200-539-3
REACH 01-2119451454-41-xxxx

*: xxxxは登録者番号

 


2. 特徴的な物理化学的性質/ 人や環境への影響(有害性)

2.1. 物理化学的性質(図表2)

無色から淡黄色の油状の液体で特徴的な臭い(芳香族アミン臭)がある。空気に接触すると赤褐色になる。可燃性で76 ℃以上では蒸気と空気の爆発性の混合気体を生ずることがある。190 ℃以上で分解し、火災時には窒素酸化物やアンモニアなどを含む有毒で腐食性のガスやフュームを生ずる。水に少し溶け、水溶液は弱アルカリ性(飽和水溶液でpH は約8.8)を示す。酸性水溶液には溶解する。n- オクタノール/ 水分配係数(log Pow)は約0.9 で生物濃縮性はないと考えられる。

 

図表2 アニリンの主な物理化学的性質(ICSC による)

融点(℃) -6
沸点(℃) 184
引火点(℃) 76 (c.c.)
発火点(℃) 630
爆発限界(vol %) 1.2 ~ 11.0
蒸気密度(空気=1) 3.2
比重(水=1) 1.02
水への溶解度(g/100ml) (20℃) 3.4
n-オクタノール/水分配係数(log Pow) 0.94

 

 

2.2 有害性(図表3)

蒸気は皮膚や肺から体内に容易に吸収される。経口摂取した場合も消化管から吸収される。その後、そのまま又はp- アミノフェノール(p-Aminophenol:H2NC6H4OH,CAS No. 123-30-8)等の代謝物等に変化して主に尿中に排出される。代謝の過程で血中のヘモグロビンの鉄が酸化されてメトヘモグロビンが生成する。メトヘモグロビンは酸素と結合することができず、酸素を全身に運ぶことができない。急性毒性症状としてはメトヘモグロビン生成による貧血、チアノーゼ(血中酸素濃度低下により皮膚や粘膜が青紫色になっている状態)、眩暈、意識障害、痙攣、呼吸困難等である。さらに重症になると意識不明から死に至ることもある。ヒトでは約2.5 g の摂取で生命が危険になる。図表3 のNITE のGHS 分類で吸入による急性毒性は蒸気だと区分2、ミストで区分4 としている。NITE のGHS分類は、飽和蒸気圧濃度が約406 ppm(1.55 mg/L)に対し、蒸気ではLC50 は250 ppm(0.95 mg/L)でミストを含まない気体の判定基準、 ミストでは478 ~839 ppm(1.82 ~ 3.19 mg/L)で、粉塵/ ミストの判定基準で判定されている。気体の蒸気とミストでは吸入後の呼気による排出に違いがあるので判定基準が違う。GHS では、蒸気での試験ではミストの含有が不明の場合、別途判断基準を設けている。その場合0.5 mg/L < LC50 ≦ 2.0 mg/L で区分2 としている。NITE の挙げたデータ4 件のうち2 件は< 2.0 mg/L である。皮膚に付着した場合、刺激性を示す。皮膚から吸収されて急性毒性を示すおそれがある。眼に対し角膜損傷等強い影響がある。皮膚感作性に関して日本産業衛生学会が第1 群に分類している。繰り返し接触するとアレルギー性皮膚炎などを起こすおそれがある。長期的な曝露でもメトヘモグロビン血症やそれに伴う影響が見られる。遺伝子への影響を調べる変異原性試験では陽性のデータが多い。発がん性について、IARC はNITEがGHS 分類を実施した2016 年度ではまだ1987 年のGroup 3(ヒトの発がん性に分類できない)であったが、2021年にGroup 2A(人におそらく発がん性)に分類している。日本産業衛生学会は、動物試験での証拠は十分であるがヒトへの発がん性の判断には不十分として2024年に第2 群B(ヒトに対しおそらく発がん性あり)に分類することを提案している。米国のACGIH はA3(動物試験では発がん性が確認されているがヒトに対しては証拠が不十分)としているが、EU-CLP ではCarc. 2(ヒトに発がん性の疑いがある)に分類している。NITE は2016 年の分類では区分2 としていたがIARC の分類の改定に伴い、2021年度の見直しで区分1B に改定した。生殖毒性についてはヒトでの情報はないが、親動物に影響が現れるほどの高濃度での動物試験において、発生影響が見られている。なお少量の試験ではアニリンそのものでもアニリンの塩酸塩等の塩でも同様の影響が見られると考えられている。

2.3 環境有害性(図表3)

水生生物に対する有害性はGHS で急性、長期とも区分1 と強い有害性を示す。上記のようにn- オクタノール/ 水分配係数が1 未満であり、魚を用いた生物濃縮性試験でも100 倍未満と生物濃縮性は小さい。生分解性についてBOD による分解度は85 % で良分解性である。(微生物を用いた生分解性試験で分解性の基準物質として使われる。) 長期的な影響に関して甲殻類(オオミジンコ)で21 日間の繁殖状況から、無影響濃度(NOEC)は0.004 mg/L というデータがあるが、急速分解性があるのでGHS分類の毒性乗率(M値)は1 である。

 

図表3 アニリンのGHS分類(NITE による)

GHS分類 区分
物理化学的危険性
引火性液体 4
自然発火性液体 区分外
金属腐食性
健康有害性
急性毒性(経口) 4
急性毒性(経皮) 3
急性毒性(吸入:蒸気) 2
急性毒性(吸入:ミスト) 4
皮膚腐食/刺激性 区分外
眼損傷/刺激性 2A
皮膚感作性 1
生殖細胞変異原性 2
発がん性 1B
生殖毒性 2
特定標的臓器(単回) 1(血液系、神経系)
 特定標的臓器(反復) 1(血液系、神経系)
誤えん有害性
環境有害性
 水生環境有害性(短期/急性) 1
水生環境有害性(長期/慢性) 1

 

図表4 アニリンの発がん性評価

評価機関 評価
IARC Group 2A
日本産業衛生学会 第2群B
ACGIH A3
EU(CLP:GHS) 2
EPA B2

IARC: Group 2A: Probably carcinogenic to humans (ヒトに対しておそらく発がん性を示す)

日本産業衛生学会 第2群B: ヒトに対しておそらく発がん性があると判断できる

ACGIH A3: Confirmed animal carcinogen with unknown relevance to humans(動物実験で発がん性が認められた)

EPA B2: Probable human carcinogen – based on sufficient evidence of carcinogenicity in animals:

(動物での十分な証拠に基づいて、おそらくヒト発がん性物質)

 


3. 主な用途

医薬、農薬、染料の合成中間体、ゴム製品の加硫促進剤、香料、試薬として使用される。またポリウレタンの原料のジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の原料である4,4ʼ- メチレンジアニリン(MDA)の合成原料である。酸化して黒色になることから酸化染料の一種である。アニリンブラックという黒色染料として木綿などの染色に広く用いられていたが、最近では少なくなっている。ヘアカラーに使われる染毛剤には類似のフェニレンジアミン等の芳香族アミンが使われている。

 


4. 事故などの例

・ アニリンを含む廃液を濾過していたところ、トラブルがあって濾過器が停止した。濾過器底部から廃液残渣を掻き出し、廃棄作業を行っていてアニリン蒸気を吸入して中毒した。設備の復旧を急ぐあまり蒸気の発生を想定せず保護具を着用しないままで作業を続けた。

(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101506)

・ 有機顔料の製造工場において、原料仕込み作業場で原料のアニリンの計量後、床にこぼれたアニリンを水洗いした。その排水が排水ピットに流れ込んだ。その時、排水ピット内では溜まった汚泥の除去作業を行っていた。作業員がアニリンの蒸気を吸入して中毒した。ピット内の換気扇は開口部の上部に設置していた。ピット内作業の危険性の把握と対策が不充分だった。

(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=101321)

・ 化学工場でアニリンを用いて顔料中間体を製造していたが、別製品製造のために反応タンクの内部清掃を行っていた。タンク内での作業ではアニリン曝露回避を行った。配管内部の洗浄では直接洗浄作業を行ったところ配管内に残っていたアニリンが作業員の手にかかって中毒を起こした。被災者は軍手で作業していた。

(https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen_pg/SAI_DET.aspx?joho_no=000853)

・ ゴム老化防止剤貯蔵タンクを清掃中に作業員4 人がチアノーゼ等のアニリン中毒を起こした。タンク内に汚れとしてアニリンが付着していた。缶内を高圧洗浄していて皮膚に付着したと考えられる。

( http://saigaijirei.sblo.jp/category/1222353-4.html)

・ 中国吉林省のアニリン製造工場で操作ミスにより爆発・火災事故が発生した。爆発事故で8 人死亡、周辺住民数万人が避難した。翌日鎮火したが、爆発に伴いベンゼン、ニトロベンゼン、アニリンの混合物等計約100 t が中国東北部を流れる松花江に流出した。松花江の水が汚染され、ハルピン市の飲料水でも基準値を超える騒ぎになった。採取された魚からも検出された。さらに水汚染は下流の国際河川の黒竜江(アムール川)に広がり、ロシアのハバロフスクに到達した。汚染物質はオホーツク海に流出したものと思われる。日本も魚などの調査を行った。

(https://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Reports/InterimReport/2012/pdf/C37_ch4.pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/bunsekikagaku/58/9/58_9_807/_pdf)

 


5. 主な法規制(図表4)

化学物質審査規制(化審)法の優先評価化学物質である。環境を通じてヒトや動植物への悪影響を及ぼすおそれがあるが、情報が不充分なため国がリスクを優先的に評価するとしている物質である。製造・輸入した場合、その実績や用途等について届出をしなければならない。化学物質管理促進法で第1 種指定化学物質に指定されており、環境中への放出量等の報告や1 % 以上含有する製品を販売/ 譲渡する場合はSDS 提供の義務がある。労働安全衛生法でも名称等を表示及び通知すべき有害物に指定されており、0.1 % 以上含有する製品の販売/ 譲渡の際にSDS の提供、1 % 以上含めば容器・包装等に名称やGHS分類に基づくラベル表示が必要である。労働基準法で「疾病化学物質」に指定されている。業務上の取扱いで頭痛、眩暈、嘔吐等の自覚症状や溶血性貧血又はメトヘモグロビン血を生じた場合、雇用者は療養、休業等に対する補償を行わなければならない。皮膚感作性があり、皮膚からの吸収により健康障害のおそれがあることから、皮膚等障害化学物質とされ、保護眼鏡、不浸透性の保護衣、保護手袋等適切な保護具の使用義務がある。裾切値は、発がん性のGHS区分1Bのため0.1%である。作業環境基準は定められていないが、屋内作業場での濃度基準値2ppmが定められている。8時間の加重平均濃度をこの基準値以下にしなければならない。日本産業衛生学会は作業環境許容濃度の勧告値を1 ppm(3.8 mg/m3)に設定している。ACGIH はTLV-TWA で2 ppm(7.6 mg/m3)に設定している。いずれの機関も皮膚からの吸収があるとしている。ACGIHはBEI(Biological Exposure Indices、生物学的許容値)として、作業終了時の尿中のp- アミノフェノール濃度を50 mg/L(Ns, Sq, B)* としている。

*: Ns(=Nonspecific、非特異的):p- アミノフェノールはアニリン以外の化学物質曝露からも観察される。Sq(= Semi quantitative、半定性的): アニリン摂取量との明瞭な濃度関係が得られていないので、スクリーニングとして使用できる。B(=Background): 非曝露者からも検出されることがある。BEI 値はこの濃度を加味しての値である。

 

毒物劇物取締法の劇物に指定されている。法の対象は原体(工業的純品)であるが、混合物でも危険有害性はGHS 等に基づいて判断し取扱い、管理が必要である。アニリンと酸との塩類(原体)も劇物に指定されている。

引火点が76 ℃ なので、消防法では危険物第4 類引火性液体の第三石油類に該当する。水には少ししか溶解しないので非水溶性液体である。指定数量は2,000 L である。

アニリン(ANILINE)という品名で国連分類番号1547 がある。国連分類は6.1(毒物)である。国連分類のクラス3(引火性液体)は引火点が60 ℃以下なので、これには該当しない。この基準の違いは消防法では取扱いや保管時の火災の危険性を想定しているのに対し、国連の危険物輸送では赤道を通過する船での移送中、船倉の最高温度を基に決めているためである。また環境汚染物質を含むクラス9 には分類されていないが、海洋汚染物質でもあるので環境有害性の標識が必要である。海洋汚染防止法では、ばら積み輸送では有害液体物質のY類物質で、成分係数は25 である。また、ばら積み輸送以外での輸送(個品運送)でも排出時の通報義務がある。

環境基準は定められていないが、水質で水生生物への懸念から要監視項目に挙げられている。指針値は淡水域で0.02 mg/L 以下、海水域で0.1 mg/L としている。水道法でも要検討項目として目標値0.02 mg/L としている。水質汚濁防止法で事故時の措置(応急措置及び届出)義務のある指定物質に追加されている(2023年2月1日施行)。大気汚染防止法では、揮発性有機化合物(VOC)のひとつであり、有害大気汚染物質の可能性があるとして挙げられた248 物質の中に含まれている。
食品衛生法の食品用器具・容器包装ポジティブリストの基材にエポキシ化合物や塗膜の原料成分として記載がある。

 

図表4 アニリンに関係する法規制

法律名 法区分 条件等
化審法 優先評価化学物質(54)
化学物質管理促進法 第1種指定化学物質 (18) ≧1%
労働安全衛生法 名称等表示/通知対象物(19) 表示 ≧1%
通知 ≧0.1%
濃度基準値設定物質 2ppm
皮膚等障害化学物質 0.1% (皮膚刺激性、吸収性)
労働基準法 疾病化学物質 頭痛、眩暈、嘔吐、溶血性貧血又はメトヘモグロビン血
作業環境許容濃度 日本産業衛生学会 1ppm(3.8mg/m3) (皮)
ACGIH TLV-TWA 2ppm (Skin)
生物学的許容値 ACGIH BEI 尿中、p-アミノフェノール
(p-aminophenol)(作業終了時) 50mg/L (Ns, Sq, B)
毒物劇物取締法 劇物 原体(工業用純品)、

アニリン塩類(原体)

消防法 危険物第4類引火性液体 第三石油類 非水溶性液体
国連危険物輸送勧告 国連分類 6.1(毒物)
国連番号 1547
品名 アニリン

ANILINE

容器等級
海洋汚染物質 該当*
海洋汚染防止法 海洋汚染物質 個品運送P* ≧10%
有害液体物質 Y類(21) 係数25
環境基本法:水質 要監視項目(水生生物) 指針値:淡水域≦0.02mg/L

海水域≦0.1mg/L

水質汚濁防止法 指定物質 該当
水道法 要検討項目 目標値0.02mg/L
大気汚染防止法 有害大気汚染物質(248物質) (排気)
揮発性有機化合物(VOC) (排気)
食品衛生法

食品用器具・容器包装ポジティブリスト

 

基材

 

エポキシ化合物の架橋重合体及び被膜形成時に化学反応を伴う塗膜用途の重合体の原料物質

法区分の()内の数値は政令番号、化管法の数値は「管理番号」で、政令番号は020 安衛法表示/通知対象物の政令番号は2025年3月31までで、4月1日より(規則別表第2の)68

*:海洋汚染防止法はマルポール(MARPOL)条約を担保するものである。条約の附属書Ⅲに「容器に入れて輸送される有害物質(個品有害物質)」の規則がある。その海洋汚染物質とは船舶安全法の危告示(船舶による危険物の運送基準等を定める告示)の品名リストに個品運送の海洋汚染物質として肩文字Pが付されている物質およびGHSの水生環境有害性(急性)区分1、(長期)区分1,2で、「環境」の絵表示が付く物質である。

 


6. 曝露などの可能性と対策

6.1 曝露可能性

可燃性で、76 ℃以上では蒸気は空気と爆発性混合気体を生ずることがある。火災時には刺激性・有害性のガスやフュームを生ずる。人体へは蒸気の吸入や皮膚からの吸収の危険性が高い。通常は閉鎖系で取扱われるので取扱作業者が曝露する可能性は低いと考えられる。計量、配合、サンプリング、移し替え等の作業や漏洩時には曝露するおそれがある。環境中への排出に関しても同様で、環境中に排出されることはほとんどなく、環境への影響は小さいと考えられる。消費者が直接接触する用途はない。

 

6.2 曝露防止

装置、機器を密閉化する。作業者が曝露するおそれがある場所・時は局所排気及び全体換気を行う。状況に応じて個人用保護具を着用する。吸入防止は有機ガス用防毒マスク、空気(又は酸素)呼吸器や送気マスク、眼はゴーグル又は全面保護眼鏡、皮膚からの吸収もあるので保護手袋や保護衣等で皮膚の露出を防ぐ。飛沫の飛散があるおそれがある場合は体全体を覆う防護服やブーツが必要になる。取扱後は体の露出していた部分をよく洗う。付着又はその可能性がある場合は石鹸を用いて大量の水で洗う。

 

6.3 廃棄処理

燃焼すると窒素酸化物(NOx)が発生するので、アフターバーナー及びスクラバーを備えた焼却炉で焼却する。窒素酸化物は燃焼ガスからスクラバー等により水系に回収できる。施設からの排水には窒素(アンモニア/ 窒素酸化物)含有量等の排水基準がある。都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者(又は処理を行う地方公共団体)に委託して処理する。処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。水生生物に対する有害性が高いが、希薄な水溶液であれば生分解性があるので活性汚泥による処理も可能であると考えられる。

 

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