第2回_PTFEには不純物又は副生物としてPFAS類が含まれているのでしょうか?
PTFEの微粉末の製造工程で、PFAS類が副生される可能性があります。EU REACH規則では、PTFEの微粉末の製造での副生PFAS類について、物質の特定及び濃度限界値が規定されています。
この規定は、2024年8月25日までに見直しがされます。
1.PFASの特定
OECDは、non-ポリマー(PFCA等)だけでなく、Polytrtorafloroethylen(PTFE)やPolyvinyldene Fluoride(PVDF)などFloropolymers(PTFE)を含めて約4720物質についてPFASとして定義しています(1)。このOECDの定義では、PTFEそのものがPFASになります。一方、EU REACH規則では、制限物質として附属書XVII No.68では以下のnon-ポリマーを特定しています(2)。注:REACH規則では、ポリマーは登録及び評価の対象ではありません。制限の対象物質は次のPFCAです。
CnF2n +1-C(= O)OH(n = 8~13(C9~C14 PFCA)の直鎖および分枝鎖ペルフルオロカルボン酸、それらの塩、およびそれらの任意の組合せを含む);
CnF2n +1-式を有するペルフルオロ基を有するC9-C14 PFCA関連物質であって、n = 8~13であり、それらの塩およびそれらの任意の組合せを含む、他の炭素原子に直接結合しているもの;
CnF2n+1を有するペルフルオロ基を有する任意のC9~C14 PFCA関連物質(式中、n = 9、10、11、12、13または14は、構造要素の1つとして、それらの塩およびそれらの任意の組合せを含む)。
以下の物質はこの指定から除外される
– CnF2n +1-X(X = F、Cl、またはBr)
ここで、n = 9~14(それらの任意の組合せを含む)、
– CnF2n+1-C(= O)OX'(ここで、n>13およびX’=塩を含む任意の基)
C9-C14直鎖および/または分枝ペルフルオロカルボン酸(C9-C14 PFCA)、それらの塩およびC9-C14 PFCA関連物質、ペルフルオロノナン-1-オイック酸(PFNA);ノナデカフルオロデカン酸 (PFDA);
ヘンコサフルオロウンデカン酸 (PFUnDA); トリコサフルオロドデカン酸 (PFDoDA); ペンタコサフルオロトリデカン酸 (PFTrDA); ヘプタコサフルオロテトラデカン酸 (PFTDA);それらの塩および前駆体を含む
2023年2月25日以降、自社で製造、または物質として上市してはならない。
2023年2月25日以降は使用せず、上市せず:
(a) 成分としての別の物質;
(b) 混合物;
(c) 成形品
ただし、物質、混合物または成形品中の濃度が、C9~C14のPFCAとその塩の合計では25ppb未満、C9~C14のPFCA関連物質の合計では260ppb未満である場合を除く。
2.規制対象物質
PTFEについては、EU REACH規則 附属書XVII No.68のパラグラフ11で以下の条件が付されています。イオン化照射または熱分解によって製造されたPTFE微粉末中に、ならびにPTFE微粉末を含有する工業用および専門用の混合物および成形品中に存在する場合では、2に規定する濃度限界値は、C9~C14のPFCAの合計が1 000ppbであるものとする。POPs規則でのPTFE中のPFOA(C=8 PFCA)については、25ppbが濃度限界になっています(3)。濃度限界値との妥当性や対象PFASの妥当性が懸念されますが、見直し条項があります。PTFE微粉末の製造および使用中のC9~C14 PFCAのすべての排出は回避され、可能でなければ技術的および実用的に可能な限り低減されるものとする。委員会は、遅くとも2024年8月25日までにこの特例を見直すものとする。
(1)第1回 PFASに対する総合戦略検討専門家会議 議事次第・配付資料参考資料1
https://www.env.go.jp/content/000107498.pdf
(2)EU官報 (EU) 2021/1297
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32021R1297
(3)ストックホルム条約 第10回締約国会議
http://chm.pops.int/TheConvention/ConferenceoftheParties/Meetings/COP10/tabid/8397/Default.aspx
免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。
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