第7回_安衛法で通知義務対象物のSDSを作成する際に、JIS準拠することは義務でしょうか?努力義務でしょうか?

労働安全衛生法(以下安衛法)の通知義務対象物のSDSに関して、以下の記載事項は定めていますが書式に関する規則はありません。JIS Z7253「GHSに基づく化学品の危険有害性情報の伝達方法-ラベル、作業場内の表示及び安全データシート」(以下JIS Z7253)への準拠は求められてはいませんが、JIS Z 7253に準拠した記載を行えば、安衛法の要求事項を満たすことになるとしています1)2)3)。

安衛法第57条の二および労働安全衛生規則第34条の二の四において、通知義務対象物に関して以下の事項を通知することを求めています1)2)。

1 名称
2 成分及びその含有量
3 物理的及び化学的性質
4 人体に及ぼす作用
5 貯蔵又は取扱い上の注意
6 流出その他の事故が発生した場合において講ずべき応急の措置
7 通知を行う者の氏名、住所及び電話番号
8 危険性又は有害性の要約
9 安定性及び反応性
10 想定される用途及び当該用途における使用上の注意
11 適用される法令
12 その他参考となる事項

なお、昨年の安衛法政省令の改正に伴い4)、2の成分量の標記方法・4の人体に及ぼす作用の定期的な見直し・5の必要な保護具の記載の義務化を定めています5)。また、通知義務対象追加予定物質を含むSDSの優先的見直しと適用法令への追記の努力義務にも注意が必要です6)。
安衛法では、以上の内容を文書にて通知することを求めていますが、その形式は定めておらず、SDS作成する際にJISに準拠する義務および努力義務は設定していません。

SDSの作成を義務付けている法律は、安衛法以外に、化学物質排出把握管理促進法(以下、化管法)と毒物及び劇物取締法(以下、毒劇法)があります1)。
化管法では、対象となる指定化学物質のSDSの記載方法は、省令にてJIS Z 7253に準拠することを努力義務化しています7)。
毒劇法では、関係法令に規定する危険有害性情報の伝達等に関する事項を満たすためには、対象物質のSDSはJIS Z 7253 に準拠した記載に加え、「毒物又は劇物」の区別の記載が必要であると通達しています8)。

参考資料
1)ラベル表示・SDS(安全データシート)提供制度の解説
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/131003-01-all.pdf
2)表示及び文書交付に係る留意事項(Ⅱ第1および第3)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000945419.pdf
3)化学物質対策に関するQ&A(ラベル・SDS関係)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11237.html
4) 化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000099121_00005.html
5)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000946000.pdf
6)規制対象候補物質に対するSDS作成
https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000945586.pdf
7)化管法 指定化学物質等の性状及び取扱いに関する情報の提供の方法等を定める省令の第4条1項
https://www.meti.go.jp/policy/chemical_management/law/msds/pdf/220331_sdssyourei.pdf
8)毒劇法 毒物又は劇物の容器及び被包への表示等に係る留意事項について
https://www.nihs.go.jp/mhlw/chemical/doku/tuuti/H240326/20120326tsuuti.pdf

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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