第11回_RoHS1やRoHS2は正式な名称ですか?RoHS適合と言ったら最新のRoHS指令(10物質)と考えるのか?現在10物質規制ですが追加された4物質含有しているものは今はRoHSとは言えないと思っています。この認識はあっていますか?

RoHS指令の正式名称は、電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する2011年6月8日付け欧州議会・理事会指令2011/65/EU(Directive on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical Equipment)*1となります。この指令は、廃棄される電気電子機器の環境に配慮した回収と処分を含む、人の健康と環境の保護に貢献することを目的として、電気電子機器(EEE)での有害物質の使用制限に関する規則を定めています。RoHS1やRoHS2は通称ですが、EU当局も使用しています。そのため、RoHS1やRoHS2という名称は通常使用されています。

旧RoHS指令(通称:RoHS1指令)は、2003年2月欧州議会・理事会により制定され、2003年2月13日に公布され、2006年7月1日に施行されています。現在のRoHS指令の改定は、2011年6月8日の欧州議会・理事会で改定が行われました。これが、通称RoHS2指令です。2011年7月1日に公布され、2013年1月3日から施行されました。当初のRoHS1指令はRoHS2指令の施行とともに2013年1月に廃止されています。

 

RoHS適合とは、最新のRoHS2指令、つまり、RoHS2指令で制限されている10物質を指定された閾値をこえて含有していないことです。RoHS2指令で追加された4物質が閾値を超えて含有されている場合は、RoHS適合ということは難しいでしょう。

また、指定された禁止物質と閾値は以下の通りです。

・カドミウム(Cd)0.01wt%

・鉛(Pb)0.1wt%

・六価クロム(Cr6+)0.1wt%

・水銀(Hg)0.1wt%

・ポリ臭素化ジフェニルエーテル(PBDE)0.1wt%

・ポリ臭素化ビフェニル(PBB)0.1wt%

・フタル酸ジニエチルへキシル(DEHP)0.1wt%

・フタル酸ジブチル(DBP)0.1wt%

・フタル酸ブチルベンジル(BBP)0.1wt%

・フタル酸ジイソブチル(DIBP)0.1wt%

現在、EU圏で上市される製品はRoHS2指令に規制されている10物質が含有されていないことが適合の条件になりますが、適用除外の規定があり、閾値を超えて含有されていることが認められている場合もあります。

製造業者が電気電子機器をEU市場に出す際、製造業者は電気電子機器が第4条に定められた要件に従って設計および製造されていることを確認する必要があります。また、製造業者は、必要な技術文書を作成し、EU指令768/2008 / ECの附属書IIのモジュールAに沿って内部生産管理手順を実行する必要があります。電気電子機器の適用要件への準拠が上記の手順によって実証された場合、製造業者はEU適合宣言を作成し、完成品にCEマーキングを貼付することができます。

EU以外の各国のRoHS類似規制の最近の動きについて簡単に説明すると、EUで始まったRoHS指令は様々な国に波及し、RoHS1の制定以降、いくつかの国で類似の規制が制定されています。2022年になってベトナム、トルコ、インド、中国など一部の国で全面改正や制限対象物質の拡大といった、改正に向けた動きがあります。

ご参考までに、適合宣言の方法はEU適合宣言EU declaration of conformity(DoC)になります。DoCに宣言対象法を記載しますが、特に注記しないかぎり最新法への適合宣言となります。EU適合宣言書には、第4条に規定する要件が満たされていることが実証された旨を記載しなければなりません。EU適合宣言書は、モデル構造を有し、附属書VIで指定された要素を含み、更新されるものとします。EU適合宣言書を作成することにより、製造業者は電気電子機器がこの指令に準拠している責任を負うものとなります。

輸入製品の場合、輸入者は製品にDoCが添付されていることを確認し、製品が上市されてから 10 年間そのコピーを保管する必要があります。

*1.RoHS指令

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=celex%3A32011L0065

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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