第14回_RoHS指令の除外などで、「最終報告」という用語を聞きますが、これは決定、ということですか?

最終報告書は欧州委員会の委託会社による報告書の段階であり、今後この報告書を受けて、欧州委員会がRoHS指令附属書III、Ⅳの改正法案を策定することになります。そのため現時点において適用除外は、確定したわけではありません(1)。

RoHS指令の適用除外の概要と申請からの主な流れについて説明いたします。

(1)概要について
RoHS指令第5条6項では「適用除外の更新申請を拒否する場合、または適用除外を取り消す場合、適用除外の決定日後の最短12ヶ月、遅くとも18ヶ月で失効する」となっているため、適用除外の取り消しがあっても移行期間があります。

(2)RoHS指令適用除外の流れについて
・ステークホルダーによる適用除外申請(適用除外申請更新の場合は18か月前までに申請を行う)
・欧州委員会が入札委託を行い委託された会社による調査開始

「技術的および科学的評価調査と利害関係者との協議」の結果を最終レポート=提案となります。
意見募集において適用除外をすることが難しい製品の提案がなされると、委員会は加盟国および欧州議会と協議します。
委任された指令/決定の草案は、その後、一般のフィードバックのために公開され(4週間)、WTO 貿易委員会へ通知されます (60 日)。
その後、委任指令は委員会によって採択されます。委員会が採択した委任指令の草案は、公式発表前に入手できます。委任行為草案の状況は、委任行為の機関間登録簿で入手できます(2)。
さらに、欧州議会と理事会の 2か月間の精査期間が開始されます (要請に応じて精査期間の延長が可能です)。この精査期間の後、各業界から異議がない場合、委任された指令は官報に掲載されます(3)。

RoHS指令適用除外の決定には、申請日から 18~24か月かかります。過去に申請された免除内容の審議が優先されます。そのため、更新申請が提出された既存の適用除外は、欧州委員会が決定を下すまで有効となります。新しい適用除外を示すこととなり、有効期間も伸びることとなります。また、適用除外が拒否された場合は、適用除外が期限切れになる前に12~18か月の移行期間が与えられます。新しい有効期限を決定する際には、18か月の更新申請期間が考慮されます。期限内に更新申請が提出されなかった適用除外は、付属書Ⅲ、Ⅳに指定された日に失効します。

以上より最終報告が公表された後、正式にその適用除外内容が決定されるまでは、時間を要します。新しい適用除外申請を提出した後、その除外内容が決定されるまで、既存のRoHS指令の規定に準拠する必要があります。

(1)適用除外用途の見直し調査(パック23)最終報告書(サンプル)
https://www.tkk-lab.jp/post/rohs20230217

(2)委任行為の期間間登録簿
https://webgate.ec.europa.eu/regdel/#/home

(3) Implementation of the RoHS Directive
https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/rohs-directive/implementation-rohs-directive_en

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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