第51回_EU電池規則の第13条と20条にて電池本体のサイズが小さく不可→包装と電池に添付する書類に付することが要求→小型電池内蔵機器は、機器の包装と同梱書類にて表記対応する必要は?またモジュールD1適用の場合、NB番号の表記はどう対応?

2023年7月28日にEU電池規則a)が官報公示され、2024年2月28日から段階的に適用されます。これは、現在有効なEU電池指令b)に置き換わる法令です。

まず、電池規則a)第1条3項に「この規則は、製品に組み込まれるか製品に追加される電池、または製品に組み込まれるか製品に追加されるように特別に設計された電池にも適用されます。」と規定されています。
そして、第13条7項に、「第1項から第6項で言及されているラベルおよびQRコードは、電池に目に見え、読みやすく、消えないように印刷または刻印されているものとします。電池の性質およびサイズを理由にこれが不可能または保証されない場合は、ラベルおよびQRコードをパッケージおよび電池に付属の書類に貼り付けるものとします。」と規定されています。
さらに、第20条1項にも「CEマークは、目に見えて読みやすく、消えないように電池に貼付されなければなりません。電池の性質上、それが不可能な場合、または保証されない場合は、パッケージおよび電池に付属する文書に貼付するものとします」と規定されています。CEマーク表示に必要な適合性評価については、付属書VIII「適合性評価手順」に手順が示されていて、モジュールD1(生産工程の品質保証)のときは、認証機関が発行した識別番号(NB番号)を電池に表示します。

従って、内蔵する小型電池に表示できないラベルおよびQRコードとCEマーク、NB番号はいずれも、電池の包装および添付書類すなわち、組み込んだ機器の包装および添付書類に表示記載すると解釈できます。

以下には、ご質問の中で押さえておきたい各条文について解説します。

電池規則第13条は、「電池のラベルとマーキング」の条項で、以下のことが定められています。

電池には、附属書VIのパートAに規定されている電池に関する一般情報を含むラベルを表示すること。
電池の容量に関する情報を含むラベルを表示すること。
非充電式ポータブル電池には、特定の用途で使用した場合の最小平均持続時間に関する情報と「充電不可」を示すラベルを表示すること。
すべての電池には、電池の「分別収集シンボル」を表示すること。
0.002 %を超えるカドミウムまたは0.004 %を超える鉛を含むすべての電池には、該当する金属の化学記号CdまたはPbを「分別収集シンボル」の下に表示すること。
すべての電池には、付属書VIパートCに記載されているQRコードのマークを表示すること。

各条項には、適用開始日や詳細な表示方法が定められているものがあります。

電池規則第20条は、「CEマーキングの貼付規則と条件」の条項で、以下のことが定められています。

CEマークは、市場に投入されるか使用される前に表示すること。
CEマークの後には、附属書VIIIで要求されている場合、認証機関の識別番号(NB番号)を表示すること。

附属書VIII「適合性評価手順」には、電池のCEマーク表示に必要な適合性評価について、以下の3つの場合の手順が示されています。

Part A モジュールA – 内部生産管理
Part B モジュールD1 – 生産工程の品質保証
Part C モジュールG – ユニット検証による適合性
質問の機器のモジュールD1の場合は、「生産工程の品質保証」で、製造業者が、他の経済事業者の義務を損なうことなく、その単独の責任で保証および宣言する適合性評価手順です。
これには、第7条の二酸化炭素排出量の算出、第8条のリサイクルコンテンツの割合を裏付ける調査を含み、製造業者は、品質システムを運用し、認証機関による監視対象となります。認証機関が発行した識別番号(NB番号)を電池に表示します。

なお、第96条「発効と適用」により、第11条が2027年2月18日から適用されます。第11条1項には、ポータブル電池を内蔵した機器は、「製品に電池の使用、取り外し、交換に関する説明書と安全情報が添付されていることを確認する必要があります」と規定されています。ご質問の「小型電池」は「ポータブル電池」に含まれるため、本回答は、この規定を先取りして、説明します。

第11条には、以下の規定があります。

内蔵電池が製品の耐用期間中いつでもエンドユーザーによって容易に取り外しおよび交換できることを保証すること。(第11条1項)
内蔵電池の使用、取り外し、交換に関する説明および安全性情報は、エンドユーザーにとってわかりやすい方法で、オンラインの公開Webサイト上で永続的に利用できるようにすること。(第11条1項)
機器モデルの最後のユニットを発売してから少なくとも5年間、内蔵電池が電力を供給する機器のスペアパーツとして利用可能であることを保証すること。独立した専門家やエンドユーザー向けに、合理的で差別のない価格で市場に提供されること。(第11条7項)
ソフトウェアを使用して、ポータブル電池を別の互換性のある電池または主要コンポーネントと交換することを妨げてはいけないこと。(第11条7項)

a) EU 電池規則((EU) 2023/1542)
https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2023/1542/oj
b) EU 電池指令(2006/66/EC)
https://eur-lex.europa.eu/eli/dir/2006/66/oj

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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