第64回_UK(英国)はCEマーキングがいつまで通用するでしょうか?

英国(UK)では、21種の規制に関する製品で、UK独自のUKCAマーク又は、EUのCEマークを利用できるように、CEマークの使用期限が無期限に延長されました*1)。一方で、UK独自の規制がある7種の規制に関する製品には今回の延長が適用されず、各々の規則で定められた移行期間の終了とともにCEマーキングの使用期限を迎えます。UKCAマークの添付文書等への記載猶予期限は2027年末までです。ただし、UKの北アイルランド地方は、EUに加盟するアイルランドと国境を接しているため、特別ルールが設定されています。

UKにおけるマークの期限の変遷をまとめると、以下のようになります。

2020年1月31日にUKがEU離脱(Brexit)しました。2020年12月31日までの移行期間を経て、2021年1月1日以降はUKではUKCAマークが適用されています。従来のCEマークの使用期限は一部製品を除き2022年1月1日までとされていました。

2021年8月24日に、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(Department for Business, Energy and Industrial Strategy:BEIS)は、「UKCAマーキングの使用」ガイダンスを更新して、CEマークの使用期限を2023年1月1日まで延長しました。

2022年11月14日にBEISは、パンデミックやウクライナの紛争等の経済情勢から企業への負担を軽減するために、CEマークの使用期限をさらに2年延長して2024年末まで、UKCAマークの添付文書等への記載猶予期限を2027年末までとしました。

2023年8月1日英国ビジネス貿易省(Department for Business and Trade:DBT)は、DBTが所管する18種の規則が対象とする製品群について、CEマークの使用期限を無期限に延長する意向を発表しました。

2024年1月24日 DBTは、DBT以外の他省が所管する3つの規制でCEマークの使用期限を無期限に延長する意向であることを発表しました*1)*2)。
したがって、冒頭に述べたとおり現時点で以下の21規則の対象製品についてCEマークの使用期限が無期限延長されています。

◆CEマークの使用期限が無期限延長された21規則

【英国ビジネス貿易省(DBT)所管】
爆発の可能性のある雰囲気で使用する機器規則 2016/1107
電磁適合性規則 2016/1091
エレベーター規則 2016/1093
電気機器(安全)規則 2016/1101
圧力機器(安全)規則 2016/1105
火工品(安全)規則 2015/1553
レクリエーションクラフト規則 2017/737
無線機器規則 2017/1206
簡易圧力容器(安全)規則 2016/1092
玩具(安全)規則 2011/1881
エアゾールディスペンサー規則 2009/2824
ガス機器(EU規制) 2016/426
機械供給(安全)規則 2008/1597
屋外使用機器による環境への騒音放出規制 2001/1701
個人用保護具(EU規制) 2016/425
測定器規則 2016/1153
非自動計量器規則 2016/1152
計量容器ボトル (EEC 要件) 規則 1977

【環境・食料・農村省(Department for Environment, Food and Rural Affairs:Defra)所管】
2012年電気電子機器規制(RoHS規制)における特定有害物質の使用制限

【エネルギー安全保障およびネットゼロ省(Department for Energy Security and Net Zero:DESNZ)所管】
2010年エネルギー関連製品のエコデザイン規制

【労働年金省(Department for Work and Pensions:DWP) 健康安全局[Health and Safety Executive:HSE]所管】
2014年爆発物規制

具体的には、ガイダンスに以下の製品群が例示されていますが、詳細は各規則、及び企業向け製品安全性業界ガイダンス*3)を確認ください。
おもちゃ
花火
レクリエーションクラフトおよび水上バイク
単純な圧力容器
電磁適合性
非自動計量器
計測器
計量容器ボトル
リフト
爆発性雰囲気用の機器 (UKEX)
無線機器
圧力装置
個人用保護具 (PPE)
ガス機器
機械
屋外で使用する機器
エアゾールディスペンサー
低電圧電気機器

一方、今回の無期限延長の対象外となる規則は以下の7規則となります。

◆CEマークの使用期限無期限延長対象外の規則

【レベルアップ・住宅コミュニティ省(Department for Levelling Up, Housing and Communities :DLUHC) 所管】
2013年建築製品規制

【保健省(Department for Health and Social Care:DHSC) 医薬品医療製品規制庁(Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency:MHRA) 所管】
2002年医療機器規制

【運輸省(Department for Transport:DFT) 所管】
2011年鉄道(相互運用性)規則
商船(船舶用設備規則)2016
2018 年索道設備規則 (SI 2018/816) および 2019 年索道設備 (改正) (EU 離脱) 規則 (SI 2019/1347)。
2009年危険物の運送および可搬式圧力機器の使用に関する規則
無人航空機システム(UAS)規則 2019/945

具体的には、以下の製品群に固有なルールがあると例示されていますので、ガイダンスにしたがって各規則を確認してください。
医療機器
鉄道製品
建設製品
民間爆発物
船舶用機器
索道設備
エコデザイン
可搬式圧力装置
有害物質(RoHS)

参考資料:
1)英国政府 プレスリリースNew laws to introduce digital labelling for businesses and reduce regulation costs
https://www.gov.uk/government/news/new-laws-to-introduce-digital-labelling-for-businesses-and-reduce-regulation-costs
2)英国ビジネス貿易省(DBT) ガイダンス「UKCAマーキングの使用」 2024年1月24日更新
https://www.gov.uk/guidance/using-the-ukca-marking
3)英国製品安全規格局(Office for Product Safety and Standards)
ガイダンス「企業向けの製品安全性: 業界ガイダンスのA to Z」
Product safety for businesses: A to Z of industry guidance
https://www.gov.uk/guidance/product-safety-for-businesses-a-to-z-of-industry-guidance

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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