第19回_SDSによる食品衛生法でのポジティブリストへの適合性の判断/解釈とは?
食品衛生法において現在公開されているモノマーの形のポジティブリスト(以下PL)と、SDSに書かれた樹脂の助剤などの適合について、添加剤・助剤がポリマーの時はどのように判断すればいいでしょうか?また、PPやABSなどSDSで99.9%や≧99%と書かれていて、添加剤、助剤が書いていないものがありますが、その場合はどのように解釈するべきでしょうか?
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SDSは人や環境に対する危険有害性の情報を提供するツールで、日本では主に労働安全衛生法(以下,安衛法)、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(以下、化管法),毒物及び劇物取締法(以下、毒劇法)に基づき、対象物質の文書交付等(情報の提供)が義務付けられています。関連するJIS規格でもこれら3法を基準に規定されているため、食品衛生法への適合情報を記載していないSDSも多く、材料のPL適合性についてはメーカーに問い合わせて確認する必要があります1)。
SDSは、化学物質及び化学物質を含む混合物を譲渡または提供する際に、その化学物質の物理化学的性質や危険性・有害性及び取り扱い方法・保管方法・廃棄方法などに関する情報を提供するための文書です。その標準規格としてJIS Z7253が規定されています。JIS Z7253では、SDSの15項の適用法令には、「SDSの提供が求められる化管法,安衛法,毒劇法に該当する化学品の場合には,該当国内法令の名称及びその国内法令に基づく規制に関する情報を,対象物質の名称(法令で規定された名称)とともに記載する。また,その他の適用される国内法令の名称及びその国内法令に基づく規制に関する情報を,対象物質の名称(法令で規定された名称)とともに含めることが望ましい。」と規定されています。
ただし、食品衛生法の規制を記載する規定はなく、その製品自体及びSDSの3項に示された各成分に関するPL適合性の情報が無い場合があります。また、SDSでは危険有害性のない化学物質の場合、法定の濃度閾値は無く記載する義務がありません。その化学物質が食品衛生法のPL対象物質であっても危険有害性が無ければ記載されていないケースがあります。従って、添加剤や助剤の記載の無いケースも含めSDSのみでは食品衛生法に関する情報不足の可能性が大きく、適合性を判断することは難しいことになります。
対応としては、SDSとは別に原材料メーカー(または販売元)からその製品に対する「ポジティブリスト適合証明書」を入手して適合性を判断することが必要です。御社にてその製品をそのまま加工して使用される場合には、製品の成分や含有率など詳細な内容は必要なく、「助剤や添加剤を含めて製品として昭和34年厚生省告示第370号に適合している」旨の文書を入手することで確認可能となります。
なお、添加剤・助剤がポリマーの際のポジティブリスト制度での扱いについては、消費者庁から「器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関するQ&A」のQ38に、Q14とQ15を参照して判断すると説明されています2)。
Q14では、次の定義を説明しています。
1)基材は、原則として合成樹脂中の重合体であり分子量が1000 以上のもの、かつ常温常圧で固形状のもので、第1表に収載しています。
2)添加剤は、原則として分子量が1000未満であり基材の物理的又は化学的性質を変化させ、最終製品中に化学反応せず残存することを意図して用いられる有機低分子物質で、第2表に収載しています。ただし、分子量が1000以上のものであっても、常温常圧で液状のもの又は特殊な官能基を有しその官能基が基材に対して特有の効果を発揮するものについては、添加剤として第2表に収載しています。
Q15では、ポリエチレングリコールなど常温で液体であるポリマーについて、添加剤と基材の区分けを説明しています。
添加剤がポリマーの場合、化学構造や重合度、製品への添加目的などを自社で解析することはほぼ不可能であり、原材料メーカーへの問い合わせとなります。具体的には、メーカーから取得する「ポジティブリスト適合証明書」において、該当するポリマー添加剤が「当該ポリマーは、基材(別表第1)としての適合か、添加剤(別表第2)としての適合か」を確認します。基材もしくは添加剤として、「使用制限(例:乳製品向け不可、最高使用温度100℃まで等)」が課されている場合もあり、最終製品の用途と照合する必要があります。
1) ポジティブリスト制度 ポータルサイト
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new
2) 「器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関するQ&A」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/notice/assets/standards_cms101_260605_03.pdf
免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。
