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講師コラム:秋貞 英雄 先生


『 界面活性剤入門 』



講師コラムテーマ
第1回 【1】界面活性剤とは (1)界面
第2回 【1】界面活性剤とは (2)界面と界面活性剤
第3回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成
第4回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続き)
第5回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続続)
第6回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続続続)
第7回 【1】界面活性剤とは (4)界面の界面活性剤
第8回 【2】界面活性剤集合体
第9回 【3】エマルション
第10回 【4】界面活性剤会合体の熱力学
第11回 【5】まとめ

コラムへのご意見、ご感想がありましたら、こちらまでお願いします。





第11回 【5】まとめ (2010/11/9)



 界面活性剤は、適当な大きさの疎水基と親水基を持つ物質である。疎水性、親水性のバランスは、HLBという値で表現されている。疎水基にも色々の化合物がある。最もありふれたものは、長鎖アルキル基で、その他にシリコーン、フッ化炭素がある。生体に多いステロイド骨格のような板状のものも疎水基になるが、ステロイド骨格同士の会合の場合、平面なステロイド骨格(染料分子も)が相互に自由な動きを妨げ、エントロピーの減少を大きくし、集合を不利にするが、一方平面のスタッキングが分子を固定し特定部位の分子間結合を安定化する作用がある。それ故、会合数が少ない会合体が形成される。しかし、長鎖アルキル化合物との混合はステロイド骨格の運動をし易くし、容易に混合ミセルが形成される(生体の胆汁酸はこのようにして油脂を可溶化する)。

 疎水基が2本のアルキル基の時、ベシクルが形成される。高分子の側鎖として活性剤分子が結合したものは、高分子活性剤と呼ばれ、どの様な低濃度でもミセルが形成されるので、低濃度でも可溶化能がある。オリゴマーである二量体は gemini活性剤と言われ近年良く研究されている。最近では、疎水基と親水基の交互共重合体(疎水基の部分が集合してミセルを形成)や一端に親水基を結合した疎水基の他端にカルボン酸などのイオン基が結合した活性剤(不溶性の金属塩を形成し、金属イオンを核としたミセルを形成)、その他色々な構造の界面活性剤が生まれている。各種の親水基を含んだ界面活性剤も研究されている。

 親水基と疎水基の組み合わせによっては、色々の機能が期待される。薬学的にみても興味深い。グリチルリチンは親水基に糖誘導体、疎水基がトリテルペン類だが、抗炎症、抗アレルギー作用がある。また疎水基の形状、親水基の性質、環境条件により、会合体の形態も、球状、板状、中空体(ベシクル)、棒状など色々の形態をとる。その形態を利用する研究もある。一方、ミセル表面は、親油性部分と親水性部分の境界で、荷電効果によるOH、Hの濃縮とそれによる触媒作用、濃縮による錯体形成促進とそれを利用した各種の化学反応の場でもある。相互反応をする物質の分離による反応エネルギーの保持(例えば光エネルギー)とそのエネルギーの利用研究も行われている。

 界面活性剤である基本は、水と非極性溶媒間界面の高余剰エネルギーを解消できる分子構造を持っていることである。このことが、界面へ活性剤の集合を促進し、界面張力、界面エネルギーを下げる。水の様な極性溶媒中に存在する活性剤分子の疎水基(無極性部分)は、周りの極性分子と余剰エネルギーを生むため、溶媒極性分子と接触を避けるため疎水基間で集合する。水分子の場合、水分子の特殊構造のエントロピー効果も効いてくる。集合体を作るモチベーションはそれだけである(方向性がない)から、その集合体の形は、分子構造、親水基構造、親水基間相互作用等よって色々あり得る。界面活性剤集合の原理は単純なものだが、その分子構造と親水基の物性の組み合わせは、多くの会合体の形態と機能を提供する。その形態を利用するか、疎水性領域が分散相として存在することを利用するか、溶液中に分散した集合体界面を利用するか、それは応用を考える人々のアイデアに依存する。多くの方々が界面活性剤のこの性質を利用する方法を研究されることを期待する。

 界面活性剤に関する色々の本が出版されている。良書の中には絶版になったものも多い。大学の図書館等で、コロイド化学(科学)、界面化学(科学)、界面活性剤、ハンドブック、といったキーワードで調べるとよい。現行本で、界面化学と活性剤の勉強には、日本油化学会編(学会直販)「界面と界面活性剤 −基礎から応用まで−」 \6,300円、界面活性剤のデータは、日本油化学会編(丸善)「油化学便覧」 \38,850円などがある。日本化学会コロイド及び界面化学部会からは、日本化学会編(東京科学同人)「コロイド科学」4分冊 がある。このコラムより少し詳しい程度で安価なものなら三共出版の「入門コロイドと界面の科学」¥2,625円がある。その他有力な本があるが高価か絶版であり、古書店などに存在するので、Web上で検索してほしい。その他上記のキーワードを使ってWeb検索すると色々ヒットする。国内は上記2つの学会が界面活性剤の研究成果を報告する学会を主催しているので、研究のタイトルぐらいは、毎年8月末には検索できる。大いに活用して下さい。

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第10回 【4】界面活性剤会合体の熱力学 (2010/10/28)



 熱力学は、スペクトルの様に、界面活性剤会合体の構造の情報を直接与えるものではない。しかし、測定された物性と熱力学変数の関係は会合体の状態について有力な情報を与える。例えば、臨界ミセル濃度CMCと温度の関係はミセル形成熱を、臨界ミセル濃度CMCと圧力の関係や界面活性剤濃度と密度の関係はミセル形成の体積変化を与える。これらの熱力学量とスペクトルなどの情報と合わせることで、界面活性剤の溶存状態に関する正確な理解ができる。

 界活性剤の重要な会合現象であるミセル形成に関しては、多くの熱力学量の情報がある。界面活性剤分子の典型的構造は、疎水基である直鎖アルキル基に親水基が結合したものである。すなわちアルキル基の炭素数(n)、親水基のイオン性、非イオン性が熱力学量に影響を与える因子である。CMCはこれらの因子に依存する。経験式として次式が得られている。

    lnCMC=nW/RT + βlnCg + Const,                             (10-1)

Wはメチレン基(CH2)1mol当たりのミセル形成エネルギーでW=1.1RT、RとTは気体定数と絶対温度、Cgはイオン性親水基の対イオン濃度、Constは親水基等の寄与を表している。ミセル形成の体積変化はCH2 1mol当たり1.3ml前後である。この変化はアルキル基周りの水の構造変化、ミセル形成による疎水性水和(iceberg)の解放によると説明されている。

 CMCは、温度の増加と共に、30℃付近に極小を、また圧力の増加と共に1000atm付近に極大を持つ変化をする。これらの変化は、水の構造変化に対応して説明される。活性剤水溶液中の水は3つの形態で存在する。1つは自由水で、水分子は溶液中を自由に動き回っている。第2は、氷構造(低密度、低エンタルピー、低エントロピー)の水分子で、第3が疎水性水和(iceberg;高密度、低エンタルピー、低エントロピー)の水分子で疎水基の周りに存在する。温度の上昇は氷構造、疎水性水和構造を壊していくが、その依存性は氷構造の方が大きい。ミセルを形成するとき、疎水性水和は解放されるが、このとき、一部は、エネルギー的には似た氷構造になるのでエネルギー効果が小さく低温で、CMCは高い。温度の上昇と共に、氷構造が減少し、疎水性水和の解放によるエネルギー効果が大きくなり、CMCは低下する。更に温度が上昇すると、疎水性水和も壊れ始めると共に、活性剤分子の分子運動が激しくなり、ミセルが形成し難くなりCMCが上昇する。このような変化でCMCの極小が出現する。圧力増加の場合は、ミセル形成時の体積変化のエネルギー効果は、+PΔV(ΔV>0)であるが故に、高圧であるほどミセルが出来難くCMCが高くなるが、溶液が非常な高圧で圧縮されると水相の水構造が変化し、ミセル形成に不利な体積変化も小さくなり(逆転し)親水基の水和構造の変化とあいまってCMCは低下する。

 熱力学量がどの様な変化を反映しているかを把握するには、物性量と熱力学変数[温度、圧力、濃度、組成(混合物の場合)]の関係を表す熱力学式を明らかにしておくことが必要である。正しい熱力学関係式は正しい熱力学量を与え、実験結果の解釈に重要な示唆を与えるが、もしそれが正しくなければ誤った解釈を導く。

 一般的なイオン性活性剤(MS)について次のCorrin-Harkinsの関係がわかっている。

    lnCS = −βlnCM+α,                                        (10-2)

ここでCSは活性剤イオン濃度CMCであり、βは対イオン結合度、αは定数で、βが0.7前後の値である。この式は非常に重要な意味を持っている。ミセル形成が相分離なら、電気的中性の原理により、β=1のはずである。実際、相分離で説明できる難溶性塩(AgCl)の溶解度積は、次の関係が知られている。

    Ksp = CAg+×CCl-, すなわち lnCAg+ = lnCCl- + 定数,                  (10-3)

この場合βに相当する値が1である。

 現在2つの活性剤MR、MSの混合系のCMCと仕込みの組成(xR, xS)の関係について、下記のような3つの式がある。


    C-1 = xR(CR0)-1 + xS(CS0)-1,                                    (10-4a)

    C-2 = xR(CR0)-2 + xS(CS0)-2,                                    (10-4b)

    C-(1+β) = xR(CR0)-(1+β) + xS(CS0)-(1+β),                           (10-4c)

    xR + xS = 1,                                                  (10-5)

Cは混合系のCMC,CR0,CS0は純活性剤のCMCである。まず、活性剤のイオン性を無視した場合が式(a)、イオン性(電気的中性)を考慮した場合が式(b)である。ところが実際のデータは式(c)に良く適合する。一般に活性剤混合物は若干の相互作用があるので、上記の理想混合の式からズレる。そのズレ具合から相互作用のパラメーターは計算される。もし式(a)を適用すれば相互作用は過大に見積もられ、式(b)を用いれば、過小に見積もられる。論文を見ると式(a)に基づき相互作用パラメーターを計算したものが多い。式(a)がイオン性活性剤に適用するには無理があることは、溶解度積の式からも明らかである。特に式(b)と(c)の違いは、ミセルがどの様なものであるかを考える上で重要である。著者は次の様に考えている。ミセルが溶液中を動く存在であることがポイントである。ミセルの拡散層が活性剤会合体と一体になって挙動するか、別に挙動するかにある。一般の無機電解質の場合、溶液全体は電気的中性を保持するが、個々のイオンは独立に動いており、その上でイオン間のクーロン力の補正(いわゆるDebye-Hückel近似式)を行っている。活性剤会合体と解離イオンがある程度独立に動いていると考えることが必要と実験事実から推測される。詳細は別途論文に譲る(J. Colloid Interface Sci. 288(2005)238, 同240(2001)323)界面活性剤の熱力学関係を著す式は、まだまだ未熟な点がある。更に活性剤の新しいタイプの出現は、その形態と合わせて種々の考察の課題を与える。

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第9回 【3】エマルション (2010/10/12)



 エマルション(Emulsion、エマルジョンは独語風読み)とは、分散質、分散媒が共に液体である分散溶液のことであり、乳濁液とも言う。分散質が固体の場合はサスペンション(suspension)、懸濁液と言う。エマルションには大別してその構造から水相中に油相が分散したO/W型と油相中に水相が分散したW/O型がある。生活周辺には、マヨネーズ、バター、ドレッシングなどの食品、水溶性塗料、液体ワックス、木工接着剤など広範囲にその形態がある。エマルションは、熱力学的には非平衡状態で準安定であり、2相に分離するのが必然である。しかし、凝集する過程で高エネルギー状態を経由するため、凝集が困難となり分散状態が存続している。また、エマルションにすることを乳化といい、乳化する作用を持つ物質を乳化剤という。界面活性剤は、エマルション界面に吸着層を形成し、親水基の水和や静電反発により粒子の融合を防いで、乳化剤として働く。界面活性剤でなくても粒子の衝突融合を防ぐことが出来れば、乳化剤として働く。たとえば高分子がよく使われる。高分子が界面に吸着し、その溶媒和や排除体積効果により粒子の融合を防いでいる。最近の研究では微粒子も有効であることが証明されている。乳化剤の条件は、まず油−水界面のエネルギーすなわち界面張力を下げる必要がある。界面張力の低下は、液相の分散による界面エネルギーの増加を最少限にする効果がある。その結果、吸着層の融合防止効果が効果的に働く。

 エマルションは大別してO/W型とW/O型の2種あるが、乳化剤がどちらの形態形成に有利であるかの指標になるのが、HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値である。乳化剤の親水性と親油性の程度を表すもので、数値が高いほど親水性の割合が高くなることを示す。即ち、数値が高ければO/W型に、数値が低ければW/O型になりやすいことを表す。親水性が高ければ、親水基の自由度が高い凸面側に親水基を配置することが、親油性が高ければ親油基が凸面側に配置することが、エントロピー的に有効である。なお、親水性は親水基と水分子の相互作用に由来するが、この相互作用は温度の影響を受けるので、温度によってHLB値は変わってくる。そもそもHLB値の算出法は色々あり、活性剤のCMC値の予測などにも使われている。エマルション形成に関するHLBはエマルション関係のHLB値算出法を使った方がよい。

 界面活性剤ミセルがその親油コアに炭化水素などを可溶化するとエマルションに似た形態になる。実際にミセルに炭化水素を可溶化していくと、ミセル→マイクロエマルション→エマルションと変化していく。マイクロエマルションとエマルションの違いは、前者が平衡系であり、後者は非平衡系である。いわゆる最大可溶化量を測定する際、溶液がエマルション化しないように注意深い操作が必要である。エマルションは、化学反応でも重要な系である。親油性物質と親水性物質が反応するのは油水界面であるが、エマルションはその界面面積が非常に大きい。ゴムなどの乳化重合はその典型例である。添加塩濃度や乳化剤の種類を変えて、粒子間の反発力を調整したり、粒径を変えることで、エマルション溶液のレオロジー物性をコントロールできる(塗料などでは重要である)。最近は、均一孔フィルタを利用してエマルション粒子のサイズを同一にしたり、均一エマルション内の反応を利用して均一粒子を作成したりと色々な応用が研究されている。

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第8回 【2】界面活性剤集合体 (2010/9/28)



 界面活性剤は溶液中でミセルを形成することを第4回ですでに述べた。ミセルは内部に疎水性コアを持ち多くの疎水性物質を可溶化する能力をもち各種用途がある。ここではミセルの形態変化に注目してみよう。ミセルの濃度が高くなれば、荷電したミセル間の静電反発が増加し、またミセル分散のエントロピー効果が減少して、ミセル濃度の増加が抑制されるはずである。しかし、会合体の静電反発を減少させる形態変化により、活性剤は更なる高濃度の溶解を成功させている。球形ミセルは、まず2つのタイプの回転楕円体(楕円の長軸が回転中心prolate, 短軸が回転中心 oblate)に移行し、やがてそれらが、棒状、板状ミセルに移行して行く。形態変化において重要なのは親水基の反発力の減少である。イオン性活性剤の場合、対イオンが重要な働きをする。対イオンの結合は親水基の脱水和と静電反発の減少を引き起こす。それは活性剤イオンの凝集密度を高め、棒状、板状などの巨大会合体に成長する条件を与える(Israelachviliの論文、本)。カチオン活性剤では臭素イオンが、塩素イオンより対イオン結合しやすい。一般の塩を添加してミセル間の静電反発を抑えることができるが、対イオン結合度はそれほど変化しない(Corrin-Harkinsの実験)。水和性の高いイオンの場合、対イオン結合度を高めるにはかなりの塩濃度を必要とする。水和性が低い臭素イオンが対イオンの場合、比較的低濃度で対イオン結合度が高まる。活性剤分子間の反発が弱くなるとその形態からわかるように、prolateは棒状(または糸状)にoblateは板状に移行していく。棒状の場合、長軸を切る断面と短軸を切る断面で親水基密度が異なる。棒状の場合、長軸方向の会合体成長は、活性剤分子当たりの静電エネルギーの増加はあまりない。棒状会合体は、柔軟性があるため、高分子に類似した物性を示す。高分子と異なる点は、棒状会合体が交差するとき会合体の鎖が入れ替わるといった特異なレオロジーを示すことである。溶液中で棒状会合体は3次元の網目構造を形成し高粘度状態を示す一方、希釈により容易に小会合体に分散できるため、化粧品、洗顔料などには都合のよい物性を持っている。棒状会合体は、高濃度の時、丸太を束ねたようなヘキサゴナル液晶と成り、溶液物性が異方性を示す。板状会合体は、無限の2分子膜、ラメラ相になる。これも異方性を示すが、板状の場合、これ以上活性剤分子のエネルギーを下げる方法がないので、溶液状態ではこの状態が極限となる。最近の応用研究では、会合体を鋳型にする研究が特に棒状会合体でなされている。陽イオン活性剤は、陰イオンを表面に吸着するが、このとき縮合性で耐熱性が高いケイ酸イオンを使うと、処理後ケイ酸筒状化合物ができる。その直径は2,3nm程度であり、適当な有機分子を孤立して封入できる。今後の研究成果が待たれる。

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第7回 【1】界面活性剤とは (4)界面の界面活性剤 (2010/8/31)



 界面活性剤は、界面張力を下げる能力を持っている。それは、分子間力の弱い疎水基(多くは炭化水素)が界面に集合し、界面で分子間力の異なった分子が接する時の余剰エネルギーを下げることによる。空気−液相界面での活性剤分子の集合は、前述のベシクル形成のように2つのケースがある。難溶性界面活性剤の場合と溶解性活性剤の場合である。前者は、不溶性単分子膜あるいはその累積膜、Langmuir-Blodgett膜と呼ばれるものである。長鎖脂肪酸などを揮発性溶媒等を使って界面上に展開したものがその例である。展開活性剤分子は親水基を液相に接して、界面上を移動する。その移動の現象は、2次元の分子運動に対応し、3次元分子のアナロジーで、気体、液体、固体の相転移に対応して、気体膜、膨張膜、凝縮膜といった状態がある。2次元と3次元の違いがあり、膨張膜−凝縮膜は単純に液体−固体とはいえず色々な見解がある。しかし、2次元の分子挙動として基礎的に興味深く良く研究されている。さらにその膜が2層に折り重なった2分子膜も生体膜との類似性から良く研究されている。単分子膜の実験は、可動装置で表面の分子を圧縮あるいは拡張することで表面積と表面張力の関係を得ている。実験データは面積−表面圧の関係で表す慣習がある。表面圧は展開前の純液体表面張力から表面張力を差し引いたもので、単分子膜が拡張しようとする圧力(拡張圧)になり、また表面張力から下層液体の効果を差し引くことになり、単分子膜の物性を表すのに都合がよい。ただこの測定は、動的なものであり、分子の再配列が平衡になる時間より測定時間が短い場合が多く、完全な平衡状態の表面圧−面積曲線を描くことは難しい。しかし、単分子膜を圧縮−拡張する操作は、呼吸時の肺胞の動きや細胞の動きと関係が深く生命科学的に興味深い。また単分子膜はコーティング剤としても働くので、液体表面での蒸発のコントロールや固体表面の改質にその有用性を発揮している。

 他方、溶解性活性剤の場合、可逆的な吸着のため平衡にある液相の濃度を調整することで容易に界面の性質(界面張力など)を調節できる。活性剤分子は水相の疎水効果により界面に排斥される。界面に集合した活性剤分子は吸着膜を形成するが、吸着膜は界面近傍で活性剤分子が高濃度で分布した状態で、明確な吸着層を表示することは難しい。そこで活性剤の界面濃度は、界面で接する各相からの活性剤の過剰量で定義される。上記の不溶性単分子膜と異なり、吸着膜は、絶えず液相の活性剤分子、溶媒分子と交換し、動的な状態にある。そのため膜の閉鎖性が弱く、蒸発抑制効果は弱い。蒸散など非平衡な現象が存在すると活性分子の移動はそれほど早くないので、平衡状態とは異なりやすい。

 活性剤疎水基の分子間力が短距離力のため周りの分子への影響が小さい。したがって、界面付近の濃度分布は狭く、単分子膜様の挙動が期待される。一般に活性剤分子は1nm程度の大きさのため分子間力の摂動が界面近傍の分子分布に大きく影響する。イオン性活性剤のような解離性のものは、遠距離力の静電力や解離した小イオンの水和などにより界面付近のイオン分布がブロードである。また、無機電解質の場合、一般の有機物質の場合と反対に、その添加は表面張力の上昇を引き起こす。熱力学量は、吸着層と拡散層(解離対イオン)の2つの寄与を含んでいる。計算された熱力学量の定義や解釈は注意を要する。

 活性剤の表面吸着に関しては泡の現象がある。泡は、子供時代に懐かしいシャボン玉や洗顔料のクリーミーな泡立ち、工業的には浮遊選鉱など色々あり興味深い。泡も気液界面の1つなので、表面張力の大小は泡の形成に大きく寄与するがそれだけが支配的因子でない。純水は表面張力が大きく泡立たないが、界面活性剤の添加により表面張力を下げて泡立つようになる。しかし、アルコールは、表面張力が低いにもかかわらず泡立たない。泡の構造は3つの層、気液界面|液相|気液界面から成っている。泡が壊れるためには、界面はもちろん、液相が切断されなければならない。シャボン玉を見てわかるように、サンドイッチされた液相は重力によりドレインして膜の液層は薄くなり最後に活性剤の吸着層だけになり、破裂する。液相の分子間力も重要であることがわかる。正確には、活性剤分子の親水基間の分子間力も寄与するが、液相の減少を防ぐことが泡の安定に重要である。そのためには、液相の粘性を高めてドレインして液層が薄くなる速度を遅くすればよい。球形の泡はその表面張力により、内側と外側で圧力差がある。泡の場合、表面張力が働く界面は2つあるので、シャボン玉のように泡が孤立している場合は、この圧力差は次のLaplaceの式で表せる。泡の膜の厚さを無視して、

   4υ/R=P2−P1 ,

ここでは、υ:表面張力、R:泡の半径、P1, P2:外圧と内圧、である。いわゆるクリーミーな泡、半径が小さな泡はその内圧が高く、破裂や融合しやすい。ミクロな泡の安定なためには、液膜の粘性、親水基間の相互作用が重要な働きをする。

 浮遊選鉱に泡が関与するが、選鉱の機能を発揮するのは、本質的に「濡れ」すなわち接触角の問題である。つまり浮遊選鉱の本質は泡に鉱石が付着し、親水性のボタは沈殿することにあるが、これは気体、液体、固体(あるいは液体A、液体B、固体)3相間の接触角(3相に働く界面張力のバランスで決まる)に依存する。浮遊選鉱は複雑であり、これ以上の議論は他の本を見てほしい。

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第6回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続続続) (2010/8/3)



 水相中の会合体はミセルのほかにベシクル(小胞)がある。ベシクルは、界面活性剤の2分子膜が、カプセル状の密閉容器になり、その2分子膜により水相は内相と外相に分離する(図は第4回分を見て下さい)。2分子膜が1層でなく多層になったものもある。単層リン脂質ベシクルの場合、生物化学・分子生物学的立場から、細胞内の機能組織との関連でリポソームliposomeと呼ばれる。なおこのような構造を形成するには分子構造に一定の制約がある(J. N. Israelachvili原著、近藤保、大島広行訳:「分子間力と表面力」第2版、朝倉書店)。ベシクルは、基本的に2本のalkyl chainから構成されている界面活性剤で構成される。

 ベシクルには大きく分けて2つのタイプがある。一つは、可溶性活性剤のベシクル、例えばcatanionic活性剤(陽イオン活性剤と陰イオン活性剤から構成されている界面活性剤)が代表例のもので、それは平衡系であり、物性の再現性は良好である。しかし分子が動的なため、2分子膜の膜分離能は弱く、内相から外相に溶質が漏れ出る。他方は、不溶性活性剤によるもので、この系は基本的に非平衡系である。それ故ベシクル形態は、その作成方法によって異なることが多く、精密な再現性(多層か単層か、ベシクルサイズ)に問題点がある。しかし、不溶性の故に、膜と水相間の界面活性剤分子の交換がなく、内相と外相の分離性が高い。

 ベシクルの安定性は、2分子膜の水和や静電反発が重要である。あるいは高分子との相互作用で、膜分子の運動を制御することなどもベシクル形成に作用する。これらの相互作用が、強すぎで膜内の反発が強まるとベシクルは崩壊し、ミセルに移行する。逆に相互作用による反発が弱くなると分子間の集合が進み、凝集し、相分離、ラメラ相(2分子膜)平面集合体)などに移行する。ベシクルは、2分子膜が湾曲することに生じており、そのため湾曲の内側と外側で微妙な組成の変化等が生じている。そのため膜の性質を変えるpHやイオン強度の変化、界面活性物質の少量の可溶化で、ミセルへの移行または、凝集分離することになる。

 基礎的な熱力学的研究には前者のcatanionic活性剤が、物性と熱力学変数の関係を正確に得ることが出来るので好都合である。後者は非平衡系だが、2分子膜が熱的に水相と平衡状態にある。また2分子膜の炭化水素基は、液相−固相転移になぞらえられるゲル相−液晶相転移がある。2分子膜の柔軟性、物質の可溶能はその転移に大きく影響される。後者の系の代表例であるリン脂質ベシクルは、細胞膜の主成分であり、細胞の機能の研究にモデルとして重要である。応用的には、人工細胞として、薬剤配布システム(ドラッグデリバリーシステムDDS)の重要な材料として大いに研究されている。またベシクルの崩壊時には内容物が外相に出てくることから、細胞膜と各種物質の相互作用に関する基礎研究によく使われる。

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第5回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続続) (2010/7/20)



 前回は水相会合体ミセルの基本的なことを述べた。今回は有機相の会合体、逆ミセルについて基本的なことを述べてみよう。有機相と水相の根本的な違いは次のようである。水相の場合、活性剤分子の疎水基の周りにicebergという構造水が出来て活性剤分子の鞘の働きをする。icebergは溶液から活性剤分子を排除する方向に働き、炭化水素基の自由度は制限され螺旋状に縮まったエントロピーが低い状態にある。それがミセルの状態で、液状に集合することによりエントロピーが増加するというエントロピック効果がある。icebergの解消とともにこれが会合に有利に働く。有機相の場合、親水基の水和不足が有機相からの排除もしくは凝集の原動力である。疎水基と有機溶媒は分子間力の差も少なくよく混合している。有機相に加えられた水分子は、活性剤分子の親水基に強く結合する。しかし親水基の最外殻の水分子は有機相中では分子間力余剰となり有機相から排除されるようになる。このとき水相を中心に球状に親水基が集合すれば、分子間力の余剰は解消され、有機相中で分散できる。このことは水相と有機相に相分離しても同じであるが、活性剤分子を仲介として、水相と有機相の界面張力が著しく減少すると次式の関係が成り立ち、水相分散のエントロピー効果が効いてきて、相分離より逆ミセルの方が有利となる。界面張力と分散エントロピーの関係は平衡時次式で表される。


(υA)/3 = - kTlnxm,                 (1)


υ:界面張力, A:逆ミセルの界面面積, k:Boltzmann定数, xm:逆ミセル濃度


 イオン性活性剤の場合、逆ミセルはミセルと電気化学的に異なる点がある。ミセルの場合、対イオンの一部は解離し溶液中に拡散してミセル間の静電反発を生じるが、逆ミセルの場合、対イオンは水相中に留まるので、全体として電荷は中和され、逆ミセル間の静電的相互作用は弱い。逆ミセル間の反発は、逆ミセルが集合したとき局所的に疎水基濃度が高まり、浸透圧が上昇することに由来する。

 逆ミセルは、有機相に水溶性物質を分散させるのに使うことが出来る。無機系の化学反応は水相で主に起こるが、逆ミセルは、ナノサイズの制限があるので、超微粒子やサイズのそろった粒子の作成に興味深い場である。逆ミセルは動的なので、その中の水も同様である。それ故水分子は、逆ミセルを媒介として移動しやすい。疎水性有機相中の水の移動に界面活性物質が関係することがある。

 有機相中の会合体は、溶媒の非極性が故の形態もある。界面活性剤分子の極性基間の水素結合や媒介分子(多価金属イオン)などで、ポリマー上の会合体や、板状、棒状の微結晶(疎水基の分子間力が弱く、滑り面を作った結晶になり易い)を生成し、それらが更に会合して3次元構造のゲルを形成し、大量の液体を固形状態で保持するのに役立っている。また棒状・板状の場合は、溶媒の流動によって、動−層状、静−ランダムの分散状態をとり、溶液の粘性を変えることが出来る。グリースはその応用の典型である。

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第4回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成(続き) (2010/7/6)



 

 界面活性剤の重要な特性は、会合体の形成である。しかもその会合体形成が、一般物質の強い分子間力によるものと異なっている点が興味深い。一般の物質は、カルボキシル基、アミノ基などの水素結合、ベンゼン環などを介したπ-π相互作用とエンタルピックなエネルギー効果により会合体が形成されるが、活性剤の会合体はエントロピック(分子の自由度に関係する)効果が支配的である。界面活性剤の会合体の主なものは、水溶液中では、比較的低濃度のときミセルやベシクルで、有機溶媒中では逆ミセルである。

 界面活性剤の疎水部分は分子間力の弱い官能基(例えば炭化水素基)である。それ故、分子間力が強い水溶液の場合、疎水基に接する水は、分子間力が過剰に余ることになり、このエンタルピックな効果を抑制するため特別な水構造をとることになる。この構造水はicebergと呼ばれている。しかしいわゆる氷の構造とは異なっていることは実験的にわかっている(構造水の密度は高い)。この構造は水のエントロピーを下げることになり界面活性剤分子を溶液から排除する方向に働く。活性剤分子が水相から排除されることで、水の自由度は増加する。本来ならそのまま界面活性剤は相分離するはずであるが、実際は細かく分散してミセルとなっている(分散のエントロピー効果)。分散した場合界面活性剤の親水基は水相に曝されることになり、親水基がイオン性の場合一部が解離して静電エネルギーを増加させ更なる分散、ミセルサイズの減少、混合エントロピーの増加を促進させる。この流れからミセル形成にエントロピックな効果が大きく寄与していることがわかる。

 ミセルが安定的な存在であるために、界面活性剤分子は内部に疎水基、表面に親水基の構造をとる。内部の疎水基(炭化水素基)はエントロピーが高い液状となる。文献によれば親水基に直結したメチレン基4個分は非常に動きにくく固体に近い状態にある。末端のメチル基はかなり動的である。このようなミセルの構造は、多くの機能をミセルに持たせることになる。ミセルは油-水界面が分散した状態と見えることから相間移動触媒の機能がある。油溶性物質と水溶性物質が反応する場、水溶液中へ難水溶性物質の分散などミセルの両親媒性を利用した応用は幅広い。ミセルは、数ナノメートルの大きさであり、ナノサイズの科学の研究にとって重要である。詳細は別章に譲り、逆ミセル、ベシクルについて述べよう(次回)。

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第3回 【1】界面活性剤とは (3)界面活性剤の集合体形成 (2010/6/22)



 前回で、界面活性剤が界面に移行する原理を述べた。界面活性剤分子の分子間力の弱い部分が界面に存在して、界面の過剰内部エネルギーの生成を抑え、結果として界面張力を低下させることを説明した。しかし界面張力を下げるだけでなく、集合能力−会合体の形成能を持っていることも、界面活性剤であるためのもう1つの条件である。ところが、活性剤の分子構造は、分子間力の弱い部分と、溶媒と親和性の高い部分からなっており、溶媒の中で、分子同士が結合するような分子間力がない。つまり一般の会合分子のような、官能基間のホスト−ゲストのような分子間力はない。そのような分子が集合体を形成するには、活性剤分子同士の関係だけでなく、溶媒と活性剤分子の関係を考慮する必要がある。

 一般に、異分子同士が混合するとき、混合のエントロピーが生じる。気体の混合、無極性分子の混合はこれによっている。したがって、分子間力の弱い分子が集合するためには、溶媒分子から排除される必要がある。ただし、それだけなら無限に排除され、相分離するだけである。排除作用が有限で、ある大きさの会合体では働かなくなる、または分散力(溶解力)が強くなる必要がある。このことは、溶媒自身および溶媒分子と活性剤分子の相互作用の詳細を理解しないと説明できない。界面活性剤は、水相中と有機相中で会合体を形成する。前者の会合体をミセルと呼び、後者を逆ミセルと呼ぶ。両者は別のメカニズムで生じる。

 詳細は次回へ。

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第2回 【1】界面活性剤とは (2)界面と界面活性剤 (2010/6/8)



 二相の中間である界面層で、分子間結合(すなわち内部エネルギー)変化、分子のモル体積変化、混合エントロピーが生じる。そのような変化は、分子間結合の変化がその根本原因である。分子間結合の低下、内部エネルギーの増加が界面張力を生む。そこに界面活性剤が存在する(吸着する)とどのような現象が生じるのであろうか。気−液界面の場合、中間層である界面層に有利に分子が存在するためには、内部エネルギーが溶媒分子に比べて相対的に小さいことである。そのことが界面過剰エネルギーを最小にし、界面張力を下げることになる。気−液界面では、界面活性剤がファンデルワールス力のような弱分子間力の分子、すなわち無極性分子であればよい。ただし、単純な無極性分子であれば、それに続く液相分子と分子間力の差が新たな界面を生むことになる。それ故、界面活性剤分子はその内部で、無極性部分と溶媒分子と親和性の高い(溶媒分子と分子間相互作用が強い)部分の共存が必要となる。これが界面層の内部エネルギーを低下させることになる。他方、液−液界面の場合、内部エネルギーが低下するためには、2つの液相の分子に親和性があればよいので、無極性部分が必ずしも必要というわけではない。そのため、二液相に親和性があるという意味で、界面活性剤を両親媒性物質ともいう。現実には、各相成分分子間の分子間力の著しい差により液相分離が生じるから、一相は極性が高い分子間力の強い分子からなり、他相は分子間力の小さい比較的極性の低い分子からなる。そのため界面活性剤分子(両親媒性分子)は、低極性部分と高極性部分からなる分子となる。気−液界面の場合、溶媒分子と親和性が高い官能基といっても、必ずしも分子間相互作用が強い基であることを意味しない。溶媒分子が、油のような比較的分子間力の弱い分子の場合、溶媒分子と活性剤分子間の分子間力の差が混合エントロピーの効果より勝れば、活性剤分子は、液相でなく界面層に移行することになる。油にシリコンオイルを混ぜるとシリコンオイルが表面に移行し、耐熱性の強いシリコンが表面を保護し泡立ちを防ぐのはこのような仕組みによる。

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第1回 【1】界面活性剤とは (1)界面 (2010/5/25)



 このコラムでは、界面活性剤についてお話ししたい。私は、界面活性剤の基礎物性について研究してきました。活性剤とは何か、その物性に影響する因子は何か、それらを述べることで、界面活性剤を利用している方々の参考になること、また物性知識から利用のアイデアが浮かぶことを期待してこのコラムを進めたいと思います。

 まず界面活性剤とは何かということになるが。これについては、界面活性剤の物性上の特徴、界面活性剤の分子的特徴、そもそも界面とは何かの3つの面で押さえておく必要がある。界面活性剤の物性上の特徴は界面張力を著しく低下させることである。これだけなら、界面活性物質という範ちゅうに収まるが、さらに、溶液中で分子集合体を形成し、その集合体が種々の機能を発現することが界面活性剤の「剤」としての特徴である。詳細は後のコラムに譲るとして、界面活性を理解するためには、順番的には、界面に関する知識が必要なので、界面について述べたい。界面は、気−液、気−固、液−液、液−固界面があるが、そのうち、気相(または真空)との界面を表面と記述するように定義されている。界面活性剤は、一般にこれらの界面に濃縮される(通常、吸着という)。純物質の気−液界面の場合、界面に垂直方向に分子密度は減少する。中間を界面層とすると、その中で密度の減少とともに分子間結合は弱くなり、分子の内部エネルギーは増加し、一方分子の自由度は増しエントロピーは増加する。界面に垂直方向は、気相と液相の圧力により力学的にバランスされるが、表面と平行方向は、表面張力により力学的バランスが成立する。すなわち、界面層での分子間力の変化が、表面張力(界面張力)の原因となっている。液−液界面では、界面層の分子密度変化は2つの液相に挟まれてあまり変化しない。それ故、分子間力の変化は、その2つの液相成分の分子間力の差が、界面相の過剰エネルギーとなる。しかし液相から気相への移行に比べて内部エネルギー変化は小さいので、界面張力も小さい。界面活性剤は界面張力低下作用があるが、それはどのような仕組みで生じるのであろうか。

 次回へ。

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秋貞 英雄 先生のご紹介


■今までのご経歴
  山形県山形市1948年3月生誕の団塊世代です。

  1978年    九州大学大学院理学博士学位取得退学
  1979年4月 九州共立大学工学部環境化学科赴任
  2010年3月 同大学退職

  現在、長崎国際大学薬学部訪問研究員、九州産業大学大学院非常勤講師、
  元 九州共立大学工学部教授

■本テーマ関連の学会・協会等でのご活動
  日本化学会コロイドおよび界面化学部会、日本油化学会、 American Chemical Societyなど。
  コロイドおよび界面化学部会では1998〜 2002年News Letter編集委員

■著書
  「化学熱力学中心の基礎物理化学」 学術図書出版 共著
  「各種乳化技術ノウハウ・事例集」 情報機構 共著




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