化学物質法規制の背景 コラム/化学物質情報局

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化学物質管理への取組みを考える
 

(株)フジクラ 電子電装環境部 主席技術員 地頭園 茂 氏


 このコラムではこれから、各種の化学物質法規制の概要・考え方から対応、情報を収集するための方法などを紹介していこうと思っています。皆様のご参考になれば幸いです。


 

第1回 化学物質法規制の背景などを考える(2011・6・10)
 

『 化学物質法規制 』 と企業経営


 

 かけがえのない地球を守るため、環境を保護し、持続可能な発展を促進するために、有害物質を規制するさまざまな草案が公開され、化学物質法規制が制定され施行されています。明日の地球を生きていく子供たちを守るためには大変意義のあることだと思っています。

しかし今まであまり考えたことも無かったため、いざ化学物質法規制に対応しようとしても、果たしてどこから手を着けていけばよいのか、難しくてよくわからないため困ってしまうところでもあります。
また、法規制にはそれぞれ厳しい罰則などもあり、不適合となった製品は市場回収などを求められたり、さらにその製品の製造または輸入の責任者には、禁固刑や罰金などが課されたりします。

このため、法規制に今後も継続して適合できるかどうかについて検討することは大変重要になっています。継続して適合させるために企業の資源(ヒト、モノ、カネ等)はどのくらい配分しなければならないのか、それともあきらめて市場から撤退したほうがよいのかなど、企業においては避けて通れない重要な経営課題となってきています。
特に、グローバルにビジネスを展開しようとしている企業では、国内のみならず海外法規制(例えば、EU REACH規則など)への適合も視野に入れた経営戦略が必要になっています。

おそらく経営者はこれから、企業の経営理念などで化学物質法規制対応を利害関係者(ステークホルダー)に知らしめ、さらに従業員に対して行動や判断の指針を与えるなどして、化学物質法規制遵守を企業の組織文化の形で形成し、より磐石なものにしていくだろうと思います。
そして、こうした組織文化の変化の中で、例えば経済や経営という一般ビジネス分野と同様、新たな化学物質規制分野についても学習する必要を感じ取るように、多くのビジネスマンは変わってくるのではないでしょうか?

昨今、企業のこのような状況を考慮し、わが国の産業界の未来のため、企業の化学物質法規制への対応を支援するような講座の開催といった官公庁の政策なども増えてきているようです。

化学物質法規制への取組みは、これからも注目を集めそうな話題になることと思います。

ところが、20年前までは、企業の中にある化学物質管理はどちらかと言えば公害防止が中心で、活動もそれほど活発ではなく、企業経営を左右するような判断とは遠い存在だったように思います。
それが今は、化学物質法規制対応はビジネスの最重要課題となってしまい、企業経営の中心である経営者が化学物質法規制対応の最前線に立つことを求められるなど、企業を取り巻く化学物質管理の状況が大きく変わってしまいました。

さて、この20年の間にいったい何が起こったのでしょうか?
少し振り返ってみようと思います。


 

『 環境負荷 』 という概念


 

 環境負荷という言葉は、今ではよく使われるようになりましたので、おそらくどこかで聞いたことがあるだろうと思います。そしてその概念は、およそ20年前の1993年に公布された、わが国の環境基本法によって一般に広まり、使われるようになってきました。

このような新しい概念が使われ始めるようになった背景は、環境保護を考えるときに、従来と違う新たな概念の導入が必要と考えられたからだと思います。

それまでの環境保護に関する問題とは、工場から排出される大気汚染物質や水質汚濁物質などといった、特定できる物質によって私たちを取り巻く大気や水が汚染される環境破壊への対応を考えるもので、この場合には汚染の原因が明らかですので、それらを除去すれば解決するため、除去することや排出を制限することがゴールだったようです。

ところが、月日が経つにつれ科学が発展し、今度は地球全体の持続可能性を考えるように変わってきました。つまり、企業や家庭などでの人間の活動が活発になることで引き起こされる資源や生態系の劣化、地球上にどんどん蓄積される廃棄物や温室効果ガスに関する問題なども注目を集めるようになってきたわけです。
このような従来と異なるタイプの環境破壊の原因になっているのは、特定の有害物質というよりも、人間が活動することによって引き起こされる自然の変化だと思います。
例えば、人間の都合などで自然を切り開き、住宅地などの人工的な土地利用に変更することも、さまざまな問題を引き起こすということが少しずつわかってきました。
このように、特定できる物質による汚染問題を超えた、さらに広い概念を表す言葉が必要になり、環境負荷という言葉が使われるようになったようです。


 

環境負荷を 『 産業革命 』 の前後で考える


 

 この新しい概念である環境負荷の問題は、本当は産業革命の前後の時代にまでさかのぼって考えてみるとわかりやすいと思います。
もちろん産業革命前にも人間が活動することで引き起こされる環境負荷は生じていたと思います。
しかし、その時代に人間が排出する物質は、自然が備えている浄化能力に比べてまだ少ないものだったため、自然の循環の中に取り込まれ、うまく処理されていたし、また資源の消費量も少ないものだったようです。
場所によっては人の健康に影響があるような状態が生じることはあったと思いますが、地球全体に対しては、人間の活動によって引き起こされる環境負荷は、とても小さかっただろうと思います。
つまり、人間の環境負荷は自然の許容範囲内だったというわけです。

しかし、産業革命が起こると、人間の活動はそれまでとは比べものにならないほど大きくなり活発化していきました。それまで人手で行っていたさまざまな行為を、機械を使って行うようになり、その力が及ぶ範囲は格段に広がりました。
このことは、人間の生活を豊かにし、健康の改善などにも大きく貢献しましたが、一方では環境負荷の拡大につながってしまいました。そして大量生産、大量廃棄といった資源がそのまま廃棄物へと一方向に流れる、20世紀型の工業社会と呼ばれる社会につながってきてしまったわけです。

このままでは、かけがえのない地球が危ない。
私たちは、地球環境を保護し、持続可能な発展を促進できるように、環境負荷を減らすように大きく舵を切る必要があると思います。

環境負荷を削減するにはどうしたらよいでしょうか?
EUにおける取組みを見てみることにしましょう。


 

EUにおける『 3R 』の取組み


 

 環境負荷を削減するため、廃棄物が排出されるのを抑制したり、資源を有効利用するためにリサイクルしたりする3R(Reduce, Reuse, Recycle)について、およそ20年前の1990年代から、EUは加盟国全体で熱心な取組みを進めていて、昨今、この取組みがアジア各国を初め世界中に広がりつつあります。

1994年12月、EUで「容器包装指令」(Packaging and Packaging Waste)が発効されました。
この指令は加盟国に1996年6月までに、容器包装廃棄物の回収に努めるよう勧告し、その目標(回収率目標50〜65%、リサイクル率目標25〜45%)を定め、2001年6月までにこの目標を実現するために必要な各国の新たな制度を導入することを求めたものです。
その後、各国の制度導入および目標の実現状況などが議論された結果、この指令は2004年12月に改正され、回収率目標60%以上、リサイクル率目標55%以上に引き上げられました。
さらに、リサイクル率の算定については、特に熱エネルギーとして回収したことを含めても良いことになっていますが、やはりできるだけ資源として回収することを優先させる内容になっています。
また、材料別のリサイクル率目標(2008年に実現する目標)も示されていて、ガラスやペーパー類は60%以上、金属類は50%以上、プラスチック類は22.5%以上などとなっています。

2000年10月、「自動車リサイクル指令」(End of Life Vehicles : ELV)が発効されました。
この指令は2007年以降、全ての使用済み自動車をメーカーが無償で引き取らなければならないことを求めています。また、リサイクル回収率を2006年に85%(そのうちの熱回収分は5%以下)、2015年に95%(同10%以下)とする目標値も示されています。
さらに、廃棄物の利用やリサイクル、再生を進めること、回収作業者の健康への配慮などで、自動車を製造する際には、2003年7月1日以降、カドミウム、鉛、水銀、6価クロムの4種の有害重金属物質の使用を禁止する(閾値以下に抑える)措置が取られています。

2003年2月、「電機・電子機器リサイクル指令」(Waste Electrical and Electronic Equipment Directive : WEEE)が発効されました。
この指令は2007年以降、ほぼ全ての電機・電子機器の使用済み製品をメーカーが無償で引き取らなければならないことを求めています。
また、同時に発効された「電機・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限に関する指令」(Directive on the Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment : RoHS)では、電機・電子機器におけるカドミウム、鉛、水銀、6価クロム、ポリ臭化ビフェニール、ポリ臭化ジフェニルエーテルの含有が規制(閾値以下に抑える)することを求めています。

RoHSやELVなど有害物質規制を含むこのような3R関連の施策は、原料となる資源の採掘から、メーカーにおける生産、サプライチェーンでの流通、顧客による使用、そして廃棄までの製品ライフサイクルを通して環境負荷を削減することを促進しようとしており、EUでは、これらを廃棄物政策の柱と考えているようです。


 

拡大生産者責任という考え方


 

 EUでは、これらの施策の実施について、EPR(Extended Producer Responsibility : 拡大生産者責任)という新しい考え方を適用しています。
EPRとは、製品にどのような材料を使うのかは製品の生産者および輸入者が決めることなので、その選定の結果、(1)選定された材料を供給するサプライヤが及ぼす環境への影響、(2)メーカーの生産工程そのものが及ぼす環境への影響、(3)顧客による製品の使用や廃棄による環境への影響なども含めた「製品のライフサイクルを通じて及ぼされる環境への影響」については、製品の生産者および輸入者が責任を負うべきであるという考え方です。

OECD (Organization for Economic Co-operation and Development : 経済協力開発機構)でも、廃棄物政策にEPRを適用しようと、具体的検討を1994年から進めていて、2001年には加盟各国政府に向けた指針マニュアルを出版したりしています。
指針マニュアルでは製品の生産者に、(1)製品が廃棄される際に環境影響を生じさせないような配慮設計、(2)配慮設計でも排除できない廃棄時の環境影響については、廃棄された製品が適切に処理またはリサイクルされるよう配慮することの両方を求めています。
特に(2)については、例えば、製品の生産者が廃棄物を引き取るなどの物理的責任か、またはそれに掛かる費用を負担するといった経済的責任を果たすことなどが考えられますが、具体的な適用方法については、さまざまなバリエーションがあるとしています。

また、EUのリサイクル制度では、使用済み家電製品や使用済み自動車については、効率的なリサイクルや適切な処理を進めるため、まず、これらの使用済み製品を生産者に引き取らせることとしています。
生産者に戻すことは、(1)戻った材料をリユースまたはリサイクルして再び製品を製造することが容易になる、(2)さらに、生産者は材料をリユースまたはリサイクルすることにより、どのような素材を利用してどのように製品設計を行うことがリユースまたはリサイクルにとって有利なのかを知ることができますので、得られた知見を用いて、さらにリユースまたはリサイクルしやすい製品設計を進めることが期待できます。

一方、容器包装をリサイクルする場合のように、(1)容器の生産者、(2)流通業者、(3)中に入れる内容物の生産者および流通業者など、関係する企業が多数となる場合には、使用済み製品を生産者に戻すことは現実的に難しくなるため、これらの関係する企業がそれぞれ応分の費用を負担するという制度になっていて、本当によく考えられた制度だと思います。


 

化学物質法規制の背景は『 3R 』


 

 循環型社会という言葉がわが国において使われるようになったのは、およそ10年前の2000年に、循環型社会形成推進基本法が成立し、それに基づく基本計画が立案された頃からだと思います。
これは私たちの社会の問題として循環の課題を考えるということですが、このような考え方は世界的に見ますと先進的なものでした。そのため、その考え方を世界全体で共有することは、当時はまだ難しかったようです。
循環型社会の実現を考えることは、リサイクルだけではなく、さらに広い範囲を対象とする思考が必要です。
昨今ようやく3Rの考え方を中心にして社会を変えていくという考え方が、世界的にも広がってきたように思います。わが国のお隣の中国でも「循環型経済」と呼ばれている政策が打ち出され、その中で3Rの考え方による物質の循環が経済的な意味と共に確立されてきています。

地球環境保護と持続型社会の実現可能性への明るい展望を示すことは、私たちの世代である21世紀においてもっとも大きな課題のひとつと思います。
地球環境を保護し、持続可能な発展を促進するためには、先進国や新興国を問わず、化学物質管理への取組みを推進させることが大切であると思います。
そのためには、化学物質法規制を俯瞰的に捉え、長期にわたる少し複雑な問題と短期に解決できそうな問題とに分けてみるなど、問題を構造化して解決へのビジョンを提示するアプローチなども有効ではないかと、いろいろ考えてみたりしております。

( 第1回 化学物質の背景などを考える 完 )


 
 

第2回 「環境法令」制定のもとになった環境問題や国際会議 −前編−

第3回 「環境法令」制定のもとになった環境問題や国際会議 −後編−

第4回 国際条約、わが国の法令の体系、環境法令の分類など

第5回 わが国の環境基本法の概要

第6回 化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)の概要

 

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ご感想・ご要望など御座いましたら、ご一報いただけましたら幸いです。

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コラム執筆者のご紹介
 
 
 地頭園 茂(じとうその しげる)氏

 

 所属:(株)フジクラ 電子電装環境部
 
 経歴:2000年頃より製品含有化学物質管理を手がけ、現在に至る
 
 専門:製品含有化学物質管理
 
 活動:JAMP(アーティクルマネジメント推進協議会)、JGPSSI(グリーン調達調査共通化協議会)他、多数
 

 
 
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