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講師コラム:服部 毅 氏


『半導体製造汚染防止・除去のためのクリーン化・洗浄技術の最新動向』



コラムへのご意見、ご感想がありましたら、こちらまでお願いします。


第4回「半導体クリーン化技術の質問に答えます」(2021/10/7)



 去る2021年9月21日に、毎年一回開催している「先端半導体クリーン化・歩留まり向上技術」のセミナーをオンラインで開催しました。後で受講者からいろいろ質問をいただきましたが、ここでは多くの方々に共通する一般的な質問をとりあげて回答することにします。受講されなかった方にもこの分野に興味を持っていただくため、わかりやすくビジュアルに解説しました。


Q: 有機汚染はパーティクル(異物微粒子)として観察されることはあるのでしょうか。
A: パーティクルの中には、例えばフォトレジスト残渣フレークやプラスティック製ウェハカセットの摩耗粉のように有機物でできたものも多数あります。これらは、離散して存在し、表面検査機でパーティクルあるいはヘーズとして検出されます。これらは無機物質のパーティクル同様に、パターン欠陥の原因になります。
 しかし、有機汚染の多くは、クリーンルームや設備内の有機材料からガスとして放出された有機物質がVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)として空気中に浮遊しウェハ上の広い面積に薄膜状で吸着するのが特徴です。図1にそのイメージを示します。




図1 ウェハ表面に付着する各種汚染のイメージ図
(服部毅編「新編シリコンウェハ表面のクリーン化技術」p. 171より)


 量が多ければパーティクルあるいはヘーズとして観察されることもあります、たとえば、フィルタのコーキング材であるシロキサンは、ごく少量でもウェハに吸着しやすい性質があり、リソグラフィ(露光)やレーザー照射を用いた各種計測時に光や熱で化学分解して揮発成分は飛び去り、最終的に固体成分である2酸化ケイ素(SiO2、白色)が目に見える形でウェハや露光装置や光学式計測装置のレンズ・ミラー上に残留します。レンズ(あるいはミラー)の透過率が落ちてしまい、露光や計測に支障をきたします(図2参照)。




図2 シロキサンが原因のレンズの曇り(ヘーズ)(情報機構クリーン化セミナーテキストより)


Q: 密閉ボックスでの輸送について、真空を維持したままボックスで搬送するというアイデアはどのようにお考えですか。
A:  過去に米Texas Instrumentsが国防総省空軍の援助で真空ボックスを用いた試作ラインを構築し論文も発表しました。減圧プロセスから別の装置の減圧プロセスへウェハを移行させる際に真空を破らずに済むので時間の節約ができ、デバイス製造に要する時間を短縮できるとの理由でした。しかし、誰も真似しようとはしませんでした。金属をくりぬいた真空ボックスの価格は高くて重たいし、真空装置から別の真空装置へ移送というプロセスは多くはないし、その場合は今ならマルチチャンバを使えば箱に出し入れせず、真空を破らずにそれぞれのチャンバで別の処理ができます。歩留まりを上げるためには、プラズマCVD やドライエッチングなどの減圧処理の後や次工程の前にはウェハに付着したパーティクルによる歩留低下を防ぐために真空とは相性の悪いウェット洗浄が入るようになりました。講義の最後にお話ししましたように、FOUPにしろSMIFにしろ密閉箱に入れたり出したりせずにプロセスを連続で行うやり方が理想だと思いますが、マルチチャンバによる連続プロセスなど一部を除きまだ実現していません。(多くの量産工場ではそのような使い方をせず、すべてのチャンバで同一プロセスを行ってスループットを上げているのが現状ですが)。将来、枚葉搬送枚葉処理を実現するには、さらにどんなことを検討する必要があるか考えてみましょう。実は、ITRS (国際半導体技術ロードマップ)では、2000年代に10年後(つまり2010年代)に一部で枚葉搬送枚葉処理が採用されるようになるとの予測を発表していましたが、そのようにはなっていません。ほかのほとんどの産業では(例えば自動車組み立て工場、わかりやすい身近な例ではデパ地下でよく見かけるせんべいがベルトコンベア上を搬送しながら加工される自動製造機)ごく普通に行われているこの方式がなぜ半導体製造では採用できていないのでしょうか。この辺の事情を検討することで、すでに四半世紀にわたり進歩していない半導体ウェハ搬送・処理方式に破壊的革新がもたらされるでしょう。




図3 枚葉搬送枚葉処理を採用した半導体製造システムの模式図(情報機構半導体クリーン化セミナーテキストより)


Q: クリーン化セミナーと洗浄セミナーはどこが違うのですか。クリーン化や洗浄技術は日本が強い分野ですか。
A: まず、後の質問からお答えします。ウェハ洗浄は、パーティクルを発生する各プロセスの前後に行う場合が多く、半導体製造工程で最頻プロセスとなっています。そのためのウェハ洗浄装置は大きくバッチ浸漬式と枚葉スピン式の2種類ありますが、前者はスクリーンが70%、東京エレクトロンが15%前後のシェアを握っています。後者はSCREENが4割弱、東京エレクトロンが2割弱と日本勢が過半のシェアを握っています。米国Lam Research (旧SEZ)と韓SEMES (Samsungの子会社)がそれぞれ10%台のシェアで続きます。韓KC テック、米アクリオン、芝浦メカトロニクスなど多数のサプライヤーが1桁台のシェアで続きます。洗浄と関連のあるCMP装置の世界トップシェアはアプライドマテリアルズが握っていますが、荏原製作所が3割のシェアを持って検討しています。水回りのプロセスは、きめ細かいメンテナンスが必要で、日本勢が強いといわれています。クリーン化も日本が強い分野です。ソニーでは、各種汚染に敏感なイメージセンサを数十年にわたり開発し製造してきたので、クリーン化については世界でも最も進んでいると思います。最新のクリーン化・洗浄技術に関する国際会議の様子、特に日本勢の活躍についてはマイナビニュースに参加レポートを執筆したのでご覧ください。https://news.mynavi.jp/article/ucpss2021-1/

 なお、「先端半導体クリーン化・歩留まり向上技術」のセミナーは「半導体表面への汚染付着をどのように防止するか」に焦点を当てており、これに対して今年11月25日開催予定の、クリーン化セミナーの後編ともいえる「先端半導体洗浄・乾燥技術」セミナーは、半導体表面の汚染をどのように除去するか」に焦点を当てています。前編に出席されなかった方にもわかりやすく講義いたしますのでどうぞご受講ください。

先端半導体洗浄・乾燥技術
〜半導体製造ラインのウェーハ表面洗浄・乾燥および
汚染除去技術の基礎から最新動向まで〜
https://johokiko.co.jp/seminar_chemical/AC211138.php

●日時 2021年11月25日(木) 10:30-17:00


第3回「シリコンウェハを収納・搬送する密閉箱FOUPの問題点」(2021/7/14)



 世界中の先端半導体製造ラインで使われている300mmシリコンウェハは、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれる密閉箱に収納されて保管・搬送されている(図1,2参照)。
 前面についているふたは、FOUPを製造装置に装着した際に機械的に自動で開閉できるような仕組みになっており、これがFront Openingの由来である。Unifiedというのは、ウェハケースとウェハカセットが一体化しているとことに由来する。
 
 ウェハをFOUPに収納することにより、クリーンルームの空気中のパーティクル(異物・微粒子)や分子状の汚染物質(揮発性有機物質やアンモニアやドーパントなど)の付着を防ぐことができる。これにより、クリーンルームの空気の清浄度を下げることができ、作業者は全くウェハに触れることなく作業を行えるので、クリーン化の観点からの優れた概念である。



図1 FOUP(蓋を開いて中に収納されているウェハが見えるようにしている)



図2 FOUPローダーを4台装着可能なウエハ保管庫


 FOUPは、国際半導体装置材料協会(SEMI)により世界標準化されているため、世界中の300mmウェハを用いた半導体上場で採用されているが、良いことずくめではない。過去には、蓋を開けるたびの発塵とかプラスティック材からの有機ガス発生など様々な問題があったが、今ではほとんど解決している。

 FOUPの本質的な問題点

 しかし、きわめて本質的な課題が残されている。この種の密閉箱は、もともと米国HP(ヒューレット・パッカード)社半導体事業部門の天井からパーティクルが舞い降りる古いクリーンルームの延命策として考案されたものである。外からの汚染は防ぐことしか念頭になかったので、ポッド内部に汚染発生源がある場合は防ぎようがない。パーティクル付着の無い、きれいなウェハをクリーンルームのきれいな空気中で入れたのだから、ポッド内部に汚染発生源などあろうはずはないと思われるかもしれないが、最近は、これが大きな問題となってきている。

 F系やCl系の腐食性ガスを使ってドライエッチングしたウェハをFOUPに収納すると、ウェハ表面に残留していた腐食性ガスが揮発してFOUP内壁に吸着し、別なウェハを入れた際に、FOUP内壁から揮発したガスがウエハに吸着して、金属配線を腐食する現象が起きる。このホットな問題とその解決策については、2021年9月21日開催の「先端半導体クリーン化・歩留向上技術」セミナーで詳しく解説する。
 最近は、このほか様々な理由でPOUP内を窒素パージするようになってきているが、この問題についても言及する。


第2回「超臨界流体洗浄・乾燥をDRAMメーカーがパターン倒壊防止のために量産導入」(2020/11/9)



 先日、最先端超微細半導体プロセスの技術動向を調査している市場動向調査会社から、「超臨界流体の先端半導体プロセスへの応用に関心が集まっているようだが、実態をつかめない。洗浄・乾燥技術の半導体製造への適用に関する貴殿の書かれた書籍(図1)(参考資料1)を読んだが、出版から8年を経ているが、この間にどの程度実用化したのか?」という問い合わせを受けた。この書籍は大学教授の方々との共著で、私が半導体メーカーの研究部門在籍時に研究した成果もとに様々な半導体プロセスへの適用に関して実例をあげて解説していたので、私に問い合わせがあったわけだ。調査会社の担当者は、半導体メーカーも装置メーカーも口が堅く最新情報を得るのが困難だと言っていた。それにはわけがある。

 DRAMメーカーが10nm 級先端DRAM製造に導入

 実は、超臨界流体洗浄。乾燥技術は、すでに韓国Samsungで実用化し、先端DRAMの量産ラインで使われている。そのための装置を製造しているのは、Samsungの子会社で韓国最大の半導体装置メーカーであるSEMESであるが、Samsungは、超臨界流体洗浄・乾燥を実用化したことを公表しておらず、SEMESは装置を製造していることを公表しておらず、外販もしていない(参考文献2)。DRAMライバルのSK HynixやMicron TechnologyはSEMESから入手できないので、東京エレクトロンやSCREENなどの日本勢や韓国のSEMESのライバル企業に開発依頼をしている。すでに、日本製の超臨界流体洗浄・乾燥装置の試作機が、Samsungのライバル各社に納入されているらしいが、こちらもかん口令が敷かれ社外秘となっている。
 そういえば、数年前に、韓国半導体装置メーカーの技術者が私のセミナを受講し、日本語を勉強し愛読しているという上述の書籍(図1)を持参し、サインを求められたことがあった。超臨界流体装置を韓国での新たなビジネスチャンスととらえて装置を開発中だと言っていたが、完成したのだろうか。



図1 超臨界流体洗浄・乾燥について解説した専門書


 リンス水の表面張力で先端半導体デバイスの微細回路パターンが倒壊

 アスペクト比の大きな柱状構造は、水や液体の表面張力による毛管現象で、パターン倒壊癒着が起きやすく(図2参照)、プロセスの微細化に伴いますます半導体微細加工を阻害する現象として知られ、先端プロセスを活用したい半導体メーカーは解決策を長年にわたって模索してきていた。



図2 リンス水の表面張力で倒壊したアスペクト比のおおきな柱状回路パターン(FinFETのフィン列)の例


 表面張力が原理的に発生しない超臨界流体技術はMEMS分野ではすでに微細パターンの乾燥用に導入されており、一般にもコーヒーからのカフェイン抽出やレース地の複雑な模様のある衣類の染色やドライクリーニングなどでも使われているが、高圧下でのプロセスであるため、減圧プロセスが中心の半導体業界では研究は長年にわたって進められてきたが実用化はされていなかった。韓国メディアは、「Samsungは、京畿道華城市にある最先端の10nm級のDRAM量産ラインにおいて、ますますアスペクト比が大きくなる円柱状キャパシタ構造の洗浄乾燥に活用している」と伝えているが、どうやら従来からある洗浄・燥手法では、ソリューションが見いだせず、最終的に原理的に表面張力が発生しない超臨界流体にたどり着いた模様だ(参考文献2)。Samsungでは新型メモリなどでも適用を検討しているともいわれている。

 次回の情報機構「先端半導体洗浄・乾燥技術」セミナー(2020年11月27日開催)で、超臨界流体洗浄・乾燥に関しても基礎から詳しく解説するので、関心のある方はぜひ聴講してください。


【参考文献】
1)服部毅(共著):「半導体・MEMSのための超臨界流体」(コロナ社)
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339008371/

2)服部毅;「日本は半導体製造装置でも韓国を後追いする立場となるのか? - Samsungが子会社開発の超臨界洗浄装置をDRAM量産ラインに導入」  マイナビニュース  2017.3.07
https://news.mynavi.jp/article/20170307-semes/

マイナビニュース(服部毅の記事一覧) (https://news.mynavi.jp/author/0001750/) に、毎日、世界中の半導体産業や半導体技術に関する最新ニュースを執筆しておりますので、グローバルな半導体産業や半導体技術に関する最新情報入手にご活用ください。


第1回「台湾TSMCがEUV露光用マスクの「ドライクリーン技術」を量産導入し歩留向上」(2020/8/18)



 2020年8月現在、米国インテルや韓国サムスンエレクトロニクスは先端のロジックデバイス試作ラインにEUV(波長13.5nmの極端紫外光)リソグラフィを導入しているが、製造歩留まりが長期にわたり低迷しており、7/5nmデバイスを量産できる状態には至っておらず、台TSMCだけが量産に成功して独り勝ち状態にあると半導体メディアが伝えている(参考文献1.2)。
 なぜ、TSMCだけ最先端の超微細デバイスの歩留まりを高く保つことができているのだろうか。その背景に隠されていたTSMCの様々な歩留まり向上策の一端が最近明らかになったので紹介しよう。

 TSMCは、EUVリソグラフィ工程で使用されるEUVマスク上に付着したパーティクル(異物微粒子)除去に、従来の薬液や純水を大量に使うウエット洗浄プロセスにかわる環境にやさしい「ドライクリーン技術(Dry-Clean Technique)」を量産ラインに導入してEUV適用デバイスの製造歩留まり向上を図っていることが明らかになった(参考文献3)。ドライクリーン技術は薬液や純水のかわりに物理力でパーティクルを除去してウェハ表面を清浄化する「ドライクリーニング技術」とも異なり、付着したパーティクルを1粒ずつ組成分析して同定し、発生源を特定してその発生源を排除することにより、マスク上にパーティクルが付着せぬようにするパーティクル付着防止手法である。なお、Dry-Clean Techniqueは、TSMCの独自の呼び方である。



TSMCの半導体製造クリーンルームでEUVマスク表面を拡大画像で観察しているエンジニア (出所;TSMC)


 落下するパーティクルの分析と汚染源の排除により、10,000ウェハごとのマスク付着パーティクル数が以前の数百個から1桁台に減少させ、2020年までに99%の削減率を達成できたという。同社によれば、導入以来、節水量は約735トン、薬品節約量は約36トンとなっている。改善効果は70億円に達したという。すでにこの手法を完全自動化し、そのシステムを量産ラインに導入済だという。

 同社は、「ドライクリーン技術」は世界初の量産導入と宣伝しているが、確かにEUVマスクに関しては世界初であっても、シリコンウェハ上のパーティクル対策としては極めて常識的な対策であろう。歩留まり向上には、こういった地道な努力の積み重ねが必須である。



【参考文献】
1) 服部毅:「Intel、7nmでも歩留まりの低迷で外部ファウンドリの活用の可能性も」
https://news.mynavi.jp/article/20200727-1177821/  マイナビニュース 2020/7/27

2) 服部毅:「Samsungの5nm EUVプロセスに歩留りトラブル発生か?! - 海外メディア報道」
https://news.mynavi.jp/article/20200724-1172912/ マイナビニュース 2020/7/24

3) 服部毅:「なぜTSMCだけEUVプロセスで高い歩留まりを達成できるのか?」
https://news.mynavi.jp/article/20200807-1204728/ マイナビニュース 2020/8/07

マイナビニュース(服部毅の記事一覧) (https://news.mynavi.jp/author/0001750/) に、毎日、世界中の半導体産業や半導体学会のニュースを執筆しておりますので、グローバルな半導体産業や半導体技術に関する最新情報入手にご活用ください。

服部 毅 氏のご紹介

■ご略歴:
30年余りソニー株式会社に勤務し、半導体材料基礎研究(中央研究所)からプロセス・デバイス開発(半導体事業本部)歩留まり向上・クリーン化(九州および米国量産ライン)まで広範な業務に従事。ウルトラクリーンテクノロジー研究室長、リサーチフェロー。この間、本社研究開発戦略スタッフ、米国スタンフォ―ド大学留学、同集積回路研究所客員研究員なども経験。

2007年に国際技術コンサルタントとして独立し現在に至る。内外の多数の半導体・製造装置・材料メーカーや市場動向調査企業などで技術指導・社員教育・開発戦略・学会発表支援などを担当。


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