第9回_EU RoHS指令の適用免除リスト(附属書III)の6(b)シリーズの有効期限と解釈とは?

2026年2月28日にEU‑Lexで公表された RoHS指令の適用免除リスト(附属書III)における6(b)シリーズについて、ご教示ください。

EU公式の免除リストでは、6(b)、6(b)-I、6(b)-II(カテゴリー1~7および10) の有効期限は2027年6月11日~2027年6月30日 とされ、ステータスは 「Valid – no longerrenewable(有効・更新不可)」 と表示されています。
一方、6(b)-II(カテゴリー9:産業用監視・制御機器、カテゴリー11:その他のEEE)および6(b)-III については、
「Valid – requested for renewal(有効・更新申請あり)」 と表示されています。

以下の2点につき、ご教示いただけますでしょうか。

Q1.有効期限の解釈:以下の理解で相違ないかご教示ください。

6(b)、6(b)-I、6(b)-II(カテゴリー1~7および10)は、表示された有効期限の到来をもって失効する。
6(b)-II(カテゴリー9およびカテゴリー11) および6(b)-III は、更新申請が提出されているため、欧州委員会の最終決定が下されるまで、失効日は一時的に停止され、有効が継続している状態である(「有効期限が恒久的に無くなった」わけではない)。

Q2.6(b)-III の適用カテゴリ表記について

6(b)-III における「Categories 8 and 9 other than in vitro andindustrial」 という表記は、体外診断用(invitro)および産業用(industrial)を除外して適用するという理解で相違ないでしょうか。

Q1について

1.1 RoHS指令用途の除外(附属書III)

EU委員会委任指令(EU)2025/2364(鉄鋼、アルミニウム、銅の合金元素としての鉛の免除)(2025年9月8日)(*1)による用途の除外は次項のように改定されました。

・6(a):機械加工用の鋼および亜鉛メッキ鋼中の合金元素としての鉛(重量比で最大0.35%の鉛を含む)
:2026年12月11日に期限切れ

・6(a)-I:機械加工用鋼中の合金元素としての鉛(重量比で0.35%以下の鉛を含む)
:すべてのカテゴリにおいて、2027年6月3 日に期限切れ

・6(a)-II:バッチ溶融亜鉛めっき鋼部品中の合金元素としての鉛(重量比0.2%以下の鉛を含む)
:すべてのカテゴリにおいて、2027年6月3 日に期限切れ

・6(b):アルミニウムの合金元素としての鉛(重量比で最大0.4%の鉛を含む)
:2027年6月11日に期限切れ

・6(b)-I:重量比で0.4%以下の鉛を含むアルミニウムの合金元素としての鉛(ただし、鉛含有アルミニウムスクラップのリサイクルに由来するものに限る)
:カテゴリ1~7、10については2026年12月11日に期限切れ
:カテゴリ 9 の産業用監視および制御機器、および 11 については、2027年6月30日に期限切れ

・6(b)-II:機械加工用アルミニウム合金元素としての鉛(重量比で0.4%以下の鉛)
:カテゴリ1~7、10については2027年6月11日に期限切れ
:カテゴリ9の産業用監視および制御機器および11については、2027年6月30日に期限切れ

・6(b)-III:アルミニウム鋳造合金中の合金元素としての鉛(重量比0.3%以下の鉛を含むが、鉛含有アルミニウムスクラップのリサイクルに由来するものに限る)
:カテゴリ1~8、産業用監視および制御機器以外の 9、および10については、2027年6月30日に期限切れ

・6(c):重量比4%以下の鉛を含む銅合金
:2027年6月30日に期限切れ

1.2 用途の除外の期限切れの更新

RoHS指令 第5条(科学的および技術的進歩への附属書の適合)

5. 適用除外の更新申請は、当該適用除外の有効期間が満了する日の18か月前までに行わなければならない。 既存の適用除外は、EU委員会が更新申請に関する決定を下すまで、引き続きその効力を有するものとする。
6. 適用除外の更新申請が却下された場合、または適用除外が取り消された場合、当該適用除外は、その決定の日から早くて12か月、遅くとも18か月が経過した日をもって失効するものとする。

要約すると「期限切れ」の18か月前までに「適用除外の更新申請」が提出され受理されれば、延長申請の決定がされるまで、期限が延長されます(第5項)。
用除外の更新申請が却下された場合、または適用除外が取り消された場合は、決定日から12か月から18か月後に失効となります(第6項)。

1.3 更新申請の状況

更新申請の状況はEU委員会の“RoHS Directive implementation”(RoHS指令の施行)(*2)のWebページで最新のリストが入手できます。リスト更新のタイミングは以下です。

・重要な法的決定(官報公示)があった直後:Directive (EU) 2025/1802 などの新しい委託指令が官報(Official Journal)に掲載された際、その内容を反映するために更新されます。

・「18ヶ月前」の申請デッドラインを越えた直後:RoHSの適用除外には「期限の18ヶ月前までに申請が必要」というルールがあるため、主要項目の申請期限(例:2025年12月末や2026年6月末)を過ぎたタイミングで、「どの項目が正式に更新申請されたか(Requested for renewalになったか)」を整理するためにリストが更新されます。

・四半期ごとの定期見直し(Q1またはQ3など): 大きな動きがなくても、EU委員会が進行中の評価(Pack)の進捗状況を整理するために、半年〜1年に一度程度の頻度で「最新版(as of [Month] [Year])」としてアップロードされます。

1.4 適用除外リスト:有効期間およびローリングプラン(2026年2月 Version:28-02-2026)

 

2026年4月15日時点での適用除外リストの附属書IIIの6(a)、6(b)、6(c)は以下のようになっています。

(1)列名の意味は次になります。

・Exemption(or request for new exemption) :RoHS指令(2011/65)の附属書III(IV)の除外項目
・Applicable to categories;RoHS指令(2011/65)の附属書Iのカテゴリ(製品区分)
・StartEnd:2026年2月(Version:28-02-2026)時点での、適用除外の開始日と有効期間の終了日
・Last date of submission:有効期間の終了日の18か月前
・(Renewal) request:更新申請が提出された日付
・Validity status:有効性のステータス(適用除外の法的状況)

(2)ステータスは次となります。

(a)Valid(有効)
意味: その適用除外は現在有効であり、そのまま利用可能です。状況: 記載されている有効期限(Validity period)まで、法的に認められた状態で継続しています。

(b) Valid – requested for renewal(有効 - 更新申請中)
意味: 現在の有効期限は(形式上)過ぎているか近づいていますが、期限までに更新申請が行われたため、引き続き有効とみなされている状態です。
状況: RoHS指令第5条第5項に基づき、EU委員会が申請に対して最終的な決定を下すまでは、既存の適用除外が暫定的に維持されます。実務上は「Valid」と同様に扱えます。

(c) Valid – no longer renewable(有効 - 更新不可)
意味: 現在は有効ですが、これ以上の更新申請は認められない(または申請期限が過ぎた)状態です。
状況: 記載されている有効期限をもって、その適用除外は確実に終了(失効)します。代替技術への切り替えなど、失効に向けた準備が必要な段階を指します。

(d) Not applicable – request under assessment(該当なし - 申請を評価中)
意味: 新規の適用除外申請、または特定の複雑な更新申請が現在評価プロセス(技術コンサルタントによる調査など)にある状態です。
状況: まだ正式な適用除外として承認・発行されていないか、あるいは特殊な移行プロセスにあり、現時点では標準的な「有効期限」の枠組みに当てはまらない場合に使用されます。

(e) No longer valid(もはや無効 / 失効)
意味: その適用除外はすでに期限切れ、または取り消されており、現在は使用できません。
状況: 猶予期間(移行期間)も終了しており、対象となる用途でその物質を使用することは禁止されています。

1.5 有効期限の解釈

6(b)、6(b)-I、6(b)-II(カテゴリ1~7および10) :Valid – no longer renewable
“(Renewal) request”欄に日付が記載されていないので、更新申請が出されていないことになります。“End”欄に記載されている有効期限をもって、その適用除外は確実に終了(失効)します。6(b)と6(b)I、II、IIIの違いは、当初は、附属書IIIは6(b)ですべての用途で除外要件を定めていましたが、循環経済(サーキュラーエコノミー)を促進するため、リサイクル材の使用に限定した新しい閾値と条件を2018年、2025年に細分化しました。

6(b)と6(b)I、II、IIIが混在するのは、移行期間で“End”欄に記載されている有効期限をもって削除されます。6(b)-II(カテゴリ9およびカテゴリ11):Valid – requested for renewal
2025年12月15日に更新申請が行われたため、引き続き有効とみなされている状態です。EU委員会が申請に対して最終的な決定を下すまでは、既存の適用除外が暫定的に維持されます。この決定は、官報(Official Journal of the European Union)で告示されます。

6(b)-III :Valid – requested for renewal
カテゴリ9およびカテゴリ11は、2025年12月15日に更新申請が行われています。
体外診断用および産業用以外のカテゴリ8および9は、2025年12月11日に更新申請が行われています。
“in vitro diagnostic medical device”(指令98/79/EC第1条(2)の(b)による体外診断用医療機器)は、2025年12月15日に更新申請が行われています。EU委員会が申請に対して最終的な決定を下すまでは、既存の適用除外が暫定的に維持されます。

Q2について

“Categories 8 and 9 other than in vitro and industrial”は、「体外診断用および産業用以外のカテゴリ8および9」と解釈できます。

引用先(原典)

*1:委任指令(EU)2025/2364
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX%3A32025L2364&qid=1765284951040
*2:RoHS Directive implementation
https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/rohs-directive/rohs-directive-implementation_en

関連QA:高融はんだ中の鉛の除外(7(a))と7(a)-I~VIIの延長申請の動きとは?
https://johokiko.co.jp/chemmaga/maneqa_7/mane_qa/

免責事項:当解説は筆者の知見、認識に基づいてのものであり、特定の会社、公式機関の見解等を代弁するものではありません。法規制解釈のための参考情報です。法規制の内容は各国の公式文書で確認し、弁護士等の法律専門家の判断によるなど、最終的な判断は読者の責任で行ってください。

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