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『コンピュータ化システムバリデーション
 (CSV)の実践的ポイントとは』


毎月上旬更新・全12回予定

執筆:北澤 祐弥 氏

第4回「コンピュータ化システムバリデーションはどこまで実施すれば良いか?」(2021/9/10)



 今回は、CSVのセミナーやアドバイスの中で一番多いご質問が多い「コンピュータ化システムバリデーション(CSV)はどこまで実施すれば良いか?」について、数回に分けて皆さんと一緒に学んで行きたいと思います。

 このご質問は、特にCSVを実際に担当している方や、CSV対象PJが変更になると、必ず出てくる内容です。「どこまで実施すれば良いか?」という点は、CSV対象となるコンピュータ化システムや業務の特性に依存するため、唯一の答えはありません。しかし、1点だけ共通しているポイントがあります。それは「判断基準を何か?その理由は何か?」ということです。この判断基準はCSV担当者やシステムの特性によって変わるため、形式知化することを難しくしています。しかし、ポイントを押さえてしまえば、決して難しいものではありません。

 早速「CSVをどこまで実施すれば良いか?」「その判断基準は何か?」という点について、皆様から頂くご質問やお悩みを3種類の定義で整理してみましょう(以下例です)。

@CSVの対象範囲
 ・新規導入/再構築/機能追加するコンピュータ化システムと関連するシステムの範囲は?
 ・CSVを実施するにあたり、ガイドライン/ERES/DIがどこまで関係するのか?
 ・DQ/IQ/OQ/PQ実施の対象範囲は?(特にExcelやAccess、クラウドサービス)
 ・CSVで必要となる文書として、何をどこまで作成すれば良いか?
 ・CSV担当者として、検証業務にどこまで関われば良いか?

A CSV実施の深さ/粒度
 ・サプライヤアセスメントやリスクアセスメントは、どこまで掘り下げて実施すべきか?
 ・CSVに関係するガイドライン/ERES/DIについて、どこまで深く理解しておくべきか?
 ・適格性評価にあたり、必要最低限必要なチェック項目(プロトコル)はどこまでか?
 ・作成するCSV関連文書の内容は、どんな粒度で記載すれば良いか?
 ・サプライヤが実施した作業に対し、どこまで検証すれば合格と評価出来るのか?

BCSV実施の判断基準
 ・コンピュータ化システムと関連するシステムの範囲をどのように決めれば良いか?
 ・カテゴリ分類を決める際の判断基準は?(特にスプレッドシートやPLC)
 ・CSV実施にあたりERES/DIがどこまで関わるか、どのように判断すれば良いか?
 ・DQ/IQ/OQ/PQ実施有無の明確な判断基準は何か?
 ・クラウドサービスを利用しても大丈夫かどうか?評価するための判断基準は?

 これらは、CSV実施の現場で実際に見てきた内容やこれまでのご質問の一部ですが、必ずこれからの悩みや壁にぶつかります。そういった際に、過去PJの資料を漁ったり、CSVの基礎セミナーを受講していることと思います。対処例の1つとして、公開されている査察時の指摘事項とその理由を読むことも強くオススメします。特に、上記B判断基準を知る上でのポイントが詰まっているためです。

 次回以降、「@CSVの対象範囲」「ACSV実施の深さ/粒度」「BCSV実施の判断基準」について、それぞれ事例を1つ取り上げて解説していきます。また、先行して、当方のブログにて9月中旬に「@CSVの対象範囲」のお悩みの1つをピックアップして、解説したいと思います。

 尚、上記のご質問やお悩みについて、2021年2月に「さらに理解が進む!応用できる!事例とQ&Aに基づくコンピュータ化システムバリデーション2021」と題したセミナーを開催しております。気になる方・会社様がおりましたら、情報機構様までお問い合わせ下さい。無料でご相談を承ります。

☆★ 新規CSVのLMSを開講します!★☆

 これからCSVを学ぶ方や、自社に足りない活動要素を補完したいとお考えの担当者様に、「ケーススタディで身に付けるCSV(コンピュータ化システムバリデーション)実践講座 (仮)」を開講する予定です。本講座の特長は以下3点です。

 ・新任のCSV担当者に最低限必要な基礎知識、最新の各種ガイドラインを「知る」
 ・改正GMP省令を踏まえたCSV活動の内容と流れが「分かる」
 ・ここまで学んだCSVの知識と活動内容を基に、ケーススタディを通じてCSV活動を「体験する(思考する)」

 本講座はの目的は「基礎知識+実践」を組み合わせ、CSV活動の疑似体験頂くことで基礎知識と実務の流れを定着化することです。また、CSV活動における悩みやすいポイントに対して、補足資料や解説を加えながら実務に活かせる構成となっております。詳細に関しまして、後日改めて掲載させて頂きます。

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ご意見・ご要望はお気軽に弊社こちらまでお問い合わせくださいませ。
担当:企画部 小沼

■その他CSV関連セミナー、書籍一覧ページはこちら


第3回「コンピュータシステムとコンピュータ化システムの違いは何か?」(2021/8/4)



 今回は、CSVの中でも誤解しやすいワードである「コンピュータシステム」と「コンピュータ化システム」の違いについて、皆さんと一緒に学んで行きたいと思います。
 これは意外かもしれませんが、製薬/医薬品製造メーカーのCSV担当者も誤解していたり、目的と手段が反対になっていることが多いです(サプライヤーであるITベンダーは、さらに理解していません)。
 このポイントを見誤ると「なぜこんなシステムを作ってしまったのか…」となり、GMP対象業務プロセスに対して、様々な問題やリスクを含んだまま業務を進めることになってしまいます。冒頭の2つの違いについて、自社に導入されているシステムや、導入検討中のシステムを想像しながら、考えてみましょう。


1.用語の定義

 2つの用語の差である「化」という文字が入ることで、混乱するケースが多いようです。それぞれの言葉の定義とその差異を理解し、そこからCSVの本質を理解して行きましょう。以下に2つの用語の定義を示します。最大の違いは何か?なぜ違うのか?、3分程考えてみましょう。特に、CSV初心者の方は、CSVに精通している先輩社員が居れば、自分の考えを言葉で伝えて見て下さい。

  @ コ ン ピュ ー タ シ ス テ ム
    特定の機能又は一連の機能を実行するために、設計し、組み立てられたハードウェア
    及び関連するソフトウェアのグループのこと。

  A コ ン ピュ ー タ 化 シ ス テ ム
    コンピュータシステムで統合された工程又は作業、及びコンピュータシステムにより
    実現される機能を利用する業務プロセスのこと。

 さて、最大の違いは何でしょうか?一言で言うと「システム自体と、システム機能を利用した業務プロセス」の違いです。特に「業務プロセスまで検証し、文書化することがコンピュータ化システム(CSV)の重要な点」です(第2回のコラムを参照)。


2.望ましくないコンピュータ化システムの一例

 それでは、この両者の違いを知らないまま、GMP対象業務にシステムシステムを導入するPJが立ち上がったと想定してみましょう。以下は、筆者が実際に実施/推進/アドバイスしてきた一例ですが、実際に現場で起きていることです。自社でも同じようなことが起きていないか?という目で見てみましょう。

<CSV担当者>
 ・ 「コンピュータシステムバリデーション」と捉えてしまうため、本来システム導入対象の業務と部門に対して、どのような文書を作成すれば良いが?/どのような内容を記載すれば良いか?提言出来ない(特に、URSに「要件」を書くことを業務部門に教えることが出来ない)。
 ・ 「コンピュータシステム」をバリデーションすることと誤解し、導入したシステムの検証だけに留まってしまう(ただのテストと変わりが無くなる)。
 ・ 本来のCSVであるコンピュータ化システムを通じて整備された業務プロセスから、正しい情報が得られるような検証方法/項目を検討することが出来ない。

<業務部門>
 ・ URSを作成するにあたり「要求仕様」ではなく「必要機能」を記載してしまい、業務全体として何を達成したいのか?不明確なURSを作成してしまう。
 ・ 上記URSを基にしてサプライヤー向けににRFPを発行する際、どんな機能が欲しいか?中心に提案を求めてしまう(システム導入が目的化してしまう)。
 ・ システム稼働後、本来の業務に必要な機能や不具合が見つかり、逸脱報告とシステム修正変更が相次ぐ(この頃には「なぜこんなシステムを作ってしまったのか…」となる)。

<サプライヤ>
 ・ 業務部門が必要とする機能の提案が中心となり、アプリケーションや機器類のプログラムのカスタマイズ/アドオンが多くなる。
 ・ 無駄な作り込みと複雑な仕様となるため、開発/保守コストが高くなる。
 ・ (システム管理業務を委託している場合)システム稼働後、システム変更に追われ、システム運用管理上本来必要な作業内容記録・設定書の変更・エビデンスの取得・変更管理の記録、文書管理が疎かになる。その上、自己点検が行われず、問題に気づかない。


3.本来のコンピュータ化システムと今求められる対応

 ここまで「コンピュータシステム」と「コンピュータ化システム」の違いと、その違いから生まれる現実(望ましくない現状)を見てきました。たった一文字の違いの違いですが、求められるCSV活動は全く別物です。

 第2回のコラムでも解説した通りですが、CSV担当者は自分の業務を通じて、信頼出来る製造業務プロセスを確立し、不良品が無い医薬品を人々に届け、「人々が健康である」状態にすることが真の目的です。その上で、今年8月から施行される改正GMP省令への対応、バリデーションへの影響、品質管理文化の醸成・品質保証部の設立・リスクベースアプローチなどへの対応が求められています。

 加えて、海外のガイドラインや流れに合わせて、DIやデータ管理、外部のXaaSを利用する際のクオリフィケーション…その他、何からどのように手をつければ良いか?その計画立案と実装に苦労しているかと思います。もちろん、最初から全てを満足することは出来ません。あくまで、今後のブループリント(仮)を描きつつ、一つずつ現場の理解を得ながら進めていくことが正攻法です。

 尚、改正GMP対象の中でもCSVに関係する内容については、8月26日(木)のZoomセミナーにて解説させて頂きます。また、今回のコラムを補足する内容として、「2.望ましくないコンピュータ化システムの一例」を少しでも解消する方法当方のブログで公開いたします。少し珍しい視点として「他業種」での取り組みから考察/共有したいと思います。



第2回「そもそも、なぜコンピュータ化システムバリデーション(CSV)を行うのか」(2021/7/5)



 今回は「CSVの目的」「CSVの考え方」「真の目的」について、皆さんと一緒に学んで行きたいと思います。ポイントは「なぜCSVを行うのか?」「CSVの先に何があるのか?」…これらを押さえることで、CSV活動、人財育成、品質管理・保証の在り方、存在意義を会社全体で共通認識・継続的改善が出来るようになります。是非、社内の方と閲覧/議論してみて下さい。


1.なぜCSVを行うのか?

 CSV活動の背景として、医薬品は生命に直接関係するため、価格に関係なく不良品ゼロが求められます。これはどの製薬・医薬品製造会社においても共通する点です。
 しかし、実際には以下の背景から、製造会社は「医薬品製造に関わるコンピュータが目的通りに正常に動作すること」、「品質に適合する医薬品を恒常的に製造できることを実現すること」が命題となります。

 ● 医薬品産業におけるコンピュータの利用が近年ますます増加し、従来、人が行っていた多くの作業をコンピュータが行うようになった。
 ● 一方、コンピュータの欠陥による重大な事故も発生し、コンピュータシステムの信頼性と安全性が求められることになった。
 ● 上記の信頼性と安全性に対する最終責任は供給者(ITベンダー)ではなく、医薬品メーカーにある。そのため、コンピュータシステムの中身を理解する必要がある。


2.CSVの考え方とは?

 前述の背景及び企業命題に対して、私達が取り組む活動がCSVです。CSVの考え方は、下図の通りとなります。


 ここで最も重要な点は、CSVを通じて信頼性を確保するためには、「正しく運用するため、業務プロセスも含めて保証する」ことです。CSVは、コンピュータ化システムが期待通りに開発・設計・テストされ、それらを検証すること…だと思われがちですが、システムは製造工程上のツールであり、本来保証すべき範囲はGMP対象となる業務プロセスなのです。この業務プロセスに問題や不備があると、冒頭の「品質に適合する医薬品を恒常的に製造できる」とは言えないリスクを含むことなってしまいます。


3.真の目的は何か?

 ここまでCSVの目的と考え方について解説してきました。さて、ここで読者の皆様に「質問」です。次の内容を1分程度、想像してみて下さい。又は、部署内で議論してみましょう。


「CSVを実施したら、どんな良いことがありますか?」


 読者の皆さんは、どのようなことを考えたでしょうか?例えば、以下のようなことが思い付いた方が多いかもしれません(当方の推測です)。

 ● 製薬・医薬品製造において、不良品の発生率がゼロに近づく。
 ● どんな工場の要員でも、安心・安全な医薬品を製造出来るようになる。
 ● 査察官の抜き打ちチェックを受けても、信頼性出来る製造工程であると認められる。

 上記内容は正しいですが、局所的な目的と言えます。それでは、もう少し掘り下げて考えるため、皆様の会社のホームページにある「企業理念」を一度見てみましょう。各社の企業理念に共通していそうなキーワードは「人々の健康で豊かな生活」ではないでしょうか?
 つまり、CSV担当者は自分の業務を通じて、信頼出来る製造業務プロセスを確立し、不良品が無い医薬品を人々に届け、「人々が健康である」状態にすることが真の目的と言えるのではないでしょうか。各部署や経営陣は、この目標に向かって企業活動を行っているのです。

 尚、今回のコラムを補足する内容を当方ブログで公開いたしますので、CSV活動に必要な考え方・姿勢・世界的な潮流について、一緒により深く学んでいきましょう。

 北澤先生のブログはこちら(https://ameblo.jp/cocolo-smiling/)


第1回「自己紹介とCSV担当者の悩み」(2021/6/1)



■自己紹介

 皆さん、はじめまして、CSVアドバイザーの北澤祐弥と申します。これまで、情報機構様を通じて「CoCoLoスマイリング」の北澤祐弥として、CSV関連セミナーを開催させて頂いておりました。
 その上で、改正GMP省令や海外の潮流を踏まえたCSV活動の在り方・実践的な取り組み方を研究し、CSVが取り組みやすくなるサービスを提供する「C&Gファーマサポート」を2021年に3月に立ち上げさせて頂きました(設立の経緯はコチラをご覧下さい)。

 今後、本コラム及びセミナーを通じて、皆さんと一緒にCSVに対する理解を深めていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いいたします。



■CSV担当者の悩み

 製薬・医薬品製造業界において「コンピュータ化システム」と「コンピュータシステム」の違いは、天と地の差があります。品質管理部や品質保証部などに配属・異動し、初めてCSVに取り組む方は、まずこの違いを理解するところからスタートします。
 また、製薬・医薬品製造会社にシステム導入を行うITベンダー(サプライヤ)はCSV自体を理解していないことが多く、コンピュータ化システムとコンピュータシステムの違いを理解しないままに、システム導入を行おうとします。しかし、実際には当初考えていたシステム導入と異なる「検証業務」という活動の存在に悩みます。
 そういったCSVに初めて関わる担当者は、「コンピュータ化システムバリデーション入門編」のようなセミナーの受講、及び書籍「コンピュータ化システム適正管理ガイドライン入門(株式会社じほう)」を通じて基本を学ぼうとしますが、いざ活動してみるとなかなか難しいのが現実です。実際に、現在CSV活動に従事している方のセミナー参加や、実務での悩みやご質問を頂くことが多くございます。



■本当に使えるCSV知識

 本コラムは皆さんが一番理解したい内容・教えて欲しい内容から、CSV活動の基本と活動内容を丁寧に紐解く形で進めていきたいと思いますので、是非教えて欲しいことやお悩みなどありましたら、ご連絡頂ければ幸いです。

 それでは、次回「そもそも、なぜコンピュータ化システムバリデーションを行うのか(仮)」をテーマにコラムをスタートいたしますので、気長にお付き合い下さい。



■おまけ 情報機構セミナー企画担当からひとこと

 情報機構として、久しぶりの講師コラム&初の「CSV」関連コラムがスタートしました!
 ご執筆を担当いただく北澤先生のCSVセミナーは、資料も大変分かりやすく、解説も質疑対応もとても丁寧、と定評をいただいております。企画担当としても自信をもってオススメ出来るセミナーです。

 CSV活動について、日々困っている…何を参考にすれば良いのかわからない…そんな皆様へ、普段のご業務の合間にお気軽に読んで頂ける「CSV活動のあるある」「最近のトピック」を寄せ集めたコラムです。どうぞご期待ください!



北澤 祐弥氏のご紹介

日立系システムエンジニアリング会社、独立系コンサルティング・ファームのマネージャーを経て、2017年に独立。現在に至るまで、戦略・マーケティング・業務・ITコンサルティング・人財育成・顧問業を行ってきた。

その間、製薬・医薬品メーカーにおいて、CSV活動の推進役・アドバイザー・セミナー講師を務める。特に、製薬会社側のQA、及びITベンダー(サプライヤー)の両方を経験し、両社に求められるCSV活動・体制・活動内容・作成文書に対する知識・レベル差を埋め、円滑なCSV活動の推進を得意としている。

・製薬会社ではQAとして、CSV活動に必要な規程類の検討と策定、CSV対象システム範囲と進め方のアプローチ検討、初期段階でのサプライヤとの認識合わせ、CSV活動を推進。 また、社内でCSVを実施出来る人を増やすため、各種文書のフォーマット化、過去の実績から注意点や検討ポイントを明文化しノウハウとして共有化、CSV実施後の運用管理状況を確認して適時アドバイスを実施。
・ITベンダーとして、CSV活動に合わせて要件定義・システム設計・開発・テスト時に求められる必要文書、文書作成時の必要観点/留意点を踏まえたシステム導入を実施。また、 バリデーションされたシステムの運用管理(特に変更管理・文書管理・逸脱管理)の在り方・手順を運用メンバーに指導。

現在、製薬・医薬品メーカ向けCSV活動を支援する「C&Gファーマサポート」を立ち上げ、 日本PDA製薬学会会員、ISPE 日本支部のGAMP COP 第5分科会にて活動中。また、定期的にCSVに関連するセミナーやアドバイス等を通じて、CSV自体の教育・解説だけではなく、実際に現場で活動出来る人財の育成に力を入れている。




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