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発刊・体裁・価格
発刊 2013年3月22日 定価 53,900円 (税込(消費税10%))
体裁 B5判 278ページ ISBN 978-4-86502-006-9 →詳細、申込方法はこちらを参照
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本書のポイント
夢のエネルギー技術、実用化・活用のためのポイントは?
人工光合成の最新の要素技術および一連のシステムに関する研究に加え、
発電・水素利用・有機物合成に関わる技術展開・周辺技術までをも集成。
「どのように活用できるか」、人工光合成の実用化と将来性・発展性を見据えるための1冊。
<動向と指針>
・他のエネルギー技術との差異と人工光合成の課題とは?
・天然の光合成からわかる人工光合成を設計するための指針とは?
<要素技術>
●水の分解および水素・酸素の発生(明反応)
・光捕集系⇒集光アンテナ系
・天然の光合成反応中心モデル化合物の開発状況は?
・構築事例:クロロフィルの自己会合体/自己組織化ポルフィリン
・電荷分離系・水の酸化還元系⇒触媒反応の各種事例
・可視光応答型・多電子移動触媒および酸素発生触媒
・酸化物半導体光電極およびレドックス光触媒反応
・オキシナイトライド系光触媒 ・金属錯体を用いた水の酸化触媒
・計算科学の利用…第一原理計算を用いた人工光合成技術の設計・探索例
●CO2固定化・還元および有機物の合成技術(暗反応)
・分子および半導体光触媒/錯体触媒/複合酸化物半導体光触媒によるCO2還元反応
<システム>
・人工光合成システムの設計のポイントとは?
・企業での開発事例:パナソニック/豊田中央研究所
<技術展開・周辺技術>
●発電・電池関連技術
・光合成を模した色素増感太陽電池とその信頼性
・色素増感+有機薄膜⇒ハイブリッド太陽電池
・光エネルギー変換素子と光電池の開発
・可視・近赤外局在プラズモンの人工光合成への利用
●水素貯蔵・利用技術
・人工光合成燃料電池
・ソーラー・ハイドロジェン(酸化物半導体光電極触媒×色素増感太陽電池)
・光励起キャリアーの動きから見る水分解光触媒と水素貯蔵
・太陽光水電解水素製造システム
●有機物の合成・利用…自然の光合成も用いて
・ハイブリット型人工光合成⇒ギ酸・メタノール燃料への変換
・光合成の改造による光駆動水素発生複合体・糖分泌生産系の設計
執筆者一覧(敬称略)
● 福住 俊一 (大阪大学)
● 神谷 信夫 (大阪市立大学)
● 宮武 智弘 (龍谷大学)
● 民秋 均 (立命館大学)
● 小川 和也 (山梨大学)
● 中村 龍平(東京大学)
● 佐山 和弘 ((独)産業技術総合研究所)
● 斉藤 里英 ((独)産業技術総合研究所)
● 三石 雄悟 ((独)産業技術総合研究所)
● 阿部 竜 (京都大学)
● 近藤 美欧 (分子科学研究所)
● 正岡 重行 (分子科学研究所)
● 中村 振一郎 ((独)理化学研究所・三菱化学フェロー)
● 由井 樹人 (新潟大学)
● 松原 一喜 (新潟大学)
● 石田 斉 (北里大学)
● 葉 金花 ((独)物質・材料研究機構)
● 四橋 聡史 (パナソニック(株))
● 梶野 勉 ((株)豊田中央研究所)
● 鈴木 登美子 ((株)豊田中央研究所)
● 上村 恵子 ((株)豊田中央研究所)
● 荒井 健男 ((株)豊田中央研究所)
● 佐藤 俊介 ((株)豊田中央研究所)
● 森川 健志 ((株)豊田中央研究所)
● 諸岡 正浩 (ソニー(株))
● 野田 和宏 (ソニー(株))
● 宮坂 力 (桐蔭横浜大学)
● 石井 あゆみ (桐蔭横浜大学)
● 伊田 進太郎 (九州大学)
● 石原 達己 (九州大学)
● 三澤 弘明 (北海道大学)
● 荒川 裕則 (東京理科大学)
● 山方 啓 (豊田工業大学)
● 大森 隆 (京都産業大学)
● 天尾 豊 (大分大学)
● 伊原 正喜 (信州大学)
● 河野 祐介 (信州大学)
目次
第1章 人工光合成の理論と課題、開発動向
第1節 人工光合成の理論と課題、開発動向
1.化石資源の現状
2.再生可能エネルギー
3.太陽エネルギー
4.バイオマスエネルギー
5.太陽電池
6.人工光合成の課題
第2節 天然の光化学系II複合体に学ぶ人工光合成の設計指針
1.光合成で光エネルギー変換に関わるタンパク質
2.光合成の水分解・酸素発生中心
3.「歪んだ椅子」の形をしたMn4Caクラスター
4.水分解・酸素発生機構の推定
第2章 水の分解および水素・酸素の発生に関する人工光合成技術
~光捕集系・電荷分離系・水の酸化還元系および用いられる分子・触媒・錯体の開発~
第1節 光合成反応中心モデル
1.天然の光合成反応中心モデル化合物の開発状況と展望
第2節 クロロフィルの自己会合体を用いた集光アンテナ系の構築
1.天然のクロロフィル自己会合体による集光アンテナ(クロロゾーム)
1.1 クロロゾームを構成するバクテリオクロロフィル
1.2 バクテリオクロロフィルの自己会合体
2.バクテリオクロロフィルのモデル分子を用いた集光アンテナ系の構築
2.1 バクテリオクロロフィルのモデル分子:亜鉛クロリン
2.2 亜鉛クロリンの水中での自己会合体形成
2.3 水中での亜鉛クロリン自己会合体での励起エネルギー移動
3.両親媒性亜鉛クロリン分子の合成とその水中での自己会合体形成
3.1 イオン性の置換基をもつ亜鉛クロリン分子の合成と水中での自己会合
3.2 非イオン性の親水性基をもつ亜鉛クロリン分子の合成と水中での自己会合
第3節 自己組織化ポルフィリンの構築と人工光合成モデル
1.自己組織化ポルフィリン二量体による反応中心電荷分離モデル
1.1 電子アクセプターを導入したポルフィリン二量体による反応中心モデルの構築
1.2 二量体のカチオンラジカルの電気化学特性
1.3 反応中心モデルの光誘起電子移動特性とスペシャルペア構造の役割
2.自己組織化ポルフィリン二量体による光捕集アンテナモデル
1.1 光捕集アンテナモデルの構築
1.2 光捕集アンテナモデルの励起エネルギー移動
第4節 人工光合成に向けた無機分子光材料の開発
1.金属間電荷移動遷移(MMCT)の光触媒への応用
2.MMCTを利用した可視光応答型・多電子移動触媒の開発
2.1 設計指針
2.2 W(VI)とCe(III)イオンの電子的相互作用
2.3 Polyoxometalateへの可視光応答性付与
2.4 金属-クラスター間電荷移動によって誘起される光触媒反応
2.5 異種金属置換による光反応効率の向上
3.MMCTを利用した光駆動型の酸素発生触媒の開発
3.1 Mn酸化物を用いた酸素発生反応の中間体のその場検出
3.2 Mn3+の電荷不均化制御によるMn酸素発生触媒の高活性化
3.3 W/Ce/Mn/Cuの4種金属イオン集積による光駆動型・酸素発生ユニットの構築
第5節 光電極およびレドックス光触媒反応を用いた水分解水素製造
1.水の完全分解反応の炭酸イオンによる光触媒活性向上
2.レドックス媒体を用いた二段光励起機構(Z-スキーム機構)による水の完全分解
3.レドックス媒体を用いた光触媒-電解ハイブリッドシステム(実現可能性の高い人工光合成システムを目指して)
4.高性能な酸化物半導体光電極による太陽光水素製造
第6節 光合成を模倣した2段階励起型可視光水分解系の開発
1.可視光水分解実証の重要性
2.なぜ可視光水分解は実証困難か?
3.2段階励起機構による可視光水分解の実証
4.酸化タングステン(WO3)光触媒の有する特異な反応特性
5.オキシナイトライド系光触媒の適用
6.色素増感系光触媒の適用
7.可視光水分解研究の現状
第7節 金属錯体を用いた水の酸化触媒の創製と人工光合成への挑戦
1.分子性金属錯体触媒を用いた水の酸化反応
1.1 ルテニウム錯体を用いた水の酸化反応
1.2 第一遷移金属錯体を用いた水の酸化反応
1.3 水の完全分解系構築に向けた試み
2.金属酸化物触媒を用いた水の酸化反応系における錯体化学
第8節 人工光合成における計算科学の貢献
1.量子化学計算・第一原理計算による解析の試み
2.酸素発生反応(Oxygen Evolving Reaction, OER)の触媒探索
3.触媒設計指針, 記述子(descriptor)探索とVolcano Plot
4.酸化物表面(Rutile RuO2, IrO2, TiO2)による水の電気分解、DFT計算
5.分子軌道を用いた最高効率OER反応系の設計、ペロブスカイトBSCF系
第3章 CO2固定化および有機物の合成に関する人工光合成技術
~CO2固定化・還元系および用いられる分子・触媒・錯体の開発~
第1節 CO2の還元・光資源化に向けた光触媒技術;分子および半導体光触媒
1.CO2の還元
2.均一系光触媒
3.不均一系光触媒
4.複合系光触媒
第2節 ルテニウムポリピリジル錯体触媒によるCO2還元反応と人工光合成への応用
1.電気化学的CO2還元反応と反応機構
1.1 [Ru(bpy)2(CO)2]2+
1.2 [Ru(bpy)(terpy)(CO)]2+
1.3 Ru(bpy)(CO)2Cl2
2.光化学的CO2還元反応
2.1 [Ru(bpy)3]2+を光増感剤とする光化学的CO2還元反応
2.2 人工光合成への応用
第3節 二酸化炭素の還元・資源化に向けた複合酸化物半導体光触媒材料の構築
1.材料開発の基本指針
2.ワイドギャップ複合酸化物半導体光触媒NaNbO3による二酸化炭素の還元
3.メソポーラス複合酸化物半導体光触媒による二酸化炭素の還元
4.二酸化炭素の還元における表面酸素欠損の影響
第4章 人工光合成システムの開発
第1節 人工光合成システムの構築
1.光合成反応中心モデル分子を用いた水素発生
2.水の酸化触媒
3.今後の展望と課題
第2節 窒化物半導体および金属触媒を用いた人工光合成システム
1.GaN光電極によるCO2還元
1.1 バンドギャップとCO2還元準位
1.2 光電気化学セルを用いたCO2還元実験
2.NiO助触媒の導入とAlGaN/GaNヘテロ接合による効率向上
3.インジウム電極を用いた高効率ギ酸生成
第3節 半導体と金属錯体から構成されたCO2還元光触媒による人工光合成システム
1.ハイブリッド型CO2還元光触媒
2.水中で機能するCO2光還元触媒の合成
3.水を電子、プロトン源とする太陽光によるCO2還元の実証
第5章 人工光合成を用いた発電技術・エネルギーの利用技術
第1節 光合成を模した色素増感太陽電池およびその最新動向
1.高効率色素増感太陽電池モジュールの開発
1.1 モジュール構造
1.2 複色素系(協奏効果)
1.3 I-V特性
2.色素増感太陽電池の信頼性試験
3.自律型照明“Hana-Akari”
第2節 色素増感と有機薄膜を融合した固体ハイブリッド太陽電池
1.色素増感、有機薄膜、ハイブリッド太陽電池の特徴
2.有機無機ペロブスカイト顔料で増感されるハイブリッド太陽電池
3.固液界面の有機金属錯体を感光層に用いる固体ハイブリッド太陽電池
第3節 鉄系酸化物半導体による光エネルギー変換素子の開発と光電池への展望
1.CaFe2O4の特徴
2.鉄酸カルシウム電極の活性向上について
3.鉄酸カルシウム電極とn型半導体電極を用いた光電池及び、無バイアス光水分解
第4節 可視・近赤外局在プラズモンによる光電変換および水の酸化反応
1.金属ナノ構造による光電場増強
2.光アンテナ機能を有する金ナノ構造体の作製
3.光アンテナ搭載型可視・近赤外光電変換システム
4.局在プラズモン共鳴を利用した水の酸化反応
第6章 人工光合成で発生した水素・過酸化水素の貯蔵・利用技術
第1節 人工光合成燃料電池の開発と実用化への展望
1.水素の貯蔵法
2.過酸化水素燃料電池
第2節 酸化物半導体光電極触媒と色素増感太陽電池を組み合わせたタンデムセルによる水と太陽からのソーラー・ハイドロジェンの製造
1.ソーラー・ハイドロジェンの製造法
1.1 太陽電池と水の電気分解プロセスを組み合わせた水素製造
1.2 粉末光触媒による水分解水素製造
1.3 光電気化学的な水分解水素製造
2.酸化物半導体光電極触媒を用いた水素製造
2.1 TiO2光電極触媒を用いた水の太陽光分解
2.2 WO3光電極触媒を用いた水の太陽光分解
3.酸化物半導体光電極と色素増感太陽電池を組み合わせたタンデムセルによる高効率太陽光水分解
第3節 光励起キャリアーの動きから見る水分解光触媒と水素貯蔵
1.光触媒反応の量子効率と光励起キャリアーの動き
1.1 水分解光触媒の活性向上に必要な情報
1.2 光触媒反応機構の解明と時間分解赤外分光測定
2.時間分解赤外分光法を用いた光励起電子の観察とエネルギー状態
2.1 自由電子とトラップ電子による赤外吸収スペクトルの形状
3.光励起キャリアーの再結合速度と水分子への電子移動と正孔移動
3.1 時間分解赤外分光法を用いた光励起キャリアーの反応過程の観察
3.2 酸化チタン光触媒での水の分解反応
3.3 高活性水分解光触媒NaTaO3光触媒における光励起キャリアーの挙動
3.3.1 組成の変化に伴う再結合速度の変化
3.3.2 水素発生助触媒の担持効果
4.水素の利用法と貯蔵法
4.1 水素エネルギー社会の実現に向けて
4.2 水素の貯蔵方法
第4節 太陽光水電解水素製造システム
1.住宅用太陽光水電解水素製造システム
2.燃料電池車用太陽光水素ステーション
3.太陽電池(PV)―水電解槽(WE) 接続法に関する研究
4.太陽光水電解その他の研究
5.太陽光水素コスト
第7章 自然の光合成を用いた人工光合成による有機物の合成・利用技術
第1節 ソーラー燃料・物質生産のためのハイブリット型人工光合成技術
1.ハイブリッド型人工光合成の作動原理
2.二酸化炭素をギ酸に変換する人工光合成系
3.二酸化炭素をメタノール燃料に変換する人工光合成系
第2節 光合成の改造と、エネルギー生産系への挑戦
1.光合成
2.明反応の改変 ~光駆動水素発生複合体の設計~
2.1 PSI-Hyd複合体の設計
2.2 PSI-Hyd複合体の設計
3.暗反応の改変 ~糖分泌生産系の設計~
3.1 トランスポーターによる細胞外への糖輸送
3.2 細胞外多糖合成酵素の利用