発刊・体裁・価格
発刊 2017年2月22日 定価 63,800円(税込(消費税10%))
体裁 B5判 288ページ ISBN 978-4-86502-120-2 →詳細、申込方法はこちらを参照
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本書のポイント
★ぬれ性のメカニズムや表面状態を基礎から学びたい。
製品品質の向上や新機能付与、分析業務に役立てたい方へ向けた必携の技術書!
★この1冊で超親水化・超撥水化の最新技術をコンパクトに情報収集
●一から学べる!ぬれ現象の基礎知識
・超親水/超撥水を発現するモデルとメカニズム解説
・表面に〝もの”がつく要因は?接着性、離型性と表面自由エネルギーの関係
・親水撥水性向上に向けたアプローチ
→何が原因でぬれ性が低下するのか?その抑制方法とは?
→耐久性を向上させるための材料設計、表面処理技術
●超親水/超撥水性の評価解析手法と実務ノウハウ
・接触角、表面張力測定、表面自由エネルギー解析の具体的手法と測定時の注意点
→測定結果がばらつく原因とは?各手法から何が評価できるのか?付着性との関係
・固体/粉体表面の表面粗さ、化学的組成がぬれ性に及ぼす影響評価
→各手法(SEM、XPA、EPMAなど)の利点と注意点、機器の使い分け方、分析から何がわかるか?
●様々なシーンで使える!超撥水/超親水化の最新技術
・ガラスや金属への撥水親水性をどのように持たせるか?
・微細凹凸構造制御、プラズマ法、バイオミメティクスNAP処理法など・・・化学的手法から物理的手法まで、要注目の技術を詳細!
●【分野別】 産業分野での応用事例~開発企業による材料設計から適用技術の解説
(自動車材料、建材塗料、太陽電池、プラスチック、医療機器、電子部品、繊維)
・各製品への超親水超撥水化適用例
・耐久性、防汚性、セルフクリーニング性、省コスト性向上を目指した取り組み
→既存技術の問題点とその解決/材料の構成技法/試験評価方法/得られる効果など
執筆者一覧(敬称略)
●矢嶋龍彦(埼玉工業大学)
●穂積篤(産業技術総合研究所)
●福山紅陽(FIA)
●佐藤正秀(宇都宮大学)
●古澤毅(宇都宮大学)
●鈴木昇(宇都宮大学)
●高橋和宏(岡山県工業技術センター)
●山下和之(M&T)
●吉川貴之(丸昌産業(株))
●石井大佑(名古屋工業大学)
●木村剛久(日栄化工(株))
●中島伸一郎(日本航空電子工業(株))
●松田厚範(豊橋技術科学大学)
●河村剛(豊橋技術科学大学)
●石崎貴裕(芝浦工業大学)
●山口央基(ダイキン工業(株))
●岸本克己((株)トレードサービス)
●井田芳夫
●寺崎浩(TOTOオキツモコーティングス(株))
●吉田育弘(三菱電機(株))
●黒田健介(名古屋大学)
●新家光雄(東北大学)
●伊藤隆彦((株)フロロテクノロジー)
●木暮保夫(朝倉染布(株))
●藤間卓也(東京都市大学)
●岩野寛(アサカ理研(株))
目次
第1章 超親水・超撥水の基礎と原理
第1節 親水・撥水の化学的基礎と原理
1.親水性と撥水性
2.表面エネルギーとは
3.凝集力と表面エネルギー
3.1 双極子モーメント
3.2 分極率
3.3 分散力
3.4 配向力・誘起力・分散力
3.5 フォークスの式
3.6 フッ素原子と撥水性・撥油性
3.7 接触角と表面エネルギー
3.8 拡張フォークス式の応用
3.8.1 固体の表面エネルギー
3.8.2 液体の等接触角線とウェッティングエンビロープ
3.8.3 固体の等接触角線
3.9 臨界表面張力
第2節 超親水・超撥水(ならびに超親油・超撥油)に関わる基礎と原理
1.ウェンゼルの表面
2.カッシー-バクスターの表面
3.超親水性・超撥水性の固体表面
3.1 微細な凹凸構造と超親水・超撥水の実現
3.2 フラクタル構造
3.3 フッ素系撥水・撥油剤
4.実表面における等接触角線―表面における微細な凹凸の効果
4.1 液体の等接触角線の補正
4.1.1 親液材料とウェンゼルの効果
4.1.2 撥液材料とカッシー-バクスター効果
4.2 固体の等接触角線の補正
第3節 テフロンおよび炭素繊維材料の超親水化とメカニズム
1.テフロンの超親水化とメカニズム
1.1 テフロンの超親水化
1.2 超親水化したテフロン表面の化学的変化
1.3 超親水化したテフロン表面の形態学的変化
第2章 超親水超撥水性向上に向けた課題解決アプローチ
第1節 超撥水・撥油機能低下の要因
はじめに
1.微細構造化手法
2.人工的な超撥水・超撥油表面の機能低下の要因
第2節 表面機能(耐食性、抗菌性等)の両立に必要な要素
第3節 耐久性向上の鍵を握る要因~材料設計&表面処理技術の観点から~
はじめに
1.階層構造化
2.自己修復機能
2.1 低表面エネルギー物質層の補修
2.2 微細構造の再構築
2.3 付着した有機汚れ成分の分解・除去
2.4 今後の展望
第3章 超親水性・超撥水性の評価手法~表面との相関~
第1節 ぬれ性の評価解析手法と活用
1.ぬれ性評価の基礎
1.1 ぬれ性と接触角
1.2 表面張力と表面自由エネルギー
1.2.1 表面張力
1.2.2 表面自由エネルギー
1.2.3 固体の表面張力
1.2.4 界面張力と界面自由エネルギー
1.3 ぬれ性、付着性と表面自由エネルギーの関係
1.3.1 ぬれ性とYoungの式
1.3.2 ぬれの分類
1.3.3 付着性
1.3.4 防汚性
1.3.5 耐指紋性
1.4 分子間力の発現機構と表面自由エネルギー成分
1.4.1 極性分子と無極性分子
1.4.2 配向力
1.4.3 誘起力
1.4.4 分散力
1.4.5 水素結合
1.4.6 フッ素系材料の表面自由エネルギーが低い理由
1.5 動的ぬれ性
1.5.1 静的接触角と動的接触角
1.5.2 滑落角と動的撥水性
1.5.3 静的表面張力と動的表面張力
2.接触角測定の原理と注意点
2.1 接触角測定から何がわかるか?
2.2 接触角の測定原理
2.2.1 液滴の輪郭形状を解析する方法
2.2.2 Wilhelmy法
2.3 滑落法(転落法)、動的滑落法
2.3.1 滑落角と付着エネルギー
2.3.2 動的撥水性
2.4 接触角測定の注意点
3.表面張力測定の原理と注意点
3.1 表面張力測定から何がわかるか?
3.2 表面張力の測定原理
3.2.1 Wilhelmy法
3.2.2 懸滴法(ペンダント・ドロップ法)
3.2.3 最大泡圧法
3.3 表面張力測定の注意点
4.表面自由エネルギー解析の原理と注意点
4.1 表面自由エネルギー解析で何ができるか?
4.2 解析理論
4.2.1 Fokwesの理論
4.2.3 Kaelbleの理論
4.3 界面における相互作用
4.3.1 界面張力
4.3.2 ぬれ性
4.3.3 付着性
4.4 表面自由エネルギー解析の注意点
4.4.1 解析理論の未確立
4.4.2 プローブ液体の選択
第2節 固体表面の幾何学的形態・形状に関する評価解析手法と活用
1.幾何学的形態/形状による影響
1.1 表面粗さと濡れの関係
1.1.1 Wenzelの式
1.1.2 フラクタル表面
1.1.3 Cassieの式
2.測定方法と評価解析
2.1 SEM(Scanning Electron Microscope, 走査型電子顕微鏡)
2.2 AFM
2.3 SEM・AFMを用いた固体表面の幾何学的形態・形状に関する評価解析の実施例
第3節 表面組成の評価解析手法と活用
はじめに
1.表面の化学的組成がぬれに与える影響
1.1 化学的組成とぬれ性の相関関係
1.1.1 臨界表面張力とZizmanプロット
1.1.2 親水性表面官能基のγc値
1.1.3 疎水性表面官能基
1.1.4 疎水・親油性表面官能基のγc値
1.1.5 疎水・疎油性表面官能基のγc値
2.表面測定と評価手法
2.1 EPMA、WDSとEDX
2.2 XPS
2.2.1 XPS測定の例:フッ素化炭化水素系薄膜のXPS測定
第4章 超親水/超撥水化技術と産業への利活用方法
第1節 様々なシーンで活かせる超親水化最新技術
第1項 オゾンガスと熱処理の併用によるステンレス鋼表面の超親水化
1.オゾンガスについて
2.ステンレス鋼について
3.酸素雰囲気下での加熱処理による表面元素組成と親水性の変化
4.オゾン雰囲気下での加熱処理による表面元素組成と親水性の変化
5.超親水表面への大気中からの有機物の付着と親水性の変化
6.オゾン雰囲気下での加熱処理がステンレス鋼表面の表面水酸基に及ぼす影響
7.オゾンを利用した超親水化処理の適用可能性
第2項 ナノ凹凸形成加工技術による超親水化と製品離型性向上例
1.NAP処理の親水性
2.NAP処理の摩擦性
3.NAP処理の離型性
3.1 NAP処理の離型性応用特許実施例
3.2 NAP処理の応用
4.NAP処理の硬度アップと摩擦力低減
第3項 複合無機材料技術による超親水性コート剤の開発技法
1.開発背景
2.親水性機能の用途と選定
2.1 官能基型
2.2 吸水型
2.3 溶出型
2.4 物理形状型
3.材料特性
3.1 濡れ性の制御
3.2 膜厚の制御
3.3 基材との密着性
3.4 持続耐久性・透明性との両立
3.5 材料劣化への影響
4.材料の製造・加工
4.1 金属アルコキシド系による材料の製造
4.2 珪酸ナトリウム系による材料の製造
4.3 各種混合材料
5.材料特性の試験・評価方法
5.1 試験方法
5.2 判定基準
6.利用範囲
第4項 バイオミメティクスによる超親水表面作製
1.液体を操る生物表面
2.フナムシの脚を模倣した超親水性微小流路
2.1 フナムシの脚の微小流路
2.2 フナムシ模倣流路構造の作製
2.3 表面処理による化学組成制御
2.4 フナムシ模倣流路の静的接触角測定
3.フナムシ模倣超親水性流路の応用
3.1 構造の間隔による流速最適化
3.2 構造の大きさや配列による流速最適化
3.3 模倣流路を用いたエラー回避システム
3.4 液体輸送デバイスの設計
第5項 階層性ナノ多孔質ガラスによる長寿命超親水性と防汚・防曇性の発現
1.超親水性表面
1.1 防曇性
1.2 防汚性
1.3 超親水性の効果持続性
1.4 長寿命超親水性材料の開発
2.階層性ナノ多孔層(HNL)ガラス
2.1 評価方法
2.2 防曇効果
2.3 防汚効果
2.4 可視光反射防止
3.市場への普及拡大見通しと応用範囲について
第2節 様々なシーンで活かせる超撥水・超撥油化最新技術
第1項 超撥水性による/超親水性による防曇ハードコート付き粘着フィルム
1.開発背景
2.超撥水性ハードコートフィルムについて(構成および特性)
3.超親水性ハードコートフィルムについて(構成および特性)
第2項 界面活性剤による超撥水表面構造作製
1.分子設計指針
2.実験
3.結果
4.まとめ
第3項 ゾル-ゲル法と交互積層法による超撥水化・水中撥油化技術
1.ゾル-ゲル法と交互積層法の特徴
2.ゾル-ゲル法と交互積層法で作製できる超撥水表面
3.最近の研究例
第4項 表面改質による超撥水性付与技術開発
1.表面の濡れ性
1.1 平滑な表面における濡れ性
1.2 凹凸構造を有する表面における濡れ性
2.マイクロ波プラズマCVD法によるガラス表面への超撥水処理
2.1 マイクロ波プラズマCVD法によるガラス表面への超撥水膜の作製
2.2 プラズマCVD法で作製した超撥水表面の特性評価
3.熱CVD法によるガラス表面への超撥水処理
3.1 熱CVD法によるガラス表面への超撥水処理方法
3.2 熱CVD法により作製した表面の濡れ性
第5項 短鎖フルオロアルキル含有アクリレート系化合物を用いた動的撥液性能向上検討と超撥水表面の構築事例の紹介
はじめに
1.ポリマーの分子運動性に注目した撥液性向上検討
1.1 モノマーのα位に注目した撥液性向上検討
1.2 コポリマーに注目した撥液性向上検討
2.超撥液性能の大規模な実用化へ向けての挑戦
2.1 物理的耐久性を向上させた超撥液コーティング
2.2 超撥液表面の大規模実用化の可能性と用途展開例
まとめ
第6項 バイオミメティクスによる超撥水表面作製
1.ボトムアップ作製法の代表である自己組織化
1.1 自己組織化ハニカム状多孔質膜(ハニカム膜)
1.2 ハニカム膜およびピラー膜の無電解めっきによる金属複合化
1.3 濡れ性と構造の違いを利用したハニカム膜の金属複合化
2.吸着性超撥水ハニカム状多孔質膜
2.1 金属ドーム-高分子ピラー複合表面の構造と表面濡れ特性制御
2.2 吸着性の異なる超撥水表面を用いた微小水滴移動
第3節 【分野別】産業への利活用手法
第1項 自動車関連材料~水性完全無機コート剤の開発
1.自動車関連材料 コート剤における動向
1.1 撥水性と親水性
1.2 被膜について
1.3 無機コート剤とは
2.水性完全無機コート剤 AD-Tech COATの開発背景
3.AD-Tech COATにおける防汚・親水性発現のメカニズム
3.1 防汚・親水性のメカニズム
3.2 基材との結合メカニズム
3.2.1 無機基材の場合
3.2.2 有機基材の場合
4.AD-Tech COATの優位性と自動車への活用例
5.市場への普及拡大への見通しと自動車以外の活用例
6.今後の課題について
第2項 超親水性光触媒塗料の開発
1.背景
2.光触媒の原理と機能
3.超親水性光触媒塗料の開発
3.1 光触媒カラーコート
3.1.1 光触媒カラーコートの塗膜構造
3.1.2 塗膜性能
3.2 光触媒クリアコート
3.2.1 ガラスコートの構造と性能
4.地球環境への貢献
第3項 太陽光パネルガラス向け親水性コーティング剤
1.開発背景
1.1 太陽光発電パネルの課題
2.親水性発現の原理
2.1 シリカおよびチタニアの親水性
2.1.1 光触媒反応による親水性
2.2 光触媒反応による高い親水性発現の原理
3.光触媒材料の太陽光パネル向け親水コーティング剤への応用
3.1 分子結合チタニアシリカの特徴
3.2 塗布効果
4.太陽光パネルガラス向けコーティング剤の特徴
4.1 光透過率の向上
4.2 高い膜硬度
4.3 防汚機能
4.4 高いレベリング性
4.5 高い純度
4.6 比較と優位性
5.適用事例
5.1 福島再生可能エネルギー研究所(FREA)
5.2 サレジオ工業高等高専学校
第4項 プラスチック表面への超撥水コーティング
1.プラスチックにおける超撥水技術
1.1 プラスチックにおける超撥水
1.2 超撥水化の原理
1.2.1 プラスチック表面の超撥水化
1.2.2 超撥水化の手法
2.超撥水の評価方法
3.超撥水で得られる効果
3.1 超撥水における防汚効果
3.1.1 バイオフィルムの抑制
3.1.2 粉塵付着の抑制
4.製品適用例
第5項 メディカル・バイオ~金属系生体材料表面の超親水化とタンパク質吸着性および骨伝導性
1.金属材料の表面の親水性・疎水性と表面親水化手法
1.1 親水性・疎水性と水滴接触角
1.2 表面親水化手法
1.3 表面親水性の保持手法
2.金属材料の表面の親水性・疎水性とタンパク質吸着性
2.1 タンパク質
2.2 吸着タンパク質の定量方法
2.3 タンパク質の吸着速度と吸着量
2.4 表面親水性・疎水性とタンパク質吸着性
3.金属材料表面の親水性・疎水性と骨伝導性
3.1 骨伝導性の定量手法
3.2 表面親水性・疎水性と骨伝導性
3.3 骨伝導性とタンパク質吸着性(タンパク質吸着インプラントの骨伝導性)
第6項 プリント配線板用超撥水コーティング剤
1.超撥水表面の問題点
2.開発背景
3.超撥水コーティング剤(フロロサーフ FS-7010)概要
4.コーティング方法
5.残された問題点
6.市場性
第7項 撥水性・耐久性に優れた繊維への超撥水加工
1.撥水加工原理
1.1 撥水と防水の違い
1.2 表面張力
2.撥水加工
2.1 フッ素系撥水剤の移り変わり
2.2 撥水加工
2.3 撥水加工方法
2.4 撥水阻害要因
3.超撥水加工
第5章 日々の実務に使える ぬれ性評価関連Q&A ※巻末6ページ全25問
例:・「チューブ状のようなサンプルの接触角を直接測定したいのだが方法は?」
・「接触角のバラつきを小さくするためには?」
・「接触角測定に使う液体をどう選択すればよいか?」