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書籍:積層セラミックコンデンサ(MLCC)

積層セラミックコンデンサ(MLCC)の

小型大容量化・高信頼性化と材料・プロセス技術


著者

昭栄化学工業(株) 取締役 工学博士  野村 武史 先生

<ご経歴>
元 TDK(株) 取締役 常務執行役員
TDK(株)にて長年、各種高性能フェライト、積層インダクタ用低温焼成NiCuZnフェライト、各種長寿命Ni電極積層セラミックコンデンサの研究開発に従事。
現在は昭栄化学工業(株)でNi電極積層セラミックコンデンサに関する各種技術の研究を行っている。

発刊・体裁・価格

発刊  2018年12月10日  定価  39,600円 (税込(消費税10%))
体裁  B5判 219ページ  ISBN 978-4-86502-159-2   →詳細、申込方法はこちらを参照

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積層セラミックコンデンサ(MLCC) 書籍

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本書のポイント

★5G、IoT、自動車のEV化や自動運転システム等で今後益々需要の急拡大が予想されている積層セラミックコンデンサ(MLCC)。
 MLCC及び誘電体材料について、基礎から最先端のトピックスまで網羅。
★メーカーのノウハウ部分でもあるMLCCの製造プロセス技術について、共通の基盤技術として極力科学的に取り上げ解説。
★MLCCを使用する際に最も重要な項目となる信頼性。影響を与える様々な因子について、実践的側面・科学的側面の両面から詳述。

〇MLCCの技術動向・特性と用途:
 MLCCが電子回路上でどのような役割を果たし、なぜ広く多用されているのか、基本事項について感覚的な分かり易さを優先して解説。
 各種誘電特性と測定方法〜その温度・電圧・周波数依存性は?〜

○MLCCの製造方法:
 シート成形プロセスからグリーンシート設計、内部電極の印刷・焼成技術まで、製造プロセス技術全般について網羅。
 使用されるバインダー樹脂の種類・特性からスラリー粘度・分散・塗布条件の影響まで!
 脱バインダー技術〜焼結挙動・焼成条件等について〜

○MLCCの信頼性と構造欠陥・誘電体材料技術:
 各製造工程と構造欠陥・強度との相関は?
 各種クラックの原因となる環境条件とは?
 誘電体材料における絶縁抵抗の寿命とその影響因子、エージング等について。

○MLCCの超薄層化、多層化、小型化:
 薄層化、多層化に伴い生じる残留応力・及び外部応力と誘電特性への影響は?
 ポストBaTiO3の展望は?各種部材の今後の開発ターゲットは?
 いずれ限界に達すると予想されている超薄層化、多層化、小型化について、内部電極と誘電体材料の両面から今後の開発の方向性を考察。

●本書「はじめに」から抜粋:
 積層セラミックコンデンサ(Multilayer Ceramic Capacitor, MLCC)は急速に生産数を増やし、現在の高度情報通信時代を支える受動部品として能動部品の半導体とともに必須の素子となっている。第五世代移動通信(5G)、IoT、あるいは自動車のEV化や自動運転システム等で今後ますます需要の急拡大が予想されている。
 本書では、MLCCに関して、その電気的性質と用途だけでなく製造方法、材料技術、信頼性技術、誘電体現象論、最先端の開発状況等、幅広く網羅し、特にMLCC技術における一大ブレークスルー(内部電極の卑金属化)を成し遂げた材料技術を詳しく解説した。
 MLCCの電気的性質はセラミック誘電体材料によって発現されている。コンデンサの電気的性質と用途に関しては、誘電体の性質と共に感覚的な分かり易さを優先して解説した。そのため、正確さを多少犠牲にしたかもしれないが、数式は極力避けた。したがって、MLCCが電子回路上でどのような役割を果たし、なぜここまで広く多用されているのかを理解していただけるものと期待している。
 MLCCの製造方法については、バインダー樹脂だけでなく様々な添加剤、部材、並びにシート成形、積層等のプロセス技術全般に関して解説した。これらの製造プロセス技術はMLCCメーカーのノウハウの塊の部分でもあるが、極力科学的な取り扱いを試みたので共通の基盤技術になるものと考えている。
 信頼性技術に関しては、MLCCを使用する立場に立つと最も重要な項目である。信頼性に影響を与える様々な因子に関して実践的な側面だけでなく科学的な側面でも解説したので、単なる現象論に終わらずに根本的対策が可能であると考えている。
 誘電体材料技術に関しては、MLCCの卑金属化で直面した課題に対して現象論に留まらず、理論面での解析に基づいて構築された誘電体あるいは信頼性に関する理論をも解説した。
 今後いずれ限界に達するものと予想されている超薄層化、多層化、及び小型化に関しては、誘電体の理論的解説と共に今後の開発の方向性を考察した。現在のMLCCは内部電極がNi、誘電体がBaTiO3という組み合わせであり、これまでに小型化、薄層化、多層化が急速に進められてきた。それぞれが限界に近付きつつある中、本書の最後では、今後の研究開発の方向性について内部電極と誘電体材料の両面から考察を加えた。
 本書ではMLCCだけでなくセラミック誘電体に関しても基礎から最先端のトピックスまでを網羅したつもりである。本書がMLCC、コンデンサ、あるいは誘電体に関わる技術者、研究者並びにこれらを志す方々にいささかでもお役に立てれば幸いである。

目次

→掲載見本

はじめに

第1章 積層セラミックコンデンサの歴史と技術動向
 1. 積層セラミックコンデンサの歴史
 2. 内部電極

  2.1. Pd電極
  2.2. Ni電極
 3. 小型大容量化と薄層化多層化
  3.1. 小型化
  3.2. 大容量化
  3.3. 薄層化多層化

第2章 コンデンサの特性と用途
 1. コンデンサの性質と種類

  1.1. コンデンサの性質
  1.2. コンデンサの種類
  1.3. セラミックコンデンサの規格
 2. 誘電体の性質と種類
  2.1. 誘電体の性質
  2.2. 誘電体の種類
  2.3. 強誘電体
 3. 各種誘電特性と測定方法
  3.1. 誘電特性の測定方法
  3.2. 誘電率の温度依存性
  3.3. 測定電圧依存性
  3.4. dcバイアス電圧依存性
  3.5. 周波数依存性
 4. コンデンサの用途
  4.1. 基本的性質
  4.2. デカップリング用
  4.3. 平滑用
  4.4. カップリングコンデンサ
  4.5. LC回路

第3章 MLCCの製造方法
 1. シート成形プロセス

  1.1. 厚膜成形技術
  1.2. ドクターブレード法
  1.3. ダイコーター法
 2. バインダー樹脂の種類
  2.1. アクリル樹脂
  2.2. ブチラール樹脂
  2.3. エチルセルロース樹脂
 3. グリーンシートの設計
  3.1. シートに要求される性質
  3.2. セラミック粒子の体積分率
  3.3. 分散とシート物性
  3.4. スラリー粘度の影響
  3.5. スラリー分散の影響
  3.6. 塗布条件の影響
 4.内部電極
  4.1.内部電極印刷法
  4.2. 内部電極薄層化
 5. 焼成技術
  5.1. 脱バインダー
  5.2. 焼成雰囲気
  5.3. 焼結挙動と焼成条件

第4章 信頼性と構造欠陥
 1. 信頼性試験と故障モード
 2. 構造欠陥の分類
 3. 製造プロセスと構造欠陥

  3.1. 積層熱圧着工程
  3.2. 脱脂焼成工程
  3.3. 製造工程とMLCCの強度
 4. 環境条件と構造欠陥
  4.1. 熱衝撃クラック
  4.2. フラクトグラフィー
  4.3. たわみクラック
  4.4. 電歪クラック
 5. 高信頼性化
  5.1. 内部構造設計
  5.2. 半田クラック
  5.3. 端子電極

第5章 信頼性と誘電体材料技術
 1. 絶縁抵抗の寿命

  1.1. 絶縁劣化
  1.2. 焼成条件の影響
  1.3. ドーピングの影響
  1.4. 粒界化学の影響
 2. エージング
  2.1. エージング現象
  2.2. 直流電界下のエージング
 3. 低周波の誘電緩和
  3.1. 低周波誘電緩和現象
  3.2. 低周波誘電緩和の要因
  3.3. 低周波誘電緩和のメカニズム
 4. 自動車用材料
  4.1. BaTiO3のキュリー温度
  4.2. X8R特性とメカニズム

第6章 超薄層化と誘電体材料
 1. サイズ効果と内部応力

  1.1. サイズ効果
  1.2. 内部応力モデル
  1.3. 90°ドメインモデル
 2. 残留応力
  2.1. MLCCの残留応力
  2.2. 残留応力と誘電特性
  2.3. 残留応力と結晶構造
 3. 外部応力
  3.1. 外部応力と誘電特性
 4. 高誘電率化
  4.1. 擬立方晶化
  4.2. 誘電率の因子
  4.3. 体積因子
  4.4. 微細構造

第7章 ポストチタバリ
 1. 巨大誘電率材料:CaCu3Ti4O12
 2. その他の巨大誘電率材料
 3. SnTiO3
 4. 高温用誘電体材料

第8章 ポストNi

引用文献

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