著者
西 秀樹 著
1971年、北海道大学大学院応用化学専攻修士課程修了後、三菱油化(現:三菱ケミカル)に入社。主にポリプロピレンの研究開発を担当後、本社)品質保証部にて全社的品質保証活動に従事。その後加工メーカーを経て、現在はフリーの立場で主に食品・医薬品・医療機器等のプラスチックに関する国内外法規制の調査、執筆、講演をしている。
< 専門分野 >
プラスチックの製品安全
<関連の活動>
日本包装專士会 元会長
日本包装技術協会 包装管理士講座 講師
ポリオレフィン等衛生協議会 加工部会 元主査(元樹脂部会:三菱ケミカル)
(旧)厚生省 医療用原材料マスターファイル検討委員会 委員
<著書・論文>
〇医薬品包装材料における溶出試験、PHARM TECH JAPAN、じほう、Vol.37、No.14(2021)
〇食品衛生法におけるGMP対応、月刊 化学物質管理、情報機構、Vol.6 No.12(2022)
〇環境配慮型設計を見据えた再生資源プラスチックの将来展望(共著)、&Tech(2022)
〇食品衛生法改正に伴う食品包装用樹脂のポジティブリスト制度の現況、食品の包装、Vol.54、No.1、包装食品技術協会(2022)
○環境対応 プラスチック包装技術の最前線(共著):情報機構(2022)
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発刊・体裁・価格
発刊 2023年8月7日 定価 36,300円(税込(消費税10%))
体裁 B5判 171ページ ISBN 978-4-86502-252-0 詳細、申込方法はこちらを参照
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本書のポイント
★医薬品に関わる日米欧の薬局方(JP・USP・EP)及びICH動向を踏まえて!★医療機器に関わるISOとJIS周辺の動きとは?
★アジア主要国の法規制情報も収載!
著者より
医薬品と医療機器は、今後日本の高度な技術を世界へ売り込む有望分野と期待されている。医薬品包装に関する法規制は、国際会議等により整合化が検討されているが、包装に関するテーマは少なく、特に日本は原材樹脂の規格が無い等の課題を抱えているのが現状である。米国は、溶出物と浸出物に関する新規格が国際会議のテーマに取り上げられ、欧州は血液関連の規格を再編成した。医療機器は、ISO規格により整合化が進展し、日本は2019年に原料樹脂のマスターファイル制度を導入した。
本稿は、これらの最新の動きを織り込んで3年振りに更新したものである。製品の輸出入に際しては、当該国の法規制遵守が基本である。本稿が医療分野における製品安全の向上の一助になれば幸いである。
本書を読んで理解できること
◎医薬品規制調和国際会議の現状
◎日欧米の薬局方の規制内容と相違点
◎医薬品包装と医療機器における製品と原材料の記載要領
◎ガンマ線滅菌の現状と留意点
◎プラスチックに含まれる化学物質とリスク管理
◎食品包装用樹脂のPL制度化と医療分野への影響
目次
はじめに
第1章 医薬品の容器包装の概要
第2章 薬局方の調和国際会議
2.1 世界薬局方会議
2.2 日米欧三薬局方検討会議(PDG:Pharmacopoeial Discussion Group)
2.3 ICH(医薬品規制調和国際会議)
2.3.1 ICHとは
2.3.2 ICH発足の経緯
2.3.3 主な組織
2.3.4 ICH会議
2.3.5 ガイドラインと合意までのプロセス
2.3.6 容器包装関連テーマ
第3章 三極薬局方の最新版
3.1 最新版
3.2 日本の薬局方改正審議
第4章 日本薬局方(JP)の医薬品包装の規制
4.1 医薬品医療機器等法
4.2 日本薬局方の構成
4.3 製剤包装通則
4.4 プラスチック製医薬品容器の試験方法(JP 7.02 1項)
4.5 プラスチック製水性注射剤容器の規格(7.02 2項)
4.6 輸液用ゴム栓の規格
4.7 注射剤用ガラス容器の規格
4.8 点眼剤用プラスチック容器
4.9 その他の製剤の容器に関する通達
4.10 シリコーン油についての品質基準
4.11 参考情報(JP G項)
4.11.1 参考情報の概要
4.11.2 参考情報の基本的要件
4.11.3 参考情報の用語例
4.11.4 容器の定義
4.11.5 プラスチックとゴムに関する要件
(1)前文
(2)設計における一般的要件
(3)容器の設計段階における毒性評価
(4)管理単位毎に保存すべき試験成績
4.12 企業の対応例
4.13 試験法の概要
4.13.1 溶出物試験
4.13.2 過マンガン酸カリウム還元物質
4.13.3 微粒子試験
4.13.4 水蒸気透過性試験
4.13.5 漏れ試験
4.13.6 細胞毒性試験
4.13.7 感作性試験
4.13.8 急性毒性試験
4.13.9 溶血性試験
4.14 第十九改正の動き
4.15 プレフィルドシリンジの扱い
4.16 JIS化された医薬品包装関連項目
4.17 承認申請書記載例解説
4.18 新医薬品の承認申請における容器及び施栓系に関する記載要領
4.19 吸着に関する知見
4.19.1 吸着と収着
4.19.2 医薬品の吸着に関する知見例
4.19.3 医療機器の吸着に関する知見例
4.20 日本のまとめと実務対応上のポイント
4.21 ニトロソアミン検出問題
第5章 欧州薬局方(EP)の医薬品包装の規制
5.1 欧州における医薬品審査機関
5.2 EP規制の概要
5.3 容器製造に使用される材料:EP 3.1項
5.3.1 ポリエチレン(添加剤あり。非経口製剤と目薬用容器):EP 3.1.5項
5.3.2 ポリプロピレン(非経口製剤と目薬の容器と栓用):EP 3.1.6項
5.3.3 シリコーン油(潤滑油用):EP 3.1.8項
5.3.4 シリコーンエラストマー(栓とチューブ用):EP 3.1.9項
5.3.5 プラスチックの添加剤:EP 3.1.13項
5.3.6 ポリエチレンテレフタレート(非経口製剤以外の容器用):EP 3.1.15項
5.4 プラスチック容器とゴム栓の規格:EP 3.2項
5.4.1 全般的注意事項
5.4.2 プラスチック容器(注射剤用水性液容器):EP 3.2.2.1項
5.4.3 ゴム製栓(水性非経口製剤容器用、及び粉末と冷凍乾燥粉末容器用):EP 3.2.9項
5.5 血液及び血液成分の材料と容器の規格:EP 3.3項
5.5.1 概要
5.3.2 ポリ塩化ビニル(可塑剤あり。血液及び血液成分用):EP 3.3.2項
5.5.3 殺菌プラスチック容器(血液と血液成分用):EP 3.3.4項
5.5.4 殺菌ポリ塩化ビニル容器(可塑化。血液用空容器):EP 3.3.5項
5.5.5 血液及び血液成分の移送用装置:EP 3.3.7項
5.5.6 殺菌単回使用プラスチック製注射器:EP 3.3.8項
5.6 ガラス容器(医薬品用):EP 3.2.1項
5.6.1 タイプ分類
5.6.2 水への抵抗性試験(Hydrolytic Resistance)
5.6.3 試験方法
(1)容器の充填容量
(2)試験法A(ガラス表面試験法:Surface test)
(3)試験法B(粉砕ガラスによる試験:Glass Grain Test)
(4)試験法C(表面処理をしているか否かを判定する試験:エッチング試験)
5.6.4 着色ガラス容器の光透過性試験
第6章 米国薬局方(USP)の医薬品包装の規制
6.1 法律と担当部署
6.2 USP
6.3 USPの構成
6.3.1 容器包装関連の条項
6.3.2 FDAのビジョン
6.4 注射器用エラストマー(381)
6.5 ガラス容器の規格:USP 660
6.5.1 ガラスの三つのタイプ
6.5.2 粉砕ガラス試験法(Glass Glain Test)
6.5.3 ガラス表面試験法(Surface Glass Test)
6.6 プラスチック材料の規格:USP 661.1
6.6.1 規制の概要
6.6.2 ポリエチレン
(1)成分の特定
(2)吸光度
(3)酸度・アルカリ度
(4)総有機炭素量
(5)溶出金属
6.6.3 ポリプロピレン
(1)赤外線分光分析法
(2)示差走査熱量測定
(3)吸光度
(4)酸度・アルカリ度
(5)総有機炭素量
(6)溶出金属
6.6.4 ポリエチレンテレフタレート(PET)容器及びポリエチレンテレフタレートG(PETG)
(1)赤外線分光分析法
(2)示差走査熱量測定
(3)吸光度
(4)酸度・アルカリ度
(5)総有機炭素量
(6)溶出金属
6.7 USP 661.2
6.7.1 改正の趣旨
6.7.2 規制対象
6.7.3 試験方法
(1)生物学的試験
(2)物理化学的試験
(3)化学的安定性試験
6.8 生物学的試験:USP 87
6.9 容器―性能試験:USP 671
6.9.1 水蒸気透過性試験・水損失速度
6.9.2 光透過性試験
6.10 乾燥・吸着性能試験:USP 670
6.11 USP 1663とUSP 1664
6.11.1 改正の趣旨
6.11.2 試験の事例
6.12 溶出物及び浸出物(E&L)に関するICH審議状況
6.12.1 ICH会議の採択
6.12.2 ICH会議報告(PMDA)
(1)規制導入の背景
(2)今後の予定
6.13 ドラッグ・マスターファイル制度における包装材料の申請
6.13.1 日欧米における導入状況
6.13.2 DMFの作成及び登録
6.13.3 タイプⅢのDMF情報
6.13.4 内容の変更、修正手続き
第7章 医薬品包装における日欧米の現状比較と実務対応上のポイント
7.1 日欧米の現状比較
7.2 実務対応上のポイント
第8章 医療機器包装の規制
8.1 医療機器市場の動き
8.2 医療機器の製造販売申請における分類
8.3 ISOの品質マネジメントシステム ISO 13485(JIS Q 13485:2005)
8.4 ISOのリスクマネジメント規格
8.5 医療機器製造販売承認申請書
8.5.1 申請様式
8.5.2 原材料の記載要領
8.6 包装に関する要求事項
8.7 JIS及びISO化された医療機器
8.8 プレフィルドシリンジの申請と規格
8.9 自己注射器の規格
8.10 生体吸収性材料
8.10.1 生体吸収性材料の種類
8.10.2 生体吸収性医療機器に関する規格
8.11 「医療機器の製造販売承認申請書における原材料の記載と変更」に関する質疑応答例(Q&A)
第9章 良くある質問
9.1 医薬品原材料マスターファイル(MF)制度
9.1.1 制度の概要と経緯
9.1.2 厚労省の追加指針
9.1.3 旧 医療機器センター時代の登録状況
9.1.4 医療機器原材料の通知
9.1.5 登録状況(2022.05の時点)
9.1.6 任意登録制度
9.2 ガンマ線滅菌の規制状況
9.2.1 包装材料の殺菌手法
9.2.2 医療樹器におけるガンマ線滅菌の現状
9.2.3 医薬品包装
(1)薬局方における規定
9.2.4 食品包装
9.2.5 ポリマーの放射線安定性
(1)材料別の放射線安定性
(2)高分子系材料・機器の耐放射線性データベース
(3)耐放射線対策
9.2.6食品照射の現状
(1)食品衛生法と認可状況
(2)世界の食品照射
9.2.7 ガンマ線滅菌のまとめ
9.2.8 実務対応上のポイント
9.3 プラスチックの臭い問題
9.3.1 臭い発生に関する知見
9.3.2 プラスチック工業連盟のQ&A
第10章 医療分野用プラスチックとゴムの特性
10.1 主な材料とその特性
10.2 バイオマスプラスチック化
第11章 アジア諸国の法規制状況
11.1 主な国の概要
11.2 中国
11.2.1 組織と法律
11.2.2 薬包材登録制度
11.3 韓国
11.3.1 医薬品
11.3.2 医療機器
11.4 台湾
11.4.1 医薬品
11.4.2 医療機器
11.5 インド
11.5.1 医薬品
11.5.2 医薬品の大生産国
11.5.3 「第5回 日インド医療製品規制に関するシンポジウム」が開催
11.5.4 医療機器
11.6 ベトナム
11.6.1 概況
11.6.2 医薬品包装規制
11.6.3 医療機器
11.7 フィリピン
11.7.1 医薬品
11.7.2 医療機器
11.8 タイ
11.8.1 医薬品
11.8.2 医療機器
11.9 インドネシア
11.9.1 医薬品
11.9.2 医療機器
11.10 マレーシア
11.10.1 医薬品
11.10.2 医療機器
11.11 ミャンマー連邦共和国
11.11.1 医薬品
11.11.2 医療機器
11.12 カンボジア
11.13 ブルネイ
11.14 ラオス
11.15 シンガポール
11.16 ASEAN諸国の制度一元化の動き
11.16.1 医薬品
11.16.2 医療機器
第12章 医薬品包装と医療機器包装のまとめ
12.1 現状のまとめ
12.2 実務対応上のポイント
第13章 トピックス:食品包装用原料樹脂のPL制度化進捗状況と医療分野への影響
13.1 日本の食品包装規制の仕組み
13.2 主な業界自主基準(規格)と食品接触物質
13.3 PL制度化の進捗状況
13.3.1 食品衛生法改正の趣旨
13.3.2 PL制度の規制対象
13.3.3 PLの策定・適用
13.3.4 四つのPLと改正案
13.4 PL適合伝達の義務と方法
13.5 PL適合証明書の例
13.6 海外樹脂メーカーの対応例
13.7 医薬品包装への影響
第14章 プラスチックに含まれる化学物質と健康影響要因
14.1 考えられる健康影響要因
14.2 プラスチックに含まれる化学物質と規制方法
14.3 ポリマーの安全性
14.3.1 基本的考え方
14.3.2 動物実験
14.3.3 化審法における高分子フロースキーム
14.4 今後の議論
第15章 医療分野の包装に関する情報入手方法
参考文献と情報入手先