発刊・体裁・価格
発刊 2012年3月22日 定価 68,200円 (税込(消費税10%))
体裁 B5判 342ページ ISBN 978-4-905545-38-5 →詳細、申込方法はこちらを参照
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本書のポイント
開発現場での有効活用のために…基本的事項のさらに詳細まで解説!
「どんな物性値が計算できる?」「○△という物性値は扱える?」
「計算コードはどうやって入手する?」「物性予想をシミュレートしたい」
「確度の高い分子設計をどうするか」「論文執筆に活用したい」
⇒詳細な解説と事例で、第一原理計算の材料・デバイスの構造最適化に向けた導入を目指せる!
イチから取り組みたい方はもちろん、上級者も含めた、第一原理計算に取り組む全ての人に送る1冊。
◎導入の第一歩 … 初めて取り組む方でもわかる第一原理計算!
・第一原理計算の理論や考え方:
理論計算の適用限界と実験との対応、
密度汎関数法・コーンシャムの方程式等の密度汎関数法、
材料計算における位置づけ、
量子化学計算とバンド計算それぞれの得意分野、
擬ポテンシャルなど各種手法、計算コードの入手方法も!
・第一原理計算でわかることと調べ方:
結晶構造と電子構造、点欠陥形成エネルギー、
界面エネルギーと界面密着性、
格子振動計算と有限温度物性、
原子拡散・イオン伝導、X線吸収スペクトル…
・用いるソフトウェアの一例:
利用できる材料・デバイス、計算可能な物性値、
計算方法から用いられる基底関数の選択まで
⇒計算前の十分な理解のために…実務的に解説!
◎材料開発への第一原理計算の利用…どのようにすれば有効に活用できるのか?
・(Si・Ge・C)単結晶半導体
・(GaN・ZnO)化合物半導体
・有機半導体のスペクトル解釈
・酸化金属系透明導電膜
・強誘電体(チタン酸バリウム、ペロブスカイトなど)
・(Si,Ge)量子ドット
・めっき皮膜/基板界面の密着性
・触媒表面
・磁石材料(希土類金属間化合物)
・蛍光体
・ナノ粒子(遷移金属の水素吸蔵など)…
◎各種デバイスへの適用の実際…第一原理計算はどう利用されているのか?
・積層セラミックスコンデンサの信頼性設計への取り組み
・リチウムイオン電池の正極材料および電極電解質界面
・太陽電池(化合物薄膜太陽電池・有機薄膜太陽電池・色素増感太陽電池・新規高効率太陽電池)
・有機ELの有機/金属界面系
・有機TFT
・酸化物半導体TFT(a-IGZO)…
⇒計算方法や用いたソフト、基底関数の選択など、計算・シミュレーションの事例から理解!
執筆者一覧(敬称略)
● 伊藤 聡 ((独)理化学研究所)
● 松永 克志 (名古屋大学)
● 豊浦 和明 (名古屋大学)
● 奥村 光隆 (大阪大学)
● 山本 典史 (名古屋大学)
● 末岡 浩治 (岡山県立大学)
● 小笠原一禎 (関西学院大学)
● 藤原 勝敏 (日本セラミック(株))
● 島田 敏宏 (北海道大学)
● 吉野 賢二 (宮崎大学)
● 小嶋 稔 (宮崎大学)
● 岩崎 誉志紀 (太陽誘電(株))
● 森分 博紀((財)ファインセラミックスセンター)
● 山下 晃一(東京大学)
● 牛山 浩(東京大学)
● 日野 実 (岡山県工業技術センター)
● 北川 功 ((株)日立製作所)
● 浅利 裕介 ((株)日立製作所)
● 和田 隆博 (龍谷大学)
● 前田 毅 (龍谷大学)
● 中村 哲士 (龍谷大学)
● 宮本 良之 ((独)産業技術総合研究所)
● 城野 亮太 (東京大学)
● 吉田 博 (大阪大学)
● 谷 義政 (大阪大学)
● 佐藤 和則 (大阪大学)
● 桑原 彰秀 ((財)ファインセラミックスセンター)
● 柳澤 将(琉球大学)
● 豊田 健治(パナソニック(株))
● 大村 秀之(キヤノン(株))
目次
第1章 初めて取り組む方が第一原理計算を理解するために
第1節 第一原理計算の理論・考え方
1.はじめに~第一原理計算とは~
2.第一原理計算と現実の世界との関係~理論計算の適用限界と実験との対応
2.1 基本となるハミルトニアン
2.2 ハートリー・フォック近似
2.3 実験との対応~エネルギー・ギャップ~
3.第一原理計算における密度汎関数法の考え方
3.1 密度汎関数法
3.2 コーン・シャムの方程式
3.3 LDAとGGA
4.各種材料計算における第一原理計算の位置づけ
4.1 古典的分子動力学法
4.2 第一原理分子動力学法
4.3 モンテカルロ法
5.第一原理熱力学
6.量子化学計算とバンド計算~それぞれの得意分野~
6.1 量子化学的計算手法の特徴
6.2 バンド計算手法の特徴
6.3 現実の系~非周期系と周期系のはざま~
7.第一原理計算のいろいろ
7.1 擬ポテンシャル法
7.2 LMTO法
7.3 LAPW法
7.4 LCAO法
7.5 自己相互作用補正(SIC)
7.6 LDA+U法―LDAを超えて―
7.7 TDDFT法
8.計算コードの入手方法
8.1 イノベーション基盤シミュレーションソフトウエアの研究開発プロジェクト
8.2 次世代ナノ統合シミュレーションソフトウエアの研究開発プロジェクト
8.3 コンピュテーショナルマテリアルズデザイン(CMD)
8.4 ELSES研究会
9.実験データとシミュレーション結果-解析品質の重要性―
第2節 第一原理計算でわかることと調べ方
1.結晶構造と電子構造
2.点欠陥の形成エネルギー
2.1 第一原理計算による点欠陥形成エネルギー評価
3.界面物性~界面エネルギーと界面密着性~
3.1 界面エネルギー
3.2 界面密着性
4.格子振動計算と有限温度物性
4.1 格子・分子振動と熱力学特性
4.2 固相・気相の熱力学量
5.原子拡散・イオン伝導
5.1 原子ジャンプ頻度
5.2 LiF中のLiジャンプ頻度
6.X線吸収スペクトルの理論解析
6.1 XANESの原理
6.2 XANESの理論計算
第3節 第一原理計算および量子化学計算に向けたソフトウェア
第1項 Gaussianによる第一原理計算
1.概要
2.計算出力から得られるデータと計算可能な物性値
3.利用できる材料・デバイス
4.手法の選択
5.基底関数の選択
5.1 最小基底関数
5.2 Double zeta基底系とSplit Valence基底系
5.3 分極関数と分散関数
5.4 擬ポテンシャル
5.5 利用可能な基底関数
6.TIPS
7.計算結果の可視化と入力データの作成
第2項 GAMESS による量子化学計算
1.概要
2.特徴
2.1 実行可能な計算手法
2.2 利用可能な基底関数
2.3 解析可能な各種物性
3.入手方法
4.実行方法
4.1 入力ファイル
4.2 実行スクリプト
4.3 出力ファイル
5.GAMESSの実践例
5.1 構造最適化
5.2 振動解析
第3項 CASTEPによる第一原理計算
1.コーンシャム方程式
1.1 多電子問題に関する前置き
1.2 方程式の導出
2.コーンシャム方程式の解法と周辺技術
2.1 方程式の解法
2.2.1 局所密度近似(LDA)
2.2.2 平面波展開
2.2.3 擬ポテンシャル法
2.2.4 周期境界条件とスーパーセル法
2.2.5 バンド構造計算
3.計算可能な物性値
4.主要機能と特長
5.適用できる系,材料,デバイス
第4項 DV-XαとDVMEによる第一原理計算
1.DV-Xα法
2.DVME法
3.計算可能な物性値
4.読み取れるデータ
5.利用できる材料・デバイス
6.基底関数などの計算条件
7.Tips
第2章 材料別・第一原理計算および構造最適化
第1節 IV族単元素半導体の第一原理計算
1.Si単結晶
1.1 点欠陥
1.2 不純物
1.3 Si薄膜とSi細線
1.4 Si表面
2.Ge単結晶、C単結晶
第2節 化合物半導体の第一原理計算および構造最適化
1.読み取れるデータ
2.計算方法
3.表面のモデル化方法
4.シミュレーション
4.1 ZnO(0001)表面上Zn、O吸着原子のポテンシャルエネルギー面
4.2 ZnO(0001)表面上Zn吸着原子とO吸着原子の相互作用
4.3 GaN(0001)結晶成長との比較
5.基底および基底関数の選択
6.tips
第3節 有機半導体の第一原理計算
1.計算でわかること
2.構造最適化と電子状態
3.キャリヤ伝導機構にかかわるパラメータ
4.スペクトル解釈の実例
5.tips
5.1 どのソフトを使うか?
5.2 手法と基底関数の選択
第4節 第一原理計算による酸化金属系透明導電膜の解析
1.製膜実験
2.計算方法
3.理論計算結果
第5節 強誘電体 の第一原理計算および構造最適化
第1項 強誘電体の第一原理計算~チタン酸バリウムなど~
1.強誘電体の第一原理計算
2.強誘電体酸化物の第一原理計算の課題
2.1 バンドギャップ過小評価の問題
2.2 自己相互作用の問題
第2項 第一原理計算を用いた強誘電体材料の材料設計
1.計算方法
2.CaTiO3の潜在的な強誘電性
3.負の静水圧下でのCaTiO3の強誘電体相転移
4.負の静水圧下での正方晶ペロブスカイトTi酸化物の同一空間群相転移
第6節 量子ドットの第一原理計算
1.モデルの作成方法と計算方法
2.Si,Ge量子ドットの計算結果
第7節 めっき皮膜の密着性に関する第一原理計算
1.金属表面に析出するめっき原子の安定位置
2.めっき膜/基板界面の安定構造
3.第一原理計算によるめっき膜界面密着性の予測技術
3.1 界面引き剥がし計算機実験法
3.2 密着性予測技術の適用例(Niめっき,Cuめっき/Fe(100)基板)
第8節 触媒の第一原理計算および構造最適化
1.表面のモデル化方法
2.計算方法
3.基底関数や汎関数等の選択
4.シミュレーション
4.1 表面モデル及び計算手法
4.2 触媒表面上の活性点の評価
4.3 触媒表面上での反応機構の解析
5.実際の計算に際して
第9節 磁石の第一原理計算
1.磁石材料研究における第一原理計算
2.希土類金属間化合物の特徴
3.計算事例
3.1 Nd2Fe14B化合物の計算
3.2 Dy2Fe14B化合物の計算
第10節 蛍光体 の第一原理計算
1.読み取れるデータ
2.計算方法
3.発光イオン周辺の局所構造のモデル化
4.光学スペクトルの第一原理計算
5.基底関数などの計算条件
6.Tips
第11節 ナノ粒子 の第一原理計算および構造最適化
1.ナノ粒子の性質
2.計算方法と基底の選択
3.表面のモデル化
4.シミュレーション事例
4.1 遷移金属の水素吸蔵
4.2 強磁性ナノ粒子
第3章 デバイス別・第一原理計算および構造最適化
第1節 積層セラミックスコンデンサの第一原理計算および構造最適化
第1項 積層セラミックコンデンサの第一原理計算
1.添加剤設計
2.信頼性(寿命)設計
3.バイアス電界依存性
4.小型大容量化に向けた課題と第一原理計算による取り組み
第2項 第一原理計算を用いたMLCC材料の材料設計
1.計算方法
2.Ca固溶位置とその耐還元性への効果
3.希土類固溶位置とその信頼性への効果
4.Mnとその信頼性への効果
第2節 リチウムイオン電池の第一原理計算および構造最適化~バルク(電極材料)系、電極電解質界面系~
1.正極材料の問題点
2.計算方法
2.1 計算条件
2.2 汎関数の選択
3.構造最適化
4.電気化学物性の理論予測
4.1 酸化還元機構
4.2 開回路電位
4.3 リチウム空孔構造
5.電極電解液界面
第3節 太陽電池 の第一原理計算および構造最適化
第1項 第一原理計算を用いた化合物薄膜太陽電池材料の研究と材料設計
1.CuInSe2系化合物薄膜太陽電池材料の第一原理計算
1.1 CuInSe2の結晶構造と物性
1.2 計算方法
1.3 電子構造
1.4 化学結合
1.5 空孔形成エネルギーと化学結合
2.Cu2ZnSnS4系インジウムフリー化合物薄膜太陽電池材料の第一原理計算
2.1 結晶構造と相の安定性
2.2 Cu2ZnSnSe4の電子構造
2.3 Cu2ZnSnSe4の有効質量
3.その他の化合物薄膜太陽電池材料
第2項 太陽電池の光励起、電子・正孔分離の第一原理計算
1.計算の考え方と計算スキーム
2.極性結晶の内部電界による、光励起電子・正孔分離
3.有機分子のドナー・アクセプタペア内における、光励起電子・正孔分離
第3項 色素増感型太陽電池
1.酸化チタンのモデル化
2.色素設計によるJSC改良の試み
2.1 Ru錯体・ポルフィリン系色素・有機系色素
2.2 界面電荷移動型遷移
3.酸化還元電位の計算によるVOC改良の試み
3.1 熱力学サイクルを用いる方法
3.2 熱力学積分法による直接決定法
4.境界領域における電子伝達
4.1 色素/酸化チタン
4.2 酸化チタン/色素
4.3 色素/ヨウ素酸化還元対
第4項 第一原理計算と多階層連結シミュレーションによる高効率低コスト太陽電池の計算機ナノマテリアルデザインと実証~自己修復する不老不死のスピノダルナノ超構造~
1.太陽電池材料の現状と問題点およびその解決法
1.1 高い製造コストと光劣化欠陥生成反応
1.2 自己修復欠陥反応機構
1.3 直接型バンドギャップ形成による光吸収電子正孔と再結合制御
1.4 多重励起子生成機構
1.5 低コスト化と高効率化のためには何が必要か?
2.高効率・低コスト太陽電池ナノ材料の計算機ナノマテリアルデザイン
第4節 燃料電池の第一原理計算~構造最適化・エネルギー計算~
1.計算事例
1.1 点欠陥形成エネルギーと熱平衡濃度の第一原理計算
2.拡散経路と移動エンタルピーの定量評価
3.へテロ接合による界面ナノ領域での電子構造
第5節 有機ELの第一原理計算および構造最適化
1.有機電子デバイスと第一原理計算
2.第一原理電子状態計算
2.1 密度汎関数理論
2.2 第一原理計算による有機/金属界面系の取り扱い
3.有機/金属界面における界面電気二重層、仕事関数変化
4.Alq3とAl表面との界面の電子状態
4.1 Alq3の分子構造・性質、計算方法
4.2 計算方法
4.3 計算結果(孤立Alq3分子・Alq3/Al界面他)
第6節 有機TFTの第一原理計算および構造最適化
1.有機/金属界面におけるエネルギー準位
2.計算手法
2.1 第一原理計算
2.2 van der Waals相互作用の補正
3.貴金属表面上のペンタセンの解析
4.フッ化ペンタセンの材料探索
第7節 酸化物半導体TFTの第一原理計算および構造最適化
1.読み取れるデータ
2.計算方法
3.シミュレーション
3.1 不純物水素を含むa-IGZOの計算
3.2 a-IGZOの酸素欠損、欠陥形成エネルギー
4.Tips