著者
安田ポリマーリサーチ研究所 安田 武夫 氏
1970年~1990年 三菱化成工業㈱(現三菱ケミカル)中央研究所、本社企画室、ファイン事業部、樹脂事業部、機能樹脂事業部など勤務 高分子関連(エポキシ樹脂、エンジニアリングプラスチックなど)の事業開発などに従事
1990年~1997年 新日鐵化学㈱樹脂開発部など勤務 高分子関連事業開発などに従事
1997年~1998年 日本ジーイープラスチックス㈱テクノロジーセンター勤務 エンジニアリングプラスチック関連の研究に従事
1998年~現在 安田ポリマーリサーチ研究所 所長
発刊・体裁・価格
発刊 2021年1月27日 定価 38,500円 (税込(消費税10%))
体裁 B5判 187ページ ISBN 978-4-86502-209-4 →詳細、申込方法はこちらを参照
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本書のポイント
260点を超える写真を掲載した用途事例集!
プラスチック複合材料の基礎的な物性から成形技術、応用例まで、押さえておくべき市場動向・開発動向を網羅的に解説!
◆安定的な成長が見込まれるプラスチック系複合材料の市場動向!
◆マトリックス樹脂および各種充てん材の特徴・物性と効果!
◆プラスチック複合材料の成形技術と開発動向!
◆260点を超える写真で見る新規複合材料、成形事例、応用事例!
「プラスチック複合材料の開発動向と写真で見る用途事例集」書評
京都大学 生存圏研究所 特任教授 臼杵 有光 氏
私自身は高分子材料の合成・重合を専門とし、自動車関連の会社でプラスチック材料の自動車への応用に関して40年程度の研究開発に携わってきた。具体的には本書のp.44などに紹介されているポリマークレイナノコンポジットの初期の開発から携わるという貴重な体験をした。自身の経験の中でプラスチック材料を実際の製品に適用する場合には、ほとんどの場合単独で使用するのではなく他の樹脂やフィラーと複合化して使用していることを学んだ。
材料の最適設計により機械的特性に優れたプラスチック複合材料ができたとしても、その成形加工技術は必須であるし、その材料の特性を活かした製品設計技術や製品の評価技術、長期耐久性の評価技術も必要となる。その流れでやっと製品への実用化ができるわけである。本書にはそのようなヒントが盛りだくさんに書かれており、困ったときや悩んだ時に眺めてみる価値が大いにあると思う。材料開発の段階だけではなく、製品適用の段階でも大いに参考になる。
プラスチック複合材料を扱っていく上で、なぜこの材料が使用されているのか、どのように加工したのか、どのような要求特性があるのか、など理解して使用していくことが重要であるが、専門書などが少ないために意外におざなりになっていると思われる。今まで使っていたからそのまま継続して同じ材料を使用する、といった場面が多いのではないかと思っている。そのようなことが続くと新規な複合材料が誕生しなくなってしまうことを危惧しているが、そのような状況でも新規複合材料は誕生している。本書では約30ページにわたり新規複合材料と展示会などで紹介された応用例が詳細に掲載されており、特に材料の目線でその特徴や使用方法が詳しく書かれており大変参考になる。成形技術と接合技術に関しても40ページ以上を割いて図解されており、私自身は経験したことが無いような方法も紹介されており、あまり馴染みのない方にも分かり易い内容であると思う。
応用例として、自動車・車両分野、電気・電子分野、各種機械分野、その他(医療、建築、日用品など)と分類して実例紹介がされており、様々のユーザーの方に満足される内容になっていると思われる。自動車分野に関していえば、内装、外装、パワートレイン、エレクトロニクス部品、次世代車用部品ごとに実例が写真付きで紹介されており、少なくとも私が知りうる情報はほとんど網羅されておりその情報収集力に驚く。今後の自動車の動向を考えると、エンジン周辺の部品だけではなくバッテリー用部品、燃料電池用部品、センサー部品までを網羅されているため、今後の開発の方向性も見えてくるのではないかと考えている。
以上のことから、特に化学メーカーや成形加工メーカー、部品メーカー、そのユーザーを含めた現場に携わる技術開発者には一読を進めたいと考える。とにかく実例が豊富であり、かつ写真とその概要説明も秀逸である。まさに安田氏の足で稼いだデータ集であり私は脱帽した。
目次
1.総論
1.1 緒論
1. 2 複合化の目的
1. 3 強化材 ( 充てん材 ) の形状
2.複合材料関連素材
2. 1 マトリックス樹脂
2.1.1 熱硬化性樹脂
2.1.2 熱可塑性樹脂
2.2 強化材、充てん材
2.2.1 強化材 ( 各種繊維 )
1)ガラス繊維
2)炭素繊維
3)アラミド繊維
4)天然繊維
5)金属繊維
6)最近のトピックス(セルロースナノファイバー)
2.2.2 充てん材
1)充てん材の分類
2)充てん材の特性と作用効果
3)主な充てん材
2.3 カップリング剤
3.複合材料の製造法
3.1 緒論
1)一般的な製造方法
2)代表的な複合材料の製造方法
4.新規複合材料
4.1 緒論
4.2 熱可塑性樹脂
1)長繊維強化熱可塑性樹脂
2)ナノコンポジット
3)複合材料用新規強化材・充填材
5.複合材料の成形技術
5.1 緒論
5.2 熱硬化性樹脂の各種成形技術
①ハンドレイアップ法
②スプレイアップ法
③レジントランスファー法
④コールドプレス法
⑤メタルマッチダイ法
⑥フィラメントワインディング法
⑦引き抜き成形法
⑧真空バッグ法
⑨オートクレーブ法
⑩抄造法
⑪L-RTM(真空注入)成形
⑫ファイバーtoコンポジット成形プロセス
〇その他の成形法
5.3 熱可塑性樹脂の各種成形技術
①多色成形・多材質成形
②DSI(ダイスライド射出成形)法、DRI(ダイ回転射出成形)法
③臨界流体による微細発泡成形
④ヒート&クール成形
⑤RFM技術
⑥コンパウンディング同時射出成形
⑦CFRTP関連の各種新規成形法
⑧MID
⑨サクションブロー成形
〇その他の注目すべき成形法
5.4 金属とプラスチックの接合技術
6.複合材料の応用例と解説
6.1 緒論
6.2 自動車・車輛分野
6.2.1 はじめに
6.2.2 要求特性
6.2.3 部位別の具体的用途例の写真と解説
①内装部品
②外装・外板部品
③パワートレイン部品
④エレクトロニクス部品
⑤次世代車用部品
⑥その他の備品
6.3 電気・電子分野
6.3.1 はじめに
6.3.2 用途別の要求特性
6.3.3 用途別の具体的用途例の写真と解説
①電子備品
②家電製品
③その他電気・電子
6.4 各種機械分野
6.4.1 はじめに
6.4.2 用途別の要求特性
6.4.3 用途別の具体的用途例の写真と解説
①精密機械
②産業機械
③その他機械
6.5 その他分野
6.5.1 はじめに
6.5.2 用途別の要求特性
6.5.3 用途別の具体的用途例の写真と解説
①医療機器関連分野
②土木建築関連分野
③日用品・雑貨・スポーツ・レジャー用品
④その他